20年以上不法滞在の末に──「排除」の象徴か、「制度運用」の正常化か
2025年7月、2024年6月の「改正入管法」施行直後、日本に20年以上不法滞在していたクルド人男性・マヒルジャン氏がトルコへ強制送還されました。
この事例は、単なるひとつの強制送還ではなく、日本社会における難民制度と移民政策の在り方を問う象徴的な事件となっています。
6回の難民申請、でも認定ゼロ
マヒルジャン氏は過去6回にわたり難民申請を行ったものの、いずれも不認定。
審査基準に照らせば、「個別具体的な迫害の恐れ」が認められなかったと推察されます。
本来、難民認定制度は「政治的迫害から逃れてきた人々を保護する」ためにあります。
が、日本の難民認定率は世界最低レベル。申請件数に対し、認定率は常に1%未満であり、「実効性に疑問あり」との批判も根強く存在します。
改正入管法が変えた“滞在の猶予”
今回の送還に大きな影響を与えたのが、2024年6月施行の改正入管法です。
この改正で注目されたのは、「3回以上の難民申請を行った場合は、強制送還を一時停止する効力がなくなる」という新ルール。
これにより、マヒルジャン氏のように制度の隙間で「滞在を続けてきた人たち」が、今後は退去強制の対象として一気に表面化します。
つまり、“ルールが変わった”のです。
「人権」か「制度」か。揺れる世論
この一件をめぐっては、SNSなどで賛否両論が飛び交いました。
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「制度が正常に機能した」
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「見せしめのようで人権侵害では?」
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「申請を繰り返せば滞在できると思わせてきた日本にも責任がある」
制度運用の厳格化を歓迎する声と、長期滞在者への対応にもっと柔軟さが必要ではという声が交錯しています。
行政書士としての視点では、法制度の安定性と公平性は非常に重要です。
しかし同時に、移民・難民政策には人道的配慮も不可欠です。制度だけで人間を語りきることはできません。
難民問題は“排除”か“共生”かの分岐点に
マヒルジャン氏の送還は、法の執行としては正しい手続きだったといえます。
ただ、それが「共生社会」の形成にどうつながるかというと、議論の余地は残ります。
長年日本で生活し、家族や地域との関係も築いていた外国人が、ある日突然“送還”される現実。
こうした事例が今後増えることを前提に、私たちは「共に生きる社会」をどう設計するかを改めて問われています。
今回の退去強制手続きに影響があったかどうかは分かりかねますが、マヒルジャン氏はメディアに対しての過激とも取れる発言もあったのも少なからず影響を与えているようにも感じます。
日本に滞在する外国人に求められるのは素行が善良であることが求められます。
過激な発言だけで、素行が不良であるとまで行きすぎなようではありますが、「外国人は、日本に入国する自由や、在留を要求する権利を憲法上保障されていない。」という有名なマクリーン事件があります。
最低限日本に滞在する外国人には酷かもしれませんが、法務大臣は外国人の在留に関して、とても大きな裁量権を持っていることを忘れてはいけません。
最後に・・・行政書士としてできること
行政書士として私は、「不法滞在者の擁護」ではなく、「適正な在留資格制度の運用と周知」を通じて、法の下で外国人が安心して生活できる社会の構築に貢献していきたいと考えています。
誤解に基づく滞在、申請ミス、制度の複雑さ──その“隙間”を埋めるのが専門家の役割です。
今回の件が、排除ではなく、「誰もが法の下で尊厳をもって暮らせる仕組み」を見直すきっかけとなることを願っています。
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