経営・管理ビザが大幅見直しへ：日本語力B2相当、資本金3,000万円、常勤1名…何がどう変わる？（行政書士が徹底解説）

はじめに

皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。

「経営・管理」の許可基準が実質的に“経営の実態”と“地域貢献”をより強く求める方向に改まります。申請代理を行う立場として、ポイントは以下の通りです。
（1）日本語コミュニケーション能力の担保
（2）事業の実在性・継続性の検証強化
（3）既存許可者の移行対応の3本柱。

以下、実務対応の観点で整理します。
根拠は、入管庁資料「『経営・管理』許可基準に係る運用方針について」です。

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1. 新基準のキモ（要約）

1-1 日本語能力（新設）

• 申請者又は常勤職員（外国人に限る）のいずれかに「相当程度の日本語能力」（想定：CEFR B2相当）。
  ※実務では説明用に「おおむねJLPT N2目安」と伝えると理解されやすいですが、公式資料の表記はCEFR B2相当です。

1-2 事業の実在性・対象業種の考え方

• 実態が経営者活動と言えない（丸投げの委託等で経営判断が認めにくい）ケースは不交付・不許可。

• 特定業種の一律規制は直ちには行わず、今後の運用状況と関係省庁の意見を踏まえ検討継続。

1-3 既に在留中の方の取扱い（経過措置）

• 施行後3年経過後の最初の更新申請から、原則として改正後の上陸許可基準（「資本金等の額」「雇用」）への適合を要求。

• ただし、経営状況が良好・地域貢献（地方法人税の納付等）・次回更新までに基準充足見込み等があれば例外的に在留継続を認め得る。

• 「経営・管理」からの永住許可は、改正後基準を満たす者のみ対象。

1-4 追加の審査強化ポイント

• 虚偽申請・活動実態なしは在留資格取消を厳格実施。合理的理由なき長期出国も更新不許可の対象。

• 事業の各種許認可の取得状況、公租公課の履行状況を厳格確認。

• 入管庁の「情報受付」サイト周知・提供情報を端緒に取消・不許可対応。

1-5 施行“前”の申請への対応

• 改正後基準を満たさない申請は、将来充足の見込みを含め、厳格審査・実態調査を実施。適切な経営評価ができない場合は不交付・不許可。

（参考：資料内の「見直し後の要素」）
・資本金（出資総額）：500万円 → 3,000万円
・経歴/学歴：経営・管理経験3年以上 又は 当該分野の修士相当以上の学位
・雇用：常勤職員1名以上の義務化
・専門家確認：新規事業計画に中小企業診断士等の確認（上場企業相当等は除外）

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2. 行政書士の実務対応（チェックリスト）

A. 日本語能力の立証

• CEFR/B2系のスコアレポート、大学・大学院での日本語履修実績、ビジネス上の日本語運用実績（契約書・議事録・商談記録）。

• 常勤職員を立てる場合は在籍実体・就労実態・賃金台帳等で裏付け。

B. 事業の実在性

• 代表者による意思決定・管理の証跡（決裁フロー、取締役会議事録、業務委託の範囲と統制）。

• 各種許認可の取得・更新状況、社会保険・税務の適正履行（納税証明・賃金台帳・就業規則）。

C. 財務と資本政策

• 出資の実在性（送金経路・残高証明・株主間契約）、3,000万円に見合う事業計画（資金繰り・KPI・人件費構成）。

• 監査/記帳の体制整備、四半期モニタリング。

D. 人材雇用

• 常勤1名の雇用実体（雇用契約・勤怠・給与支払）。外国人を雇う場合は在留カードと就労可否の確認を徹底。

E. 事業計画の第三者確認

• 中小企業診断士等のレビュー取得（計画の実現可能性、採算性、法令適合性）。

• レビューに向け、市場性・販売計画・許認可・資金調達・人員計画の整合を事前に点検。

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3. ケース別：戦略と落とし穴

3-1 新規起業家（海外在住者）

• 資本金3,000万円を“形式充足”でなく、初期赤字と雇用を耐える運転資金として配分。

• 日本語力は本人＞常勤職員の順での確保を推奨（経営意思決定のスピードと説明責任を担保）。

• 委託丸投げは危険。経営判断・ガバナンスの可視化を。

3-2 既存の「経営・管理」保持者

• 3年後の最初の更新で新基準が原則適用。

• 現時点で基準未充足でも、黒字化・地域貢献・次回までの充足計画があれば例外余地。数値計画と裏付け資料を今から整備。

3-3 永住を視野にする方

• 改正後基準を満たした上での永住申請が前提に。納税・社会保険・雇用の実体を長期で積み上げる。

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4. よくある質問（簡易版）

Q1：日本語の「B2相当」は必ず試験スコアが必要？
A：資料は“相当程度（CEFR B2相当等）”とし、具体の試験名は列挙していません。実務では複合証拠（資格＋実務使用実績）で総合立証するのが安全です。

Q2：常勤1名の雇用は在留申請“前”に必要？
A：雇用義務が明記される以上、雇用計画の実現性と在籍実体が問われます。申請時点から裏付け可能な体制が望ましいです（賃金・勤怠・就業規則等）。

Q3：委託で運営する形はダメ？
A：経営者としての活動が十分に認められないと判断されれば不交付・不許可の可能性が高いです。ガバナンスの実体を示しましょう。

Q4：黒字だが資本金3,000万円に届かない。更新は不許可？
A：例外余地は資料に明記されていますが、地域貢献・経営の健全性・次回までの充足計画の三点を、数値・証拠で固めることが必須です。

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5. まとめ（実務アクション3点）

1. 日本語運用体制：代表者または常勤職員でB2相当の実力を“証拠化”

2. 実在性の可視化：意思決定・許認可・納税・雇用・資金の証跡を“時系列”で整理

3. 移行設計：既存保持者は3年後の最初の更新に照準、充足ロードマップ＋診断士レビューで“例外余地”を最大化

これらはすべて、「経営・管理」許可基準に係る運用方針の要点に沿った対策です。個別事情で判断が分かれますので、早めに専門家へご相談ください。

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以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。

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