緊急避妊薬「アマリストン」販売で逮捕・不起訴
この事件から行政書士が警鐘を鳴らす、外国人の在留資格と医薬品流通の闇
2025年6月4日、東海テレビのニュースで報じられたある事件に、私は行政書士として強い関心を抱きました。
ベトナム国籍の36歳男性が、緊急避妊薬「アマリストン」の販売に関連して出入国管理法違反の疑いで逮捕されながらも、最終的に不起訴処分となったという内容です。
今回は、この「アマリストン」事件から、行政書士の視点で特に重要だと感じる「外国人の在留資格と就労制限」、そして「医薬品の流通における法的問題」について深く掘り下げてみたいと思います。
事件の概要:逮捕から不起訴までの経緯
報道によると、このベトナム人男性は、ベトナムで流通しているとされる緊急避妊薬「アマリストン」を通信販売で取り扱い、在留資格で認められていない売上を得たとして、今年2月に出入国管理法違反(資格外活動の疑い)で逮捕されました。
しかし、名古屋地方検察庁は5月29日付でこの男性を不起訴処分としたとのこと。
その理由については、現在のところ明らかにされていません。
なぜ「不起訴」だったのか?行政書士としての推測
不起訴処分と聞くと、「違法性がなかった」と誤解される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不起訴は必ずしも無罪を意味するわけではありません。
検察が不起訴とする理由には、いくつかのパターンが考えられます。
考えられる理由は以下の通りです。
- 嫌疑不十分
証拠が不十分で、犯罪の証明ができないと判断された場合。 - 嫌疑なし
犯罪の事実がなかったと判断された場合。 - 起訴猶予
犯罪事実があったとしても、被疑者の情状や更生の可能性などを考慮し、あえて起訴しないと判断された場合。
今回のケースでは、通信販売という形態であること、また医薬品の取り扱いという専門性が絡むことから、単なる資格外活動としての一律的な判断が難しかったのかもしれません。
例えば・・・
- 「アマリストン」が本当に医薬品として認識されているのか?(日本での未承認医薬品の定義、個人輸入との線引きなど)
- 通信販売の形態が、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)上の規制にどう該当するのか?
- 在留資格で認められない「売上」と判断された範囲はどこまでか?
といった点が、捜査の中で明確に立証しきれなかった、あるいは他の事情が考慮された可能性も否定できません。
在留資格と就労制限の厳しさ
今回の事件で最も注目すべきは、「在留資格で認められていない売上を得た」という点です。
これは、外国人が日本で活動する上で最も注意しなければならない「資格外活動」に該当する可能性があったということです。
日本の在留資格制度は、外国人が日本でどのような活動を許されるかを厳格に定めています。
例えば、「留学」の在留資格を持つ学生は、原則として学業に専念すべきであり、アルバイトをするにも「資格外活動許可」が必要です。
そして、その許可された範囲(時間制限、職種制限など)を超えて活動することは、入管法違反となります。
今回の男性がどのような在留資格を持っていたかは不明ですが、もし就労が認められていない、あるいは認められた範囲を超えていたのであれば、それはまさに「資格外活動」です。
医薬品の通信販売:個人輸入と無許可販売の境界線
もう一つの重要な論点は、「緊急避妊薬の販売」です。
日本において医薬品の販売は、薬剤師による対面販売が原則であり、通信販売には厳しい規制があります。
特に、海外の医薬品を個人が輸入する「個人輸入」は認められていますが、それを不特定多数に販売する行為は「無許可販売」となり、医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触する重大な犯罪となります。
今回の「アマリストン」が、日本で未承認の医薬品であったとすれば、それを通信販売で不特定多数に販売した行為は、薬機法違反の疑いも生じます。
出入国管理法違反での逮捕でしたが、背景には薬機法違反の可能性も指摘されていたものと推測されます。
緊急避妊薬という性質上、安易な入手経路は、健康被害につながるリスクもはらんでおり、国の規制が非常に厳しい分野です。
まとめ:外国人の皆さん、そして事業者の皆さんへ
今回のベトナム人男性の不起訴処分は、詳細な理由が不明なため、一概に「問題なかった」とは言えません。
むしろ、この事件が浮き彫りにしたのは、外国人が日本で活動する際の法的なリスク、そして医薬品流通の複雑さです。
外国人の皆様へ
- ご自身の在留資格で認められている活動範囲を正確に理解しましょう。
- アルバイトや副業を行う際は、必ず「資格外活動許可」を取得し、その範囲内で活動してください。
- 海外の品物を輸入し、それを販売する行為は、日本の法律で厳しく規制されている場合があります。特に医薬品は注意が必要です。
事業者の皆様へ
- 外国人を雇用する際は、在留資格の確認を徹底し、資格外活動にならないよう適切な業務を割り振る必要があります。
- インターネットを通じた商取引においては、それが日本の法律に適合しているか、特に医薬品や健康食品など規制が厳しい品目については、必ず専門家にご相談ください。
「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。
今回の「アマリストン」事件は、私たち行政書士が日々注意喚起している、在留資格とビジネス、そして法規制の重要性を再認識させる事例となりました。
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