皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
10月中旬、新潟市でベトナム人技能実習生2名が麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的輸入)の疑いで逮捕されたというニュースが報じられました。
摘発のきっかけは、新潟税関支署による検査で小包の中からMDMA約992錠(約525グラム)とケタミン約494グラムが発見されたこと。末端価格は数百万円規模とみられ、個人使用を超えた営利目的の密輸計画だったとされています。
容疑者は地元の企業に技能実習生として勤務しており、他にも共犯とみられる人物が逮捕されています。
この事件は単なる一個人の犯罪にとどまらず、受入企業の監理体制・採用管理の在り方にも深い示唆を与えるものです。
■ 1. 技能実習制度の「受入れ=雇用」ではない現実

技能実習制度では、企業(受入企業)は「雇用主」である一方で、制度上は監理団体が主導して技能実習計画を作成し、生活指導を行うという二層構造になっています。
そのため、企業側が「監理団体が面倒を見るから」と関与を限定しがちですが、実際には企業の現場での生活・交友関係・経済状況までは監理団体が把握できないことが多いのが実情です。
今回のような薬物犯罪の場合、
・勤務中の様子に異変がなかったか
・金銭トラブルや急な収入変化がなかったか
・不自然な郵便物や送金記録がなかったか
といった兆候を、企業が早期に察知できる仕組みがなければ防ぐことは難しいでしょう。
■ 2. 「監理団体任せ」では防げない不正・犯罪リスク

技能実習制度は、労働力確保と国際貢献の二つの目的を掲げていますが、現場では「安価な労働力」として扱われるケースも少なくありません。
こうした背景の中で、孤立した実習生が犯罪グループに取り込まれるリスクが高まっています。
監理団体が月1回程度の巡回や面談を行っていても、実際に実習生が抱える問題(借金、送金プレッシャー、SNS経由の違法勧誘など)を把握できていないことが多いのです。
つまり、形式的な監理だけでは犯罪防止にはならないという現実があります。
■ 3. 企業が今すぐ見直すべき3つの実務ポイント

行政書士として現場を見てきた立場から、今回のような事件を防ぐために企業が取るべき実務対策を3点に整理します。
(1)生活・金銭状況の把握と相談体制の確立
技能実習生の多くは、仕送りや借金返済のプレッシャーを抱えています。
給与明細や送金パターンを確認し、異常な出費や収入の変動があれば監理団体と共有するなど、「見える化」が重要です。
また、通訳スタッフや外国人OBを活用した匿名相談窓口を社内に設けることで、早期発見につながります。
(2)監理団体との連携強化と「報告・共有ルール」の明確化
監理団体からの定期報告を受けるだけでなく、現場責任者が巡回時に必ず同席し、企業としての観察情報を共有することが求められます。
また、入国直後のオリエンテーションでは「薬物犯罪・SNS勧誘・副業禁止」など、日本語+母語での教育資料を配布することも有効です。
(3)採用段階での情報確認とリスク選別
採用時に、送り出し機関・監理団体・過去の実習履歴をしっかり確認し、「転籍を繰り返している」「金銭トラブルを抱えている」候補者は慎重に判断することが必要です。
また、入国後の在留カード・パスポート・健康保険証などのコピー管理を徹底し、不正使用や偽造書類への警戒意識を持つことも欠かせません。
■ 4. 「企業責任」と「共生支援」の両立が不可欠

企業にとって最も重要なのは、「問題が起こったときにどう対応したか」ではなく、「問題が起こらないように仕組みを整えていたか」です。
技能実習生が犯罪に関与した場合、企業は直接的な刑事責任を問われないことが多いものの、
・社会的信用の失墜
・監理団体や地域社会からの信頼低下
・今後の受入停止リスク
といった影響は避けられません。
その一方で、実習生の多くは真面目に働き、家族のために努力している若者です。
ごく一部の事件をもって「外国人=危険」という印象を持つことは避けるべきです。
だからこそ、「教育・支援」と「監理・統制」を両立できる体制が、これからの外国人雇用には求められます。
■ 5. 行政書士が支援できる領域

行政書士としては、
・受入企業と監理団体の契約内容の見直し
・技能実習計画や雇用契約書の整備
・再発防止のための社内研修(法令遵守・在留管理)
・警察・入管からの問い合わせ対応体制の整備
といった部分で、法的・制度的なサポートを行うことが可能です。
外国人材の受入れは「採用」ではなく「社会的責任」です。
企業の現場から法令遵守と共生意識を根付かせることが、こうした事件の再発を防ぐ唯一の道だと言えます。
【まとめ】

今回の麻薬密輸事件は、技能実習制度の構造的な脆弱さと、企業の監理体制の課題を浮き彫りにしました。
外国人材を活用する企業は、監理団体任せにせず、自社内でのチェック体制・教育・相談環境を整えることが急務です。
「雇用の延長線上にあるコンプライアンス」を再認識し、地域社会の信頼を守る仕組みづくりを進めていきましょう。
【著者】
行政書士 播磨史雄(Asocia行政書士法務事務所)
外国人在留資格・企業の外国人雇用支援専門
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