在留資格の「拡大解釈」は、なぜ問題視されるのか
外国人雇用の現場で、長く曖昧に扱われてきた言葉があります。
「グレーだけど、実務上は仕方ない」。
特に「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国については、
本来はホワイトカラー職種を前提とした在留資格であるにもかかわらず、
製造現場や軽作業に近い業務へ“少しだけ”関与させる運用が横行してきました。
しかし、2021年に明らかになった中村屋の事案は、その空気を一変させました。
問題視されたのは、人材派遣会社ではなく、派遣先企業自身です。
派遣先も「不法就労助長」の当事者になる

この事案では、ネパール国籍の外国人が技人国の在留資格を持ちながら、
工場で和菓子製造などの現場作業に従事していました。
重要なのは、
「派遣元が在留資格を管理している」
「自社の正社員ではない」
といった事情が、一切の免責にならなかった点です。
入管実務の視点で見ると、これは自然な流れです。
実際にどの業務を指示し、どの現場で働かせていたのか。
そこをコントロールしているのは派遣先だからです。
技人国は「人手不足解消ビザ」ではない

人手不足。
この言葉が、どれほど多くの現場で合言葉のように使われてきたでしょうか。
確かに、技能実習や特定技能は書類も多く、運用も煩雑です。
その一方で、技人国は比較的取得しやすく見える。
結果として、「とりあえず技人国で」という発想が生まれてきました。
ですが、制度の立て付けは明確です。
技人国は
・専門知識
・学術的背景
・国際業務としての合理性
が求められる在留資格です。
現場作業が主である以上、
それは特定技能や技能実習の制度設計の話になります。
特定技能創設後、「言い訳」は通用しない

2019年に特定技能制度が創設され、
一定の人手不足分野では、正面から現場労働を担える在留資格が用意されました。
この制度の存在が意味するのは、
「他に合法的な選択肢がある」という事実です。
だからこそ、
「仕方なかった」
「人がいなかった」
という説明は、以前ほど受け入れられなくなっています。
実務をしていると、この変化は肌感覚としても強く感じます。
違反が発覚した場合の現実的なリスク

不法就労が発覚した場合、
最も重い影響を受けるのは、実は企業だけではありません。
外国人本人は
・在留資格取消
・退去強制
に至る可能性が高く、
生活基盤そのものを失います。
企業側も
・刑事罰
・技能実習・特定技能の受入停止
といった制裁を受け、
既存の外国人雇用にも連鎖的な影響が出ます。
一つの判断ミスが、現場全体を壊しかねない。
それが、在留資格違反の怖さです。
【行政書士としての所感】

派遣であっても、
善意であっても、
人手不足であっても、
在留資格の枠を超えた業務をさせれば違反になる。
このシンプルな原則を、
今こそ企業側が正面から受け止める必要があります。
制度は厳しくなりました。
ですが同時に、合法的な選択肢も増えています。
「知らなかった」では済まされない時代です。
【注意点・例外】
・業務内容の判断は、職務記述書や実態により個別判断
・一部の付随的業務が直ちに違反とならないケースもあり得る
・最終判断は入管・司法当局によるため、専門家への事前確認が必須
【出典】
・日本経済新聞
「在留資格『拡大解釈』許さず 外国人就労、派遣先も責任」
(2022年2月2日)
・出入国管理及び難民認定法
・出入国在留管理庁 公表資料
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