「結局、どの業界がどれだけ受け入れるの?」
この質問が、ここ最近いちばん増えました。
政府は、特定技能と、技能実習に代わる新制度「育成就労」について、分野別の受入れ見込み数(5年分)を示しています。
ポイントは、これが単なる“目安”ではなく、実務上は「上限として運用する」前提で設計されていることです。
「123万人枠」の中身は、製造業と建設で半分近い

まず全体。5年間の上限として整理されているのが、特定技能 80万5,700人、育成就労 42万6,200人、合計 123万1,900人です(令和11年3月末まで)。
この数字を眺めると、需要が“面で広い”業界に厚く割り振られているのが分かります。
分野別の総数(特定技能+育成就労)で目立つ上位は、だいたいこの並びです。
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分野(合計) |
受入れ見込み数 |
|---|---|
|
工業製品製造業 |
319,200 |
|
建設 |
199,500 |
|
飲食料品製造業 |
194,900 |
|
介護 |
160,700 |
|
農業 |
99,600 |
特に「工業製品製造業(319,200)」が突出しています。製造は地域分散が強く、工程も多い。景気の波を受けながらも、現場は慢性的に人が足りない。数字に“現場の粘り”がにじみます。
特定技能と育成就労は、役割が違う。企業の設計も変わる

制度の説明としてはよく言われる話ですが、実務ではここを曖昧にすると事故ります。
-
特定技能:即戦力の補完(すぐ現場に入ってもらう設計)
-
育成就労:3年の就労で特定技能1号水準を目指す(育てて定着させる設計)
つまり、同じ「外国人材の受入れ」でも、採用・教育・評価・賃金テーブルの作り方が変わる。
育成就労を“安い労働力”の代替として扱うと、制度趣旨とズレるだけでなく、のちの監督・指導の局面で説明が苦しくなります(これは経験則として強く感じます)。
分野によって「育成就労が厚い」か「特定技能が厚い」かが違う

同じ合計人数でも、中身は分野でかなり違います。
たとえば建設は、育成就労が 123,500 と大きく、特定技能 76,000 を上回っています。
建設は安全衛生教育や技能形成に一定の時間が必要、という政策判断が透けて見えます。
逆に、外食は特定技能 50,000 に比べ、育成就労 5,300 とかなり薄い。
現場感としては、入れ替わりが多く、教育設計が会社ごとにバラつきやすい。だからこそ“即戦力寄せ”にしたい、という整理なのかもしれません(推測ですが)。
「自動車運送業」「航空」は、現時点で育成就労の対象外

ここは読み落とされやすいので明記します。自動車運送業と航空は、表上、育成就労が付いていません(特定産業分野のみ)。
つまり、これらは当面「特定技能だけ」で組み立てる必要があります。社内の採用計画や教育投資の考え方も変わります。
転籍(本人意向の職場変更)は“解禁”される。ただし、分野で縛りが違う

育成就労のキモは、本人意向の転籍が制度として予定されている点です。技能実習の時代とは空気が変わります。
一方で、転籍制限期間は「当分の間、1年から2年の範囲」で分野別に設定されます。
さらに、資料上、2年が明示されている分野もあります(介護、建設、造船・舶用工業、自動車整備、工業製品製造業、飲食料品製造業、資源循環など)。
ここ、企業側の実務論点はシンプルです。
-
1年型の分野:採用しても「1年後に動く」前提で教育・配置を組む必要がある
-
2年型の分野:育成投資の回収期間を2年で見やすい反面、処遇改善や納得感の設計が甘いと不満が溜まる
転籍がある世界では、「辞めないでね」ではなく、「辞めたくならない職場設計」をするしかない。結局そこに戻ってきます。
日本語要件は、A1→A2.1→A2.2→B1という“階段”で管理される

資料上の一般的整理では、育成就労の開始時はA1相当以上、転籍時A2.1相当以上、育成終了時(特定技能1号相当)A2.2相当以上、2号でB1相当以上が示されています。
この階段設計は、現場の教育担当にとってはありがたい面もあります。「いつまでに何を」 が言語化できるからです。
ただ、現場でありがちな落とし穴もあります。
A2.2に上がる頃から、仕事上のミスは減る一方で、「言いたいことが言える」ぶん、待遇や人間関係への不満も言語化される。ここで会社の受け皿が弱いと、転籍カードが現実になります。
行政書士として、企業に先に伝えておきたいこと

分野別の人数表は、ニュースとしては“数字の大きさ”が目立ちます。
でも実務者としては、次の2点が核心です。
1つ目。受入れ見込み数は、申請の可否を左右する「運用上の枠」になり得るということ。
2つ目。育成就労は、採用よりも「育成・定着」の設計が問われる制度だということ。制度がそう作られている以上、そこを外すと、あとで必ず歪みが出ます。
数字は冷たい。でも、数字の裏には、現場の人間と生活があります。
だからこそ、受け入れる側の準備は、書類以前に「職場の筋肉」をつける作業だと思っています。
【結論】

特定技能・育成就労の受入れ見込み数(計123万1900人)は分野別に“上限として運用”される設計で、製造業・建設・飲食料品製造・介護に厚い。企業は採用より先に、育成・定着と転籍リスクを織り込んだ職場設計が必要になる。
【根拠】
-
受入れ見込み数(特定技能 805,700、育成就労 426,200、合計 1,231,900)と分野別内訳が政府資料に明記されている。
-
育成就労の転籍制限期間(当分の間1〜2年、分野により2年明示)と日本語水準の段階基準が示されている。
【注意点・例外】
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分野別運用は、人手不足の状況等を踏まえて見直され得るため、実務では最新資料の確認が必要になる。
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自動車運送業・航空は現時点で育成就労の対象外(特定技能のみ)として整理されている。
-
各分野で上乗せ基準や実務運用があり得るため、個別案件は専門家に確認が必要。
【出典】
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内閣官房「分野別運用方針(案)の主要な記載事項(資料2-1)」
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内閣官房「特定技能制度・育成就労制度の分野別運用方針に関する有識者会議の主な御意見と対応(資料2-3)」
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朝日新聞SMBiz(ツギノジダイ)「外国人人材の特定技能と育成就労…分野別受け入れ見込み数」
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