外国人ドライバー受け入れ強化へ——レオパレス21×3社の提携が示す、運送業界の「次の課題」
はじめに
皆さんおはようございます。いつもブログを見ていただきありがとうございます。
新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
自動車運送業界のドライバー不足は、既に「構造的な人手不足」と言われて久しい。
2024年の物流2024年問題(時間外労働規制)を境に、その深刻度はさらに増した。
2025年11月、ジップラス・イサン・PT MINORIの3社とレオパレス21が業務提携を発表した。目的は明確だ。
「外国籍ドライバーを日本で受け入れ、住宅・生活面まで一体で支える仕組みを構築すること」
行政書士として外国人材の在留資格や受入体制を見てきた立場から、この提携が持つ意味を制度面から整理しつつ、今後必要となる実務対応を解説する。
1. ドライバー不足の背景

運送業界では、以下の要因が重なり、採用難が深刻化している。
-
少子高齢化による労働力人口の減少
-
物流2024年問題による時間外労働の上限規制
-
若年層のドライバー離れ
-
地方と都市部での人材偏在
国交省の推計では、2024〜2030年の間にトラックドライバーは約14万人不足するとされ(※根拠:国土交通省「物流を取り巻く現状と課題」2024)、業界の持続可能性が問われる局面に入っている。
2. 外国籍ドライバーの受け入れが進む理由

運送業界で外国籍のドライバー採用が進む背景には、以下の制度要因がある。
2-1. 「特定技能(特定技能1号)」の新追加分野
2024年以降、物流領域では以下の職種が特定技能の対象となっている。
-
自動車運送業(ドライバー)
-
倉庫業(倉庫管理)
※根拠:出入国在留管理庁「特定技能分野別運用方針」(令和6年改訂)
これにより、
「外国人ドライバーを正規ルートで雇用できる」
という選択肢が現実的なものとなった。
2-2. 外免切替制度の見直し
国外で取得した運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替」も、2024年以降はより実務が厳格に運用されており、
事前の教習・安全教育が必須レベルに
なってきている(※根拠:警察庁 通達 令和6年「外国運転免許証の切替審査に関する留意事項」)。
今回の提携で3社が
インドネシアで日本式自動車教習所を運営している点
は、この制度動向を踏まえた非常に理にかなったアプローチと言える。
3. 今回の提携内容を行政書士の視点で整理

報道内容から把握できる役割分担は以下の通り。
-
ジップラス:運転免許取得支援サービス
-
イサン(ダイサン):足場施工事業のノウハウ提供(教育・管理体制)
-
MINORI:インドネシアで生活ルール指導、日本語教育(JLPT対策)
-
レオパレス21:全国統一品質の住宅提供・生活支援体制
特に住まいの確保は外国人受け入れの最重要ポイントであり、在留資格審査でも「生活基盤の安定」は審査対象に含まれる(※根拠:入管庁「在留資格認定証明書交付要領」)。
レオパレス21の参入は、
企業単体では困難な「生活支援の外部化」
という意味で大きい。
4. 外国籍ドライバーを雇用する企業が注意すべき制度ポイント

行政書士として、受入企業が特に注意すべき項目をまとめる。
4-1. 在留資格の適正性
外国人ドライバーを雇う場合、主に以下の在留資格が対象。
-
特定技能1号(自動車運送業)
-
技術・人文知識・国際業務(物流管理・運行管理等のホワイトカラー)
-
技能実習 → 特定技能への移行ケース(将来)
※「留学」や「家族滞在」の資格外活動では原則ドライバー不可。
4-2. 外免切替の条件
企業として注意すべき点:
-
母国の免許証が有効であること
-
渡日前に「取得後3か月以上の滞在実績」があること
-
日本で安全講習・適性検査・技能審査が必要
-
書類偽造リスクが年々増加しており、企業側にも確認義務がある
(※根拠:警察庁 外国免許証切替審査基準)
4-3. 外国人向けの住環境整備義務
特定技能では以下が義務・努力義務となっている。
-
生活オリエンテーション
-
日本語学習機会の提供
-
住居確保支援
-
相談窓口の設置
(※根拠:特定技能運用要領)
今回の提携モデルは、これらの義務を外部連携で補完する形と言える。
5. 今後の課題——「運転免許」よりも大きい壁

外国籍ドライバーの受け入れは現場の期待も大きい。しかし、制度運用の現場から見ると、次の課題が浮き彫りになっている。
■ 課題①:日本語能力の壁
運送業務では、
-
交通標識
-
無線・指示
-
荷主とのコミュニケーション
が必須。
特定技能では日本語要件(N4)と業務要件がまだズレている
という指摘も多い。
■ 課題②:事故リスクと保険料
外国籍ドライバーの事故率は統計的に明確な差があると言えないが、
慣れない道路環境の中での運転
は企業のリスク管理上、重要度が高い。
■ 課題③:地域による受け入れ温度差
特に地方では
「外国人がトラックを運転するのは不安」
という声が残るのも事実。
企業側の説明責任や、地域とのコミュニケーションも課題となる。
6. 行政書士としての所感(コラム)

今回の提携で強く感じたのは、
「外国人材の活用は単なる採用ではなく、受け入れ“体制”づくり」
という視点が企業に求められていることだ。
特定技能制度や外免切替は、制度としての枠組みは整いつつあるものの、
現場の課題は“生活・言語・住宅”が8割
と言っても過言ではない。
外国人ドライバーの活用を成功させる企業は、
・住まい
・教育
・生活支援
・コミュニティ
を含めたエコシステム全体を作っている。
レオパレス21のように「住宅×外国人材支援」を組み合わせたモデルは、今後さらに増えていくだろう。
まとめ

今回の4社提携は、
外国人ドライバーの受け入れを“住まい×教育×免許”で包括支援する先進モデル
であり、特定技能制度の成熟期における新たな方向性を示すものと言える。
今後のポイントは以下の3つ。
-
外免切替の厳格化にどう対応するか
-
特定技能の生活支援義務を外部サービスとどう連携するか
-
地域・企業内における外国人理解の促進
行政書士としても、制度面のアドバイスだけでなく、
企業の「受け入れ体制づくり」のサポートがますます重要になっていくと感じている。
出典
-
国土交通省「物流を取り巻く現状と課題」(2024)
-
入管庁「特定技能分野別運用方針(自動車運送業)」
-
警察庁 通達 令和6年「外国運転免許証の切替審査に関する留意事項」
-
Response.jp(2025/11/14)報道内容(概要)
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
対応エリア
全国対応
新潟県全域対応可能(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、新発田市、小千谷市、加茂市、十日町市、見附市、村上市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、阿賀野市、佐渡市、魚沼市、南魚沼市、胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、阿賀町、出雲崎町、湯沢町、刈羽村、関川村、粟島浦村、津南町)ビザ新潟
福島県全域対応可能(福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、田村市、南相馬市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、鏡石町、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、新地町、飯舘村、大玉村、天栄村、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、飯舘村)ビザ福島
山形県全域対応可能(山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、大蔵村、鮭川村、戸沢村)ビザ山形上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。
面談もZoomでの対応可能です。
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
友達追加してお気軽にご相談ください。
