地方の「空き家」と「土地」を福利厚生に
特定技能2号で“家族が暮らせる採用”を実現する実務ガイド

皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。

人口減少が進む地方では、住まい・通勤・生活環境そのものを福利厚生化できる余地が大きい。

最近の議論でも、空き家や広い土地、混雑しない通勤環境は、家族帯同が可能な特定技能2号人材にとって強い訴求材料になり得ると指摘されています。

一方で、制度や労務の落とし穴を踏むと逆効果となります。

この記事では、制度の最新ポイントと企業が今すぐできる設計術を、行政書士の現場感で整理します。

1. まず押さえる：特定技能2号の「家族」「在留」のツボ

• 家族帯同OK（配偶者・子）：2号は在留資格「家族滞在」で帯同が認められます。
  ※1号は原則不可。

• 更新に“上限なし”：2号は在留期間を更新する限り上限なく在留可能（付与は3年・1年・6か月等）。長期就労・定着前提の設計ができる。

• 対象分野は拡大中：創設当初の建設・造船から、2024年にかけて関連分野へ段階的に拡大されました。
  例として飲食料品製造での2号試験情報の公表など。採用計画は分野ごとの告示・試験実施状況を確認しつつ設計を。
  ※介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業については２号は2025年現在無し。

2号の“家族×長期”という特性は、「暮らす前提の福利厚生」を整えやすい地方にこそ追い風です。

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2. 住まいの設計：空き家を“家族で住める社宅”に変える

日本の空き家率は約13.8%。地方には手当のある住宅や広い土地が残りやすく、社宅・借上げ社宅化で“即入居”の強みを作れます。

まずは国交省の「全国版空き家・空き地バンク」で在庫と相場を把握ができます。
→補助金や改修支援のある自治体も多くあります。

実務チェック

• 労働条件通知書に明示（家賃自己負担額・光熱費・敷金立替等）。

• 家賃の天引きは“24協定”が前提（賃金全額払いの例外）。寮費・駐車場代等の控除は労使協定の書面が必要です。

• 住居地の届出：入居・転居後14日以内に市区町村で住所届。家族帯同でも同様。企業の伴走体制を。

 

体験価値の上乗せ

• 家具家電・Wi-Fi付き、子ども部屋設計、園・学校の手続き同行することにより、より外国人も安心できます。

• 市民農園の区画確保（家庭菜園）で“暮らしの楽しみ”を提供。
  法制度に沿えば企業・NPOでも開設可能。

 

3. 通勤ストレスをゼロへ：徒歩・自転車・送迎で“電車不要設計”

大都市の満員電車は家族持ち・地方志向の人材に不人気の原因の一つとなっています。

「職場徒歩圏の社宅」「自転車貸与」「送迎バス」で鉄道に頼らない通勤を作ると離職抑止に効きます（現場体感）。

マイカー通勤の留意

• 外免切替の厳格化が2025年10月施行予定（警察庁方針）。
  短期滞在者の切替不可、住民票での住所確認徹底へ。赴任初期は送迎や自転車中心に設計し、安全教育・任意保険加入が必要となります。

 

4. 家族帯同の実務：“暮らしの手続き同伴”までが採用

• 配偶者の就労：在留「家族滞在」は資格外活動許可で週28時間までの就労可。
  雇用側も時間合算管理を徹底する必要があります。

• 教育・保育：就学時健診・転入学、保育所入所申請のカレンダーを多言語で案内してあげることがより良いサポートにつながります。

• 日本語学習：自治体講座＋eラーニング補助を家族単位で。
  日本語の学習機械の提供は今後より職場定借に重要な役割を果たします。外国人労働者のみならず、家族も日本語学習できる機会の提供は、労働者の日本語学習のモチベーション維持の一つになると考えます。

「採用」は入国手続きで終わらず、“家族の生活立ち上げ”までセットにすると定着率が跳ね上がります（当事務所の顧問先でも体感あり）。

5. 地方企業のための

福利厚生メニュー

1. 住まい：空き家社宅（3LDK目安）／家具家電付／初期費用会社負担（上限）／家賃本人負担は給与控除（24協定）

2. 通勤：徒歩圏社宅／電動自転車貸与／送迎車運行／免許取得・切替までの代替手段提供（外免切替厳格化を考慮）

3. 家族サポート：入園・転入学同行／多言語書類サポート／配偶者の資格外活動許可申請同行（28時間ルール説明）

4. 地域定着：市民農園利用枠の確保／自治会紹介／地域イベント参加支援

5. 手続き：住居地届（14日以内）・マイナンバー取得・保険年金加入・銀行口座開設の同日ワンストップ

6. よくある失敗と回避術

• 寮費の“無断天引き”：労使協定なしはNGです。
  必ず控除協定を締結し、労働条件通知書に明記しましょう。

• 住所未届出：引越し後の14日ルールを見落としがち。入居当日に市役所へ行き手続きを行うようにしてください。

• “車ありき”採用：外免切替が間に合わず通勤不能→退職になることも。
  就業開始～数か月は非自動車通勤の仕組みを前提に採用計画を立てましょう。

• 分野確認不足：2号の対象・試験は分野別に運用が違うことに注意。
  受け入れ前に必ず最新告示・試験日程を確認しましょう。

 

7. まとめ——“暮らしの設計”が、都市より強い採用力になる

地方には空き家・土地・静かな生活という資産が残っています。

特定技能2号の家族帯同・長期在留と組み合わせ、住まい・通勤・子育てまでを一体設計にすれば、「給与だけでは勝てない」競争も勝ち筋が見えるはずです。

制度面は変化が続くため、公的ソースでの裏取りと更新を前提に進めましょう。

 

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