知らずに雇っても違法になる?外国人雇用時の確認義務とリスク管理
皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
— 胎内市で不法残留者を雇用した疑い、中国籍の飲食店従業員を逮捕 —
◆はじめに

2025年10月22日、新潟県胎内市の飲食店で、不法に残留していた中国人男性(35)を働かせたとして、同じく中国籍の調理師の男(51)が「不法就労助長」の疑いで逮捕されました。
報道によれば、雇用主の男性は「オーバーステイの状態であることを知らなかった」と容疑を否認しています。
一見すると「知らなかったのだから仕方ない」と思われがちですが、外国人を雇用する企業・店舗経営者には、在留資格の確認義務が法律で課されています。
今回は、行政書士の視点から、不法就労助長罪のリスクと、雇用時に行うべき実務対応を整理します。
◆不法就労助長罪とは?「知らなかった」では済まされない

不法就労助長罪は、出入国管理及び難民認定法第73条の2に規定されています。
内容を簡単にまとめると、次のような行為が対象です。
-
在留資格のない外国人を雇う
-
在留資格の範囲外の仕事をさせる
-
不法就労をあっせん・仲介する
この罪が成立すると、5年以下の懲役または500万円以下の罰金という重い刑事罰が科される可能性があります。
また、法人が関与していた場合には両罰規定が適用され、企業自体も処罰の対象になります。
つまり、「本人が在留資格を持っていないことを知らなかった」という主張は、確認を怠った雇用主の過失として判断されるリスクが極めて高いのです。
◆雇用時に必要な「在留カード確認」のポイント

外国人を雇用する際は、必ず在留カードを確認し、その在留資格で就労が可能かどうかを判断しなければなりません。
チェックすべきポイントは以下の3点です。
-
在留カードの有効期限
→ 有効期限が切れていないかを必ず確認。更新申請中であれば、申請受付票の提示を求める。
-
在留資格の種類
→ 「留学」「家族滞在」など、就労制限のある資格の場合は資格外活動許可の有無を確認。
「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」などは就労可。
-
就労制限の有無の欄
→ 「就労不可」「指定された活動のみ可」とある場合は注意。
内容が業務に合致しているかを確認し、疑問があれば入管庁や行政書士に相談を。
さらに、雇用開始後も定期的にカードの期限・在留期間を確認する体制を整えておくことが重要です。
◆「雇用対策法上の届出義務」も忘れずに

外国人を雇用する際は、外国人雇用状況届出(雇用対策法第28条)の提出も必要です。
事業主は、外国人労働者を雇い入れたとき・離職したときのいずれも、ハローワークに届け出る義務があります。
この届出は、在留カード情報を確認するきっかけにもなります。
怠った場合は、30万円以下の罰金が科されることもあるため、実務上も必須の手続きです。
◆実務でありがちな「見落としリスク」

行政書士として相談を受ける中で、特に中小飲食店や建設業で多いのが次のケースです。
-
知人の紹介で雇用し、在留カードをコピーしていない
-
派遣・請負先からの人材で、資格確認を相手任せにしている
-
「更新中だから大丈夫」と言われ、申請受付票の確認をしていない
いずれも「悪意がなかった」ケースですが、結果的に不法就労助長罪が成立した事例は少なくありません。
つまり、確認を怠ったこと自体が過失とされるのです。
◆安全に雇用するためのチェックリスト

外国人を雇う際に最低限押さえるべきポイントを、簡単にまとめておきます。
|
チェック項目 |
内容 |
|---|---|
|
在留カードの確認 |
有効期限・在留資格・就労可否の3点確認 |
|
コピーの保管 |
雇用開始時に両面コピーを保管(個人情報管理を徹底) |
|
資格外活動許可の確認 |
「留学」「家族滞在」などの資格では特に注意 |
|
雇用状況届出 |
ハローワークへの届出を2週間以内に実施 |
|
定期点検 |
半年に1回は在留カードの期限・資格を再確認 |
|
相談体制 |
不明点があれば行政書士や入管窓口へ早めに相談 |
これらをルール化し、店舗や会社全体で運用できるようにしておくと、不法就労のリスクを大幅に下げられます。
◆まとめ:小規模店舗ほど「仕組み化」が大切

今回の胎内市の事例は、地方の小さな飲食店でも外国人雇用に関するトラブルが起こり得ることを示しています。
経営者自身が在留カードの見方を理解し、確認・保管・届出のルールを日常業務に落とし込むことが重要です。
「知らなかった」では済まされないのが外国人雇用の世界。
採用時のひと手間が、店舗の信用と経営の安定を守る最大の防止策になります。
—————————————————————————————————————————————-
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
対応エリア
全国対応
新潟県全域対応可能(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、新発田市、小千谷市、加茂市、十日町市、見附市、村上市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、阿賀野市、佐渡市、魚沼市、南魚沼市、胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、阿賀町、出雲崎町、湯沢町、刈羽村、関川村、粟島浦村、津南町)ビザ新潟
福島県全域対応可能(福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、田村市、南相馬市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、鏡石町、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、新地町、飯舘村、大玉村、天栄村、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、飯舘村)ビザ福島
山形県全域対応可能(山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、大蔵村、鮭川村、戸沢村)ビザ山形
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。
面談もZoomでの対応可能です。
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
友達追加してお気軽にご相談ください。
◆筆者プロフィール
播磨 史雄(行政書士)|Asocia行政書士法務事務所
新潟県を拠点に、外国人の在留資格申請・企業の外国人雇用支援を専門とする。
講演・セミナー・監査対応など多数。
「経営者が安心して外国人を雇える社会を」をテーマに活動中。
