千葉で、実態のない会社の決算報告書などを作成し、在留期間更新を「営利目的で助けた」として会社役員が逮捕された、という報道が出ました。報酬は16万5千円。
容疑者は「作成して手渡したのは間違いないが、ペーパーカンパニーとは分からなかった」と否認している、と。
この種のニュースが出るたび、相談の現場で思い出す場面があります。
申請人本人が持ってきた分厚い資料の束に、こちらが目を落とすと、書式がやけに整いすぎている。数字の流れが“きれいすぎる”。そして決まって、本人は中身を説明できない。悪意があるというより、怖いのは「任せきり」の空気です。
入管法だけの話では終わらない

虚偽の資料で在留の許可を得ようとする行為は、当然、入管法上の重大リスクです。刑事事件になるかどうかは個別事情ですが、少なくとも在留審査の土台を壊します。
さらに、行政処分としての「在留資格の取消し」という地味だけれど重い制度が横にあります。入管庁は、虚偽の申請や虚偽書類の提出が取消しの対象になり得ることを明確に整理しています。
ここで厄介なのは、申請人本人だけの問題に見えて、実務では周辺が連鎖していく点です。会社、関与者、紹介者、そして「書類を作った人」。
では、入管申請の添付書類を“誰に頼むべきか”

入管申請は、申請書だけでなく添付資料が勝負になります。特に「経営・管理」は、実態や継続性を示すために、決算・契約・取引・納税・事業活動の説明資料が要になります。
ここに第三者が関わるとき、役割分担を曖昧にすると事故が起きます。
私の実務感覚でいえば、最低限、次の線引きが必要です。
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決算・税務の中核は税理士領域
決算書そのものを作るなら、税理士の関与が自然です。行政書士が「それっぽい決算書」を作る発想自体が危険ですし、無資格者がそれを売り物にしているなら論外に近い。
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入管提出の“説明資料”は行政書士の守備範囲になり得るが、前提がある
行政書士の業務は「官公署に提出する書類の作成」を業とする点に根拠があります。
ただし、他士業の専管に踏み込めませんし、当然、虚偽を整える仕事ではありません。ここを履き違えると、申請人を助けたつもりで全員が沈みます。
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“コンサル料”“会費”名目で書類作成をする無資格者は、今後さらに危うい
行政書士法の業務制限(無資格者の書類作成)について、「名目を問わず報酬を得て」が明確化された経緯が、日行連の発信でも確認できます。
つまり「コンサルだから大丈夫」「無料サポートです(でも別名目で回収)」が、通りにくくなっていく流れです。
無資格支援が入り込む“すき間”はここ

無資格支援は、だいたい次の言い回しで入ってきます。
・申請は本人がやる。私は資料を整えるだけ
・提出はしない。作成の手伝いだけ
・代行ではない。会費(サポート費)として受け取るだけ
しかし入管実務は、書類の「体裁」より「責任の所在」が重要です。
誰が何を判断し、どの事実を根拠に、どの資料を作ったのか。ここが追えるかどうかが、トラブル時の生死を分けます。
会社側の内部統制 ここだけは押さえたい

企業が外国人雇用や在留手続に関わると、入管手続は人事だけの仕事ではなくなります。
経理、総務、現場、代表印の管理まで巻き込みます。だから統制が必要です。
実務上、効果が高いのは次の3点です。
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入管提出書類は「写し一式」を会社側でも保管する
申請人任せにせず、会社が提出物の控えを持つ。
更新のたびに“前回何を出したか”が追える体制にする。 -
決算・納税・登記事項は「発行ルート」を固定する
決算書は税理士、納税証明は税務署等、登記事項証明は法務局等。
入手経路が揺れるほど、偽造や改ざんが混ざりやすくなります。 -
“実態”の説明は、現場の言葉で作る
取引先、仕入、契約、従業員の稼働、オフィス、業務日報。
薄い会社ほど、ここがスカスカになります。逆に、実態がある会社は、少し泥くさい資料が出てくる。
それが強い。
最後に 「知らなかった」は免罪符にならないことがある

今回の報道では「知っていたにもかかわらず」とされ、本人は否認していると書かれています。
この“認識”の争いは、刑事でも行政でも核心になりがちです。
だからこそ、最初から「見えない人に任せない」「説明できない書類は出さない」。これが一番安い保険です。
入管申請は、通れば終わりではなく、次の更新、次の審査、将来の永住・帰化にも履歴として残ります。
一度こじれると、取り返すのに時間がかかる。ここは、現場の肌感として強く言っておきたいところです。
記事末尾整理
【結論】
入管向けの虚偽資料は入管法リスクに直結し、関与者が報酬を得て書類作成に踏み込めば行政書士法上の問題も生じ得る。会社は提出物の統制で「任せきり」を断つべき。
【根拠】
・虚偽の決算報告書等作成で在留更新を助けたとして逮捕、報酬授受の報道。
・在留資格取消しの制度上、虚偽申請・虚偽書類提出が取消し対象になり得る旨の入管庁の整理。
・行政書士の業務(官公署提出書類の作成)と、無資格者の業務制限(報酬要件の明確化を含む)。
【注意点・例外】
・本件が行政書士法違反に「確実に該当する」とは、報道情報だけでは断定できない(依頼関係、業としての反復性、対価性、関与態様などで評価が分かれる)。
・税務・会計領域は税理士等の職域が絡むため、案件設計は専門家に確認が必要。
【出典】
・共同通信(news.jp)報道記事。
・e-Gov法令検索:行政書士法。
・出入国在留管理庁:在留資格の取消し(入管法22条の4の解説)。
・日本行政書士会連合会:改正行政書士法施行に関する発信。
・(参考)改正19条の趣旨整理資料(業界団体向け通知)。
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