「不法滞在者ゼロ」。言葉だけ聞くと、治安対策のスローガンとして分かりやすい。けれど、現場で相談を受ける側としては、少し立ち止まりたくなります。
不法滞在は、法律上のルール違反であることは確かです。企業側も「知らなかった」では済まない局面が増えています。一方で、同じ“在留資格がない状態”でも、その中身は驚くほど違う。そこを一緒にほどいておきます。
「ゼロプラン」は何をする計画か

法務省・入管庁が公表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」は、入国管理、在留管理・難民審査、出国・送還という流れの中で、取り締まりと送還を強化していく構成になっています。
“ゼロ”というゴール設定は、行政の執行目標としては強い。けれど、強い言葉は、強い副作用も連れてきます。とくに、難民申請者や家族案件、子どもを含むケースでは、数字の達成が先に立つと、個別事情の「逃げ場」が薄くなる。
実は「不法残留者数」は減っている

ここは、まず数字を置いておきます。
入管庁の公表では、2025年1月1日現在の不法残留者数は 74,863人。前年(2024年1月1日)の79,113人から 4,250人減(5.4%減) です。
「増えている」という印象を持つ人もいますが、少なくとも公表統計の範囲では、直近でも減少しています。
この事実が意味するのは単純で、「ゼロに近づける努力は必要」だとしても、「最優先課題としての緊急度」は、別途検証が要るということです。数字が減っているなら、同時に“減らし方”の副作用も検証しないと、政策評価として片手落ちになります。
「犯罪者のイメージ」だけで語れない層がいる

不法残留状態が続く背景には、大きく分けて2つの層がいます。
一つは、就労目的などで在留期限を超えてしまったケース。企業実務に直結するので、ここは厳格に管理しないといけない。警視庁も、不法残留者の存在と適正雇用の必要性を明確に注意喚起しています。
もう一つは、退去強制手続の中で「帰国できない事情」を抱えた人たちです。ここを全部ひとまとめにして“犯罪者”の箱に入れると、議論が壊れやすい。
実際、退去強制令書が出た後でも、収容ではなく「仮放免」や「監理措置」によって施設外で生活せざるを得ない人がいます。入管庁の資料では、2024年末時点で、退去強制令書が発付されている被仮放免者が 2,449人、被監理者が 213人 とされています。
この人たちは「手続上は送還対象」なのに、「現実には送還できない/しない」状態の中に置かれがちです。
私がここに強い違和感を持つのは、制度設計として“宙づり”を作りやすいからです。送還できないなら、何らかの形で生活の回路を確保しないと、結局、社会の周縁に押し出すだけになる。
監理措置は「収容の代替」だが、万能ではない

2023年改正入管法(2024年施行)の柱の一つが監理措置です。
制度の狙いは、長期収容の問題を減らしつつ、逃亡防止などの管理を担保することにあります。
ただ、監理措置は「在留が安定する制度」ではありません。通知・報告、監理人(監督者)など、管理の枠組みが強く、生活の自由度は限定されます。さらに、就労については「退去強制令書発付前」など条件付きで、厳格な運用が前提です。
ここは賛否が割れます。
日弁連はゼロプラン自体について国際人権法上の観点から反対声明を出しています。
難民支援協会も、ゼロプランの実施状況として「護送官付き国費送還」等が進む中で、難民申請中の人が送還対象になっている点に懸念を示しています。
私は、監理措置そのものを全面否定するより、「監理の強さ」と「生活の成立」のバランスをどこで取るかが核心だと見ています。管理だけ強く、生活が成立しないなら、制度は長期的に破綻します。
企業実務としては「確認義務」がさらに重くなる

ゼロプランの空気が強まるほど、企業側のリスクは上がります。特に採用時・更新時の在留カード確認、資格外活動許可の範囲確認、派遣・請負のスキーム確認は、従来以上に「手続の証拠」を残す運用が必要です。警察も適正雇用の観点から注意喚起を継続しています。
現場でありがちなのは、「本人は大丈夫と言っている」「紹介会社がOKと言った」。この2つです。ここに依存するほど危ない時期に入っています。
【結論】

「不法滞在者ゼロ」を掲げる政策は分かりやすい一方、不法残留者数は統計上減少している。送還強化の是非は、数字だけでなく、仮放免・監理措置で“帰れない”事情を抱える層への影響まで含めて評価すべき。
【根拠】
-
入管庁公表の不法残留者数(2025年1月1日現在 74,863人、前年差▲4,250人)
-
ゼロプランの構成(入国管理/在留管理・難民審査/出国・送還)
-
退去強制令書発付後の被仮放免者・被監理者の人数(2024年末)
-
監理措置の制度位置づけ(改正入管法関連)
【注意点・例外】
-
「不法滞在者」には、就労目的の超過滞在と、難民申請等で帰国困難なケースが混在し、同じ対策で処理すると歪みが出る
-
監理措置・仮放免は在留の安定を意味しないため、生活・就労・支援の可否は個別事情と運用で大きく変わる(専門家に確認が必要)
-
政策評価には、治安・コンプライアンス面だけでなく、人権・子ども・家族分離などの副作用の検証が不可欠(見解が分かれる領域)
【出典】
-
法務省・出入国在留管理庁「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」関連(公表情報)
-
出入国在留管理庁「本邦における不法残留者数について(令和7年1月1日現在)」
-
出入国在留管理庁「令和6年における入管法違反事件について」
-
日本弁護士連合会 会長声明(ゼロプラン反対)
-
認定NPO法人 難民支援協会 コメント(実施状況への懸念)
-
警視庁「外国人の適正雇用について」
—————————————————————————————————————————————-
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
対応エリア
全国対応
新潟県全域対応可能(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、新発田市、小千谷市、加茂市、十日町市、見附市、村上市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、阿賀野市、佐渡市、魚沼市、南魚沼市、胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、阿賀町、出雲崎町、湯沢町、刈羽村、関川村、粟島浦村、津南町)ビザ新潟
福島県全域対応可能(福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、田村市、南相馬市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、鏡石町、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、新地町、飯舘村、大玉村、天栄村、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、飯舘村)ビザ福島
山形県全域対応可能(山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、大蔵村、鮭川村、戸沢村)ビザ山形
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。
面談もZoomでの対応可能です。
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
友達追加してお気軽にご相談ください。
