日本人90万人減・外国人35万人増が意味する未来とは？人口統計から見る外国人受け入れ政策

2025.08.20
コラム外国人雇用就労ビザ技能実習制度特定技能制度育成就労制度

日本人90万人減、外国人35万人増──数字が語る日本の現在地

2025年8月6日、総務省が公表した住民基本台帳に基づく人口統計によると、日本人の人口は前年より90万8574人減少し、1億2065万人となりました。

これは1968年の調査開始以来、初の90万人超えの減少幅であり、日本社会の構造変化を如実に示しています。

一方、外国人の人口は35万4089人増と過去最大の伸びを記録し、総数は367万人に達しました。この構図は「日本人が減る一方、外国人が増えて支える」という、これからの日本社会の縮図とも言える現実です。

外国人増加の背景にある「制度」と「現場」

日本に暮らす外国人が増加している背景には、以下の在留資格制度が深く関わっています。ここでは主な制度とその役割をご紹介します。

1. 技能実習制度（1993年開始）

  • 建前は「技術移転」ですが、実質的には労働力補填の制度として機能してきました。

  • 製造業、農業、建設、介護などで特に活用され、現在でも約30万人が在籍しています。

  • 一方で、人権侵害や中間搾取の問題も多く、制度の見直しが進められています。

❗️政府は2027年を目途に「育成就労制度」へ移行する予定です。

2. 特定技能制度（2019年施行）

  • 上記の技能実習制度の後継的性格を持ち、即戦力となる外国人を直接雇用できる制度。

  • 介護、外食、建設、宿泊、農業など14分野で活用可能。

  • 転職や家族帯同が可能な場合もあり、より自由度の高い在留資格です。

 

3. 技術・人文知識・国際業務（いわゆる「技人国」）

  • 留学生の進学・就職ルートの終着点としても多く使われます。

  • 通訳、貿易、SE、経理などのホワイトカラー職に対応。

  • 一般企業での採用が活発化しており、外国人雇用の中核的在留資格となっています。

4. 留学生からの就職ルート

  • 日本の大学・専門学校を卒業した外国人が、「技人国」などに切り替えて就職。

  • 特に日本語学校→専門学校→就職の流れが強化されており、年々増加しています。

 

地域別動向：東京だけが日本人増加、外国人は全国的に増加

今回の統計で注目すべきは、日本人の人口が増加したのは東京都のみである一方、外国人は全47都道府県で増加した点です。

これは次のような傾向を表しています

  • 地方の製造業や介護施設が外国人労働力に依存

  • 地方自治体が独自に「外国人誘致」や「多文化共生施策」に取り組んでいる

  • 都市部だけでなく、地方でも外国人が地域経済の重要な担い手になっている

 

今後の課題：制度の見直しと地域共生の実現

外国人の受け入れが進む一方で、制度や社会的対応はまだ発展途上です。以下のような課題が挙げられます。

  1. 制度の整合性・簡素化

    • 技能実習と特定技能の棲み分けが曖昧

    • 手続きが複雑で企業・支援者に負担大

     

  2. 地域の受け入れ体制

    • 多言語対応の行政窓口が未整備な自治体も多い

    • 保育・教育・福祉サービスの外国人対応が遅れている

     

  3. 外国人の人権と労働環境の確保

    • ブラック企業問題、転職制限、不法就労の温床化

    • 中間搾取や高額な手数料問題

     

 

行政書士として果たすべき役割

行政書士は、在留資格手続の専門家であると同時に、外国人と日本社会をつなぐ「伴走者」でもあります。

  • 外国人雇用を考える企業へのアドバイス

  • 技能実習・特定技能・技人国などの適切なビザ申請支援

  • 外国人本人との直接的なコミュニケーション支援

  • 自治体や支援団体との連携による地域共生サポート

 

行政書士としてできることは、単なる申請代行を超え、制度と現場をつなぐ橋渡しにあると考えます。

まとめ：人口統計は「未来の社会」を映す鏡

日本人の減少と外国人の増加。

これは偶然ではなく、日本の社会構造の転換期を示すサインです。

制度と現場をつなぎ、「ともに生きる社会」へ。

行政書士としてその実現に向け、これからも一歩一歩取り組んでまいります。

 

 

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