【行政書士が解説】無届け美容室と“不法就労”の交差点――神戸の逮捕事案から学ぶ、サロン経営の実務リスクと予防策
事件のポイント(要約)
皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
兵庫県警は2025年7~8月にかけて届出をせずに美容室を開設し、美容師免許のない外国人を美容師として働かせた疑いでベトナム籍の男女3名を逮捕。
店舗は「ベトナム風の髪型やネイルができる」との口コミで月200万円規模の売上があったとされ、警察は組織的な不法就労あっせんの有無も調べています。
本件は
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美容師法(無届け開設/無免許施術)
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入管法(不法就労・不法就労助長)
が同時に問題となる、典型的な“ダブル違反”構造です。
法令の基礎を押さえる
1) 美容師法:免許+施設の届出が必須
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免許がなければ美容を業としてはならない(第6条)。
カット・カラー・パーマ・メイク等の「美容行為」は、無免許で反復継続すれば違法です。 -
美容所の開設は事前届出(第11条・施行規則)。
保健所等への開設届、構造設備要件、管理美容師(常時2名以上配置なら選任義務)などがセットで求められます。
2) 入管法:不法就労とその助長
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不法就労とは
①不法滞在者の就労
②就労が許されない在留資格での就労
③許可範囲を超える就労(資格外活動違反)
の総称です。
外国人本人だけでなく、事業主も処罰対象となります。 -
不法就労助長罪の法定刑は五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
雇用主・あっせんした者等が対象になります。
つまり、無免許の美容行為は美容師法違反、さらに在留資格上できない仕事をさせると入管法違反(助長罪)という二段のリスクになります。
現場で起きやすい誤解と落とし穴
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「ネイル中心だから美容所届は不要」
同一スペースでカット等を提供すれば美容所としての要件・届出が原則必要。
業態の“線引き”が曖昧なまま開業すると危険です。 -
「本人が『働ける』と言っている/在留カードは本物ぽい」
活動内容が在留資格に適合しているかが核心。
例:留学・家族滞在は原則就労不可(資格外活動許可があっても時間・業種の制限あり)。
美容は就労系在留資格の典型業務に該当しにくいため特に要注意が必要です。※国家戦略特区による例外あり。
まずは“就労制限のない”身分系(永住者・日本人/永住者の配偶者等・定住者等)かどうかを確認しましょう。 -
「個人事業主(業務委託)なら雇用ではないので安全」
形式が委託でも実態が就労なら助長罪の射程。確認義務の懈怠はリスクです。
行政書士が勧める“3枚のチェック”
① 法令(美容)チェック
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美容所開設届の提出/構造設備基準の適合
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管理美容師の選任(常時2名以上配置のサロン)
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従事者全員の美容師免許原本確認・写し保管(更新・氏名変更も追随)
② 在留資格・就労可否チェック
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在留カード原本とIC読み取りで真贋・在留期限を確認
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在留資格の種類と就労制限の有無(「就労制限なし」=身分系)
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資格外活動許可の有無と週28時間・深夜等制限の運用(該当者のみ)
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仕事内容が在留資格の活動範囲に当たるかを職務記述書で紐付け
③ 雇用実務チェック
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住民票・税・社保・労保の加入状況
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外国人雇用状況届出(ハローワーク)
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研修記録(衛生・安全)と日本語コミュニケーション導線の整備
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委託・シェアサロンの場合は指揮命令・時間管理・集客方法の実態を文書化(“名ばかり委託”を避ける)
※「不法就労させない」最短ルートは、就労制限のない在留資格の採用と職務の適合性を証拠化すること。ISAのリーフレットも現場教育に有用です。
もし違反が疑われたら(ダメージコントロール)
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直ちに業務停止範囲を特定(美容行為の差止、当該スタッフの就労停止)
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所管保健所・専門家に相談(届出漏れ・構造設備の是正、管理美容師の確保)
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外国人スタッフは在留資格の再確認と適法化の可否(身分系への切替の可能性、誤解・過失の立証材料の収集)
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雇用側は在留カード確認プロセス、研修記録、採用経緯を文書で整理(“故意でない”ことの疎明に資する)
まとめ(行政書士の所感)
今回の神戸の事案は、「美容師法の形式要件(免許/届出)」と「入管法の実質要件(就労適法性)」が同時に崩れると一気に刑事リスクが顕在化することを示しています。
サロン経営はコミュニティ集客と多国籍スタッフで伸びやすい一方、法令適合の初期設計を外すと“売上が立つほど危うくなる”と感じます。
ここを、制度と運用の設計が大事になります。
不安な場合には専門家に相談しましょう。
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