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TOP > コラム > 東京都の宿泊税3%へ見直し案、外国人観光客はどう見ているのか

東京都の宿泊税3%へ見直し案、外国人観光客はどう見ているのか

2026.01.27
コラム外国人支援
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東京都の「宿泊税3%」見直し案、何が変わるのか

宿泊税というと、いまの東京では「1泊200円まで」という印象が強いかもしれません。ところが東京都は、現行の定額制から、宿泊料金に応じて3%を負担する定率制へ見直す「素案」を公表しています。あわせて、これまで対象外になりがちだった簡易宿所や民泊も課税対象に加える方向です。施行は2027年度を目指すとされています。 

現行制度の骨格も押さえておきます。東京の宿泊税は、2002年10月から導入され、1人1泊あたりの宿泊料金が1万円未満は非課税、1万円以上1万5000円未満は100円、1万5000円以上は200円という定額制です。 

外国人観光客の受け止めは、意外と割れている

ご提示いただいたTOKYO MXの取材では、外国人旅行者の声がきれいに割れています。

賛成側の論点はシンプルです。

「払える人が多く払うのは公平」「税収が観光によるごみや混雑などの問題解決に再投資されるなら納得」という筋立て。

一方で反対・不安側は、東京の魅力を「安くて快適」に置いているのが印象的でした。

「値上がりで選びにくくなる」「家族旅行だと負担が効いてくる」「3%は高い」という感覚。ここは“税の理屈”というより“旅行の肌感”の話です。

この温度差は、制度設計の是非というより、使い道が見えない税に対する不信と、値上がり局面での心理的抵抗が混ざっているように見えます。

なぜ定額200円をやめて、3%に寄せるのか

東京都の説明は「公平性」と「中立性」、そして「制度の簡素さ」です。高額宿泊ほど負担率が下がる定額制の歪みを直し、宿泊料金に応じた負担に寄せる、という考え方ですね。 

Q&Aでも、制度創設から20年以上が経ち、旅行客増や宿泊形態の多様化、宿泊料金の変化など環境が変わったことを理由に挙げています。 

ここで実務的に重要なのは、「誰に課税するか」の線引きです。素案では、低廉な宿泊への配慮として、課税免除基準を1人1泊1万円未満から1万3000円未満へ引き上げるとされています。 

さらに民泊も対象に加える方向で、都の見込みでは民泊のうち約3割が課税対象になる、とされています。 

「3%は高い」のか、数字で考える

感覚論になりやすいので、計算で一度落とします。

いまの制度だと、1泊2万円でも宿泊税は200円。負担率で見ると1%です。

3%になると、1泊2万円で600円になります。増えるのは400円。 

逆に、課税免除基準が1万3000円未満に上がるなら、「低価格帯の宿泊は引き続き非課税」という設計意図は読み取れます。修学旅行の料金帯にも配慮したい、という説明もされています。 

結局、強く影響を受けるのは「そこそこ高い宿泊を選ぶ層」です。ここに納得してもらえないと、SNS上の反発は続きます。

税の使い道が見えれば、納得感は変わる

取材でも「ごみ箱を増やしてほしい」「清掃・治安・衛生」「礼拝スペースやハラール対応が探しやすいと助かる」など、使途のアイデアが出ています。私はこの部分に、この議論の“勝ち筋”があると思っています。

東京都は、宿泊税の使途について、観光施策の計画と結び付けて範囲を明確化し、各年度の対象事業を公表するなど発信を強化する方針を示しています。ごみ問題や混雑対策、民泊の適正運営などサステナブル・ツーリズム関連にも充てる方向です。 

「税を取る」より先に、「その税で何が変わるか」が先に立つ。

旅行者は住民票を移してくるわけではないので、行政サービスの対価が見えないと、途端に“上乗せ”に見えてしまう。ここは、制度の正しさと別に、説明設計の問題です。

行政書士の視点として、少しだけ現場の話

私は普段、在留資格や就労の相談が中心ですが、「制度は説明できて初めて運用できる」という点は共通しています。

たとえば宿泊税も、納税者は宿泊者でも、実務で徴収・申告の負担を背負うのは宿泊事業者側です。東京都も、特別徴収交付金や手続の簡素化を検討するとしています。 

民泊まで対象が広がれば、なおさら「現場が回る仕組み」にしておかないと、制度だけ立派で徴収がガタつく。ここは制度設計の急所です。

もう一つ。外国人だけに課すべきだ、という意見は今後も出るでしょう。けれど東京都のQ&Aでは、宿泊行為に着目する税であること、国籍や居住地で区別すると確認や窓口説明など事業者負担が増えることを理由に、区別しない考え方が示されています。 

「差別しない」のは理念としても実務としても筋が通る一方、だからこそ、使途の見える化で“公平感”を取りに行く必要がある。私はそう感じます。

まとめ:3%はゴールではなく、説明責任のスタート

宿泊税の議論は、税率の数字だけ見れば荒れます。

けれど本質は、観光で生じる追加コストをごみ・混雑・安全・受入環境という形で回収し、都市の魅力を毀損させないための仕組みづくりです。

旅行者が「払ってもいい」と思う条件は、わりと単純です。

払った結果、街が少し快適になっていること。たぶん、それだけです。


記事末尾整理

【結論】

東京都の宿泊税3%見直しは「公平性」の筋は通るが、納得感は「使途の可視化」と「現場負担を潰さない設計」で決まる。

【根拠】

現行の定額制は高額宿泊ほど負担率が下がりやすく、東京都は公平性・中立性等を理由に定率3%への移行、免除基準1万3000円未満、民泊等の対象拡大を素案として提示している。 

【注意点・例外】

・現時点は「素案」であり、条例改正等の手続を経て内容が変更される可能性がある。 

・民泊課税は徴収・申告の実務設計次第で混乱が出るため、制度の詳細確定後に追加確認が必要。

・税制・自治体実務は運用で変わり得るため、最終的には東京都の公表資料と最新Q&Aの確認が安全。

【出典】

・東京都主税局「『宿泊税の見直し(素案)』の公表及びパブリックコメントの実施について」(2025-11-26) 

・東京都「『宿泊税の見直し(素案)』公表・パブリックコメントを実施」(2025-11-26) 

・東京都主税局「宿泊税見直しQ&A」(更新日:2025-11-27) 

・補足(報道例):Reuters配信記事(Japan Times掲載) 

・補足(報道例):毎日新聞(見直し案の報道)

 

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