【行政書士コラム】グリーンランドが外国人の不動産取得を制限へ―世界で広がる「土地規制」の流れと、日本の今後を考える―
皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
【結論】

グリーンランド議会が外国人による不動産取得を制限した背景には、
①地政学的リスク、②資源確保のための安全保障、③地域住民の生活圧迫防止
という3つの要素がある。
これは日本にとっても対岸の火事ではなく、すでに施行されている
「重要土地等調査法」「外為法に基づく対内直接投資審査」
との関連も含め、今後「外国人による不動産取得」への議論が加速する可能性がある。
1. グリーンランドの新法は何を規制するのか(わかりやすく解説)

AFP報道によれば、グリーンランド議会(定数31)は11月13日夜、外国人による不動産取得を大幅に制限する法案を可決した。
◆ 新法のポイント
-
デンマーク国籍以外の国民・外国企業は、永住権が必須
-
過去2年間、グリーンランドで税金滞納がないことも条件
-
購入できるのは「グリーンランド・デンマーク・フェロー諸島の個人・企業」に限定
事実上、米国などの外国投資家が土地を買うハードルは極めて高くなった。
背景には、
トランプ大統領が同島の領有に興味を示し、米国人投資家の関心が急上昇していた(AFP報道より)。
という国際政治的な事情がある。
2. 規制の理由:なぜグリーンランドは土地取得を制限したのか?

主な理由は次の3つ。
■① 地政学リスクと安全保障の懸念
グリーンランドは北極圏に位置し、軍事・海上交通の要衝。
資源(レアアース等)も豊富で、米中欧が注視する地域。
外国による大規模買収は、軍事拠点化・インフラ支配への懸念
を招くため、土地規制が必要と判断されたと考えられる。
■② 地元住民の生活圧迫
投資目的の買い占めが進めば、小規模コミュニティにおいて住宅価格が急騰し、
若年層が住めなくなる。
これは日本の地方都市でも起きている問題で、
「富裕層のセカンドハウス購入 → 価格高騰 → 地元住民が不動産を買えない」
という構図は世界共通とも言える。
■③ 行政による土地管理の必要性
極地の自然環境を守りつつ、集中投資を適切にコントロールするために
“誰が所有者かを把握できる状態” が不可欠。
日本でも、「所有者不明土地問題」が大きな社会問題になっており、
土地所有者を把握することは行政共通の課題である。
3. 日本の制度との比較:すでに“入口規制”の流れが進む

■(1)「重要土地等調査法」(2022施行)
自衛隊基地・海上保安庁・国境離島など
安全保障上重要な区域周辺の土地取得は政府が調査
できる仕組み。
-
購入自体の禁止ではない
-
ただし「利用目的調査」「勧告」が可能
→ グリーンランドほど強力ではないが、日本も安全保障を理由とした規制を既に導入している。
■(2)外為法(対内直接投資)の事前審査
外国人が日本企業や不動産に投資する際、
国の安全保障や公共秩序に関わる場合は審査が入る。
→ 港湾・空港・電力など“基幹インフラ”の周辺で要注意。
■(3)自治体独自の土地取引条例
北海道の一部自治体では、外国人所有による森林買収 に対し、
「用途明示」「取引報告」を求める条例が広がっている。
4. 行政書士としての見立て:今後の日本はどうなる?

【見立て①】
外国人の土地取得”全面禁止”は現実的ではないが、特定地域での規制は強化される可能性が高い。
理由
-
安全保障上の懸念(港湾・空港・国境離島など)
-
水資源・重要インフラへのアクセス
-
地方の価格高騰問題(スキーリゾート等)
【見立て②】
不動産会社・自治体は、所有者情報の把握を求められる時代へ。
すでに
-
相続土地国庫帰属制度
-
登記義務化(罰則あり)
が始まり、所有者把握の流れは不可避。
海外投資家が入れば手続も複雑化し、行政書士へ相談が増える可能性が高い。
【見立て③】
「外国人VS日本人」という構図ではなく、“安全保障と地域住民の生活をどう守るか”が本質。
外国人による土地買収は、感情的に議論されがちだが、国際的には「安全保障」と「地域を守る」という観点で扱われている。
グリーンランドの例はまさにその象徴である。
5. 日本が学ぶべき教訓

■① 価格高騰の抑制策
観光地やリゾート地での価格急騰は、地元住民が年々家を買えなくなる構図を生みやすい。
■② 透明性の担保
所有者の把握、税金の滞納確認、用途の説明は国際的に標準化しつつある。
■③ 地域ごとの事情を踏まえた柔軟な規制
北海道の森林と、都市部マンションでは性質が全く異なる。
一律規制ではなく、地域の特性を踏まえた調整が必要。
6. 行政書士としての提言(一般市民向け)

● 不動産を売る側
相手が外国企業や海外在住者の場合、外為法の審査対象か事前確認が必須。
● 不動産を買う側
海外投資案件に参加する際は、現地の土地取得規制を必ず調べること。
(今回のグリーンランドのように、日本よりはるかに厳しい国も多い)
● 地域住民として
「外国人による土地買収=悪」と決めつけず、
価格・安全保障・地域保全の視点から冷静に理解することが大切。
【出典】
-
AFP「グリーンランド、外国人の不動産取得を制限」(2025年11月15日)
-
重要土地等調査法(令和4年施行)
-
外為法(外国為替及び外国貿易法)
【注意点・例外】
-
グリーンランドの新法は「外国人全面禁止」ではなく、永住権保持者等は取得可能。
-
日本の規制は“使用目的の調査”が中心で、購入自体は禁止されていない。
-
国ごとに歴史・地政学が異なるため、単純比較はできない。
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