福岡市で「ネパールが最多」になった、というニュースの手触り
数字だけ見ると、順位が入れ替わった。
ネパールが中国をわずかに上回った。ニュースはそれで終わるのですが、実務をしている側からすると、順位の話より「街のどこで何が起きているか」のほうが気になります。
福岡市の住民基本台帳ベースの公表資料でも、令和7年10月末時点で、ネパール14,380人、中国14,346人という並びが確認できます。
全体は57,728人。増えている、というより、もう“いる”が前提の人数感です。
増え方の中心は「留学」だった、という点がいちばん大事

今回の記事が示す核心は、ネパールの在留者の多くが留学生で、日本語学校の比率も高いというところです。ここは、いわゆる「労働力として来ている」だけでは説明できない。
日本語学校で2年学ぶ。生活費のためにアルバイトをする。次に専門学校へ進む人もいる。
内定が出れば、就労系の在留資格へ切り替える。この一本の“生活の動線”が、福岡という都市のサイズ感、家賃や物価、学校の数、先に来た先輩の成功談と噛み合うと、増加は加速します。
ただ、ここには必ずリスクがくっつきます。留学生のアルバイトは、資格外活動許可の枠内で「1週28時間以内(長期休業は1日8時間以内)」が原則です。
ルールはシンプルですが、現場はシンプルになりません。
「28時間」は本人だけの問題ではなく、雇う側の問題でもある

留学生本人は、掛け持ちをするとあっという間に週28時間を超えます。
雇用主側は「うちは20時間だから」と言いがちですが、入管実務では“合算”が論点になる場面が多い。
ここが揉めると、更新や変更の審査に影響し得ますし、企業側も不法就労助長のリスクを背負う構造になります。
私がいつも感じるのは、悪意より「設計ミス」が多いことです。
シフト管理の仕組みが日本人前提のまま、外国人が増えた現場に移植されている。
だから事故る。事故ると、本人だけでなく店や会社も巻き込まれる。
地味ですが、ここが一番コストが高い。
「留学→就労」の季節が来ると、窓口も審査も混む

福岡は学校が多い分、卒業・進学・就職のタイミングで在留手続が集中します。
出入国在留管理庁も、4月就労開始を希望する場合は12月1日から1月末までの申請を推奨し、書類不足や申請遅れで希望日までに審査が終わらない可能性を明示しています。
この注意喚起は、裏返せば「留学からの切替が大量に起きている」ということです。
福岡のネパール人増加が“留学中心”なら、今後もこの波は毎年きます。企業側も、採用計画を立てるなら「在留資格の発給・変更に時間がかかる前提」で組むほうが安全です。
福岡市の「多文化共生」は、生活ルールの翻訳から始まる

ニュースに出てくるウェルカムキットや出前講座は、まさに生活インフラの話です。
ゴミ出し、交通、相談窓口。制度論より先に必要なところ。
私はこの領域、少しだけ“地味さが強み”だと思っています。派手な施策より、地域の摩擦を減らすのは結局ここです。
たとえば、ゴミ出しのルールが伝わらないだけで、住民感情は悪化する。
悪化すると、学校も企業も入管手続も、ぜんぶやりづらくなります。
小さな火種の鎮火が、いちばん効きます。
福岡市が毎月、住民基本台帳に基づく人口統計を継続的に公表している点も、自治体運営として重要です。
現状把握がないと、対策は気合いで終わります。
行政書士として、ここは「美談で終わらせたくない」

ネパールの政治情勢や若者の将来不安、という背景は重い。日本で頑張っている話も本当です。
だからこそ、生活・就労・在留のルールを外した瞬間に、本人が一番損をします。
「勉強して働いて、就職して定着する」ルートを太くするなら、やることは意外と決まっています。学校は出席率と在籍管理を強くします。
企業は労働時間と業務内容の適法性を詰める。
自治体は相談窓口を“使える導線”にする。地域は、まず情報の不足を疑う。
感情の前に、翻訳と説明を一枚挟む。
それだけで、摩擦の多くは減ります。逆に言えば、そこをサボると、増加は不安に直結します。
結論

福岡市でネパール人が国籍別最多になった背景は「留学中心の増加」と、福岡の都市環境がその動線と噛み合った点にある。
今後の焦点は、資格外活動(週28時間)や留学→就労切替の集中期を見据えた、企業・学校・自治体の運用設計になります。
根拠
令和7年10月末時点で、福岡市の国籍・地域別外国人数はネパール14,380人、中国14,346人、総数57,728人と公表されている。
留学生のアルバイトは資格外活動許可の枠内で原則「1週28時間以内」とされる。
4月就労開始を目的とする留学→就労資格変更は、12月1日〜1月末の申請が推奨されている。
注意点・例外
留学生の就労時間は「掛け持ち合算」が実務上の争点になりやすい。個別事情で判断が分かれるため、具体案件は専門家に確認が必要。
本件ニュース内の「11月末で5万7995人」など、自治体の当月末確定値は公表資料での再確認が望ましい(本稿では10月末の市公表値を一次情報として使用)。
出典
福岡市「国籍・地域別外国人数(令和7年10月末現在)」
出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
出入国在留管理庁「在留資格『留学』から就労資格への変更申請を予定されている皆様へ」
福岡市「登録人口(行政区別)/住民基本台帳統計の案内」
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