「技能実習」から「育成就労」へ ― 不法就労ブローカーと失踪問題の現実
皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
近年、日本で働く外国人労働者は過去最多の230万人超に達しています。
その中でも、ベトナム人労働者は約57万人と最も多く、日本の農業や製造業の現場を支える存在となっています。
しかし一方で、「技能実習制度」の下で来日した外国人が失踪し、不法就労に巻き込まれるケースが後を絶ちません。
入管庁の発表によりますと、失踪者は9,753人。
その背景には、悪質なブローカーや、職場でのハラスメント、低賃金などの課題があります。
■ 徳島の農場に見る外国人労働者の実態

徳島県の青ネギ農場では、従業員40人中17人が外国人。
特定技能や技能実習で働く彼女たちは「日本の賃金は母国の3倍近く高い」と語り、生活費を節約して家族に仕送りをしています。
この農場では外国人に時給1,400円を支払うケースもあり、住居の配慮など受け入れ努力が見られます。しかし、過去には突然の「失踪」も発生。背景には「もっと稼げる」と甘言をささやく違法ブローカーの勧誘があったとされています。
■ 暗躍する「不法就労ブローカー」

奈良県では人材派遣会社の実質経営者らが、在留資格を持たないベトナム人を大阪のごみ収集会社で違法就労させたとして逮捕されました。
また、神戸市では無資格のベトナム人に美容師業務をさせた事件も発覚。
これらは氷山の一角であり、「もっと稼げる」と誘い出して不法労働に斡旋するブローカーは各地に存在します。
■ 「暴力」と「帰れ!」― 過酷な現場

さらに深刻なのが、職場でのいじめや暴力です。
あるベトナム人実習生は上司から殴る蹴るの暴行を受け、「ベトナムに帰れ!」と罵声を浴びせられました。
支援団体によると、こうした相談は1日10~20件寄せられています。
失踪の理由が「高賃金への誘惑」だけでなく、「命や尊厳を守るため」であることが見えてきます。
■ 制度の限界と「育成就労制度」への移行

技能実習制度の最大の問題点は、実習先の変更が原則認められないことです。
仮にブラック企業に当たっても、逃げれば不法就労に直結してしまいます。
2027年からは「育成就労制度」へと移行し、一定条件下で転籍が可能になります。
また、スキルアップすれば日本での継続就労も見込める仕組みです。
ただし、専門家からは「名前が変わっただけで、実効性が伴わないのでは」との懸念も出ています。制度改善の方向性は評価できるものの、労働者が声を上げられる窓口の整備や、権利保護の徹底がなければ根本解決には至りません。
■ 企業が直面するリスクとは

外国人労働者の雇用は、人手不足解消のため不可欠ですが、制度の理解不足や管理の甘さがあると以下のようなリスクに直結します。
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不法就労助長罪(入管法第73条の2):知らずに雇っても摘発対象になる
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労働基準法違反:残業代未払い・長時間労働で是正勧告や罰則
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社会的信用失墜:新聞報道やSNS拡散で企業イメージが大きく毀損
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外国人本人の失踪:採用コスト・教育投資が無駄になり、労務トラブルに発展
■ 企業が取るべき対応策

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在留カードの定期チェック
入社時だけでなく、更新時期ごとに確認。コピーを保管し、真贋判定ツールの活用も有効です。
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雇用契約書の二言語化
日本語が十分でない外国人には、母国語または英語を併記した契約書を交付し、理解度を確認することが重要です。
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監理団体や登録支援機関の選定
「安い手数料」を売りにする業者は危険信号。入管庁の認可リストを確認し、現地視察やアフターケアの有無を見極めましょう。
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生活支援体制の整備
住居の確保、日本語教育、生活ルールの説明を行うことはトラブル防止につながります。特に「孤立」させない仕組みづくりが重要です。
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内部通報・相談窓口の設置
職場での暴力やハラスメントは失踪の大きな原因。外国人でも利用できるホットラインや翻訳ツールを活用した相談窓口を整備すべきです。
■ 行政書士の視点から

行政書士として申請の現場に関わる立場から見ると、
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不法就労助長の摘発は今後さらに強化される
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受け入れ企業には 適正な労務管理と生活支援の体制 が不可欠
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外国人本人には 在留資格・労働条件を理解させる教育 が必要
と強く感じます。
「人手不足の解消」と「外国人の権利保護」は両輪で進めなければなりません。
単に制度を変えるだけではなく、受け入れ現場での 日常的なサポートと監視体制 が最も重要なのです。
■ 行政書士を活用するメリット

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ビザ申請・更新の適正化
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就労資格と業務内容の適合性確認
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契約書・就業規則のリーガルチェック
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不法就労防止のための社内研修の実施
行政書士と連携することで、企業は「知らなかった」で済まされないリスクを事前に防ぐことができます。
まとめ

外国人労働者は日本社会にとって欠かせない存在です。
しかし、技能実習制度の下での失踪や不法就労の問題は、労働力として「数」を求めすぎた結果とも言えます。
今後は「育成就労制度」を機に、外国人が安心して働ける環境づくりと、違法ブローカー排除の徹底が求められます。
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