生活保護「外国人優遇」は本当か?―受給は全体の約3%、
むしろ“日本人より不利”な運用と在留資格リスク
【行政書士解説】
皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
今日は外国人の生活保護について書いていきたいと思います。
先に結論
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外国人の生活保護受給は全体の約3%。SNSで見かける「優遇」論は事実と異なる。
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法律(生活保護法)は「国民」を対象。外国人は1954年通知に基づく「準用」での保護で、不服申立て等の権利保障が弱い=むしろ不利。
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在留資格の更新・変更では「公共の負担となっていないこと」が審査要素。一律に不許可ではないが、説明責任が重くなる。
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実務では「受給に至った経緯」と「自立回復見込み」を具体資料で疎明できるかが勝負。
1. 数字で見る「優遇」論の誤解
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生活保護利用者約200万人のうち、外国籍は約3%台前半で推移。
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構成は高齢化の影響が大きく、長年日本に暮らす層の高齢受給が中心。
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2010年の「来日直後の大量申請」などは制度の不備が後に是正。現在は制度の穴は封じられている。
ポイント:外国人が大量に“優遇”されている構図は成り立たない。
2. 外国人はなぜ受けられる?—法の仕組み
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生活保護法の対象は「国民」。最高裁(2014年)も同旨。
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ただし1954年の厚生省通知により、以下の一定類型は「取扱い準用」で保護対象に。
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身分系:永住者/定住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等
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特別永住者
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認定難民
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一般就労系(技人国・技能・経営管理など)は対象外。
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「準用」であるがゆえ、不服申立て等の権利保障は限定的。ここが“日本人より不利”といえるところ。
3. 実務で一番こわいのはここ!在留資格「更新・変更」への影響
入管ガイドラインにはおおむね「公共の負担となっていないこと」が審査要素として示されています。
これは絶対要件ではなく総合評価ですが、説明が弱いと不利に働き得るのが実務です。
3-1 在留資格別「影響度」ざっくりマップ(実務感覚)
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特別永住者:期間更新は不要(在留カードは更新)。生活保護受給自体で資格を失うことは通常ない。
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永住者:在留期間の更新は不要(カード更新のみ)。
ただし永住許可申請中の人にはマイナス評価になりやすい。 -
定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等:更新・変更の審査対象。
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受給の事実自体は直ちに不許可の決定打ではないが、
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「世帯収入の改善見込み」「就労の実態」「扶養支援の有無」「健康状態」等の一体的説明が求められ、疎明資料の厚みが勝負。
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就労系(技人国・技能・経営管理 等):そもそも生活保護の準用対象外。
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家族が「家族滞在」で受給…といった論点は、実務上家計全体の自立性が厳しく見られます。
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3-2 こういうときは不利になりやすい
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就労可能なのに就労努力が乏しい(求職活動の記録がない、離職理由が曖昧)。
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税・社会保険の滞納が長期化し、納付計画も未整備。
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世帯構成の説明が弱い(扶養可能な親族の援助有無が不明/送金実績なし)。
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受給が慢性的かつ改善計画が示されない。
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偽装同居・偽装婚を疑われうる不自然な家計・居住実態。
3-3 それでも「人道上の理由」を丁寧に拾う
ガイドラインには人道上の配慮規定もあります。以下のような場合、弱点を上回る事情として主張可能
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重篤な疾病・障害、要治療の事情(診断書・受診記録)。
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DV・虐待・ハラスメント(保護命令、相談記録、シェルター入所歴)。
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ひとり親・多子世帯、就労制約のある育児・介護負担。
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日本語しか話せない/学齢期の子の教育継続など、実態上の日本社会への定着。
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短期的な事故・倒産・感染症など外生ショックで一時的に困窮。
4. 更新に向けた「ダメージコントロール」実務チェックリスト
申し訳程度の“説明”では通りません。紙で、数字で、第三者資料で積み上げましょう。
A. 収入回復・自立見込み
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直近の内定通知/採用予定証明/就労証明
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求職活動ログ(応募一覧、面接記録、エージェント・ハロワ相談記録)
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資格取得・日本語学習の受講証明、合格通知
B. 家計の透明化
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世帯の収支表(3~6か月)と通帳写し
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家賃・光熱費の支払実績(領収書)
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扶養援助の送金実績(送金票・通帳、援助誓約書)
C. 公共負担からの離脱計画
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生活困窮者自立支援・就労準備支援の計画書
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医療扶助のみ→治療計画・回復見込みの医師意見
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受給廃止・減額の手続履歴(可能ならば)
D. 信用の回復
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税・社保の納付状況と分納計画書
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罰金・過料・違反歴があれば完了証明
E. 人道上配慮の立証
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診断書、母子手帳、保護命令、相談記録、学校在籍証明…第三者書証を必ず添付
ワンポイント☝️「一時的困窮」+「自立回復のロードマップ」を、誰が見ても分かる紙束に。これが実務の決め手です。
5. よくある誤解Q&A(現場で本当によく聞かれます)
Q1. 生活保護を受けたら在留資格は必ず更新不許可?
A. 一律NGではありません。
総合評価。理由書と資料で自立見込みを具体化できるかが鍵。
Q2. 受給すると「永住」は絶対に取れない?
A. 永住許可の審査では生計維持能力が重要。
受給中は原則不利。ただし例外的配慮が全くないわけではありません。
Q3. 児童手当や就学援助も「公共の負担」?
A. 広い意味では公的給付ですが、生活保護とは法的性質が別。
審査は総合評価で、直ちに不許可とは限りません。
Q4. ケースワーカーは入管に“通報”する?
A. 個人情報保護の原則があり、自動的に通報される仕組みではありません。
もっとも、本人申告や提出書類から受給状況が把握されることはあります。
6. 行政書士が現場で使う「理由書」骨子テンプレ(受給中の更新)
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事案の概要:在留資格・在留歴・家族構成・日本での生活基盤
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受給に至った経緯:離職/病気/DV等の具体的事情と時系列
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現在の家計状況:収支・資産・扶養援助の有無(資料相互参照)
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自立回復計画:就労見込み、訓練、支援利用、見込み時期
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人道上の事情:健康・養育・教育・定着性
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公共負担の縮減見込み:廃止・減額の見通し、代替支援の利用計画
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添付資料一覧:診断書、就労証明、納付計画、相談記録、送金実績…(番号ふりで本文とリンク)
※理由書の記載例を載せておくので参考にしてください。
ただし、この理由書を参考にしたとしても許可を保証するものではありません。
仕上げのコツ:数値・日付・第三者証明を散りばめ、感情より事実の積層で説得する。
7. 事業者・支援者向けの留意点
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外国人雇用側は、休業・傷病・出産等の局面での雇用継続策と社会保険の適正運用が、結果的に在留の安定に寄与。
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自治体・支援団体は、生活困窮者自立支援と就労定着支援を在留審査を見据えた資料化(ログ化)まで支援すると効果的。
まとめ
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数字(約3%)と法の構造(準用)を踏まえれば、「外国人優遇」論は成り立ちません。
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ただし在留の審査では、公共負担の有無が評価要素。“一律NGではない”が“説明責任は重い”——ここが実務のリアルです。
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迷ったら、受給の合理的理由+自立回復ロードマップ+第三者資料を整え、正面から審査に向き合いましょう。
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