日本人も「不法就労」で拘束？米国で起きた摘発事件から学ぶ在留資格の落とし穴

皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。

アメリカ・ジョージア州の韓国企業工場で、資格外活動による不法就労の疑いで475人が拘束されました。その中には、日本人男性3人も含まれていたとの報道があります。

特に注目すべきは、日本人2人が「出張ビザを取得して渡米していた」という点です。

つまり、ビザを持っていても、その活動内容が許可範囲を超えていれば「不法就労」とされる可能性がある、ということです。

１．「ビザ＝自由に働ける」ではない

日本人の場合、海外出張の際に「商用ビザ」や「短期商用滞在（B-1ビザなど）」を利用することがあります。

しかし、これらはあくまでも「会議・商談・契約締結・展示会参加」などの短期間の商業活動に限定されています。

実際に現地の工場やオフィスで、製造や実務作業に従事した場合は、労働ビザ（例：アメリカならH-1BやL-1など）が必要です。

２．なぜ「不法就労」と判断されるのか

移民当局の判断基準は厳格で、

• 現場で肉体的・実務的な作業をしていないか

• 現地の従業員と同様の業務に従事していないか

• 実際の仕事内容が入国時に申告した目的と一致しているか

  がチェックされます。

「少し手伝っただけ」「技術指導のつもりだった」といった認識の違いが、結果的に拘束や強制送還につながることもあります。

３．企業が注意すべきポイント

今回のケースは韓国企業の工場でしたが、日本企業も例外ではありません。
実際に、

• 海外子会社や工場に日本人社員を派遣するとき

• 技術指導や研修で外国に渡航させるとき

  には、必ずその国の入国管理法に適合したビザを取得する必要があります。

「短期出張ビザで十分だろう」と軽く考えると、今回のような摘発リスクに直結します。

４．日本国内との共通点

この問題は、日本の入管法にも共通しています。

例えば、短期滞在ビザで来日した外国人が「商談」ではなく「現場作業」をすれば不法就労です。
逆に、日本人が海外で同じことをすれば不法就労とされる。

「どの国でも、在留資格と実際の活動が一致しているか」が絶対条件です。

５．まとめ

今回の事件は、日本人にとっても決して対岸の火事ではありません。

企業としては、

• 出張前に業務内容とビザ要件を照合する

• 法務・人事部門が一括で管理し、社員任せにしない

• 現地法律の専門家や行政書士と連携する

  といった体制整備が求められます。

不法就労と判断されてしまえば、本人はもちろん、企業ブランドや取引にも大きな打撃となります。「知らなかった」では済まされないのが入管法の世界なのです。

 

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