工場の従業員の9割が外国人。しかも主力は「技能実習」ではなく「特定技能」。
いま、こうした職場は珍しくなくなりました。
2025年6月末の在留外国人数は395万6,619人と公表され、過去最高を更新しています。数字だけでも、社会の前提が変わってきたのが分かります。
一方で、現場の悩みは「採用できない」だけではありません。
「雇っても、すぐ辞める」。しかも、その背後に“手数料目当て”の転職勧奨があるのではないか――。
今回いただいた記事のエピソードは、私の実務感覚としても「起こり得る話」だと感じます。制度が悪いというより、制度の隙間に“ビジネス”が入り込むと、現場だけが消耗していくのです。
まず前提:特定技能は「転職できる」制度

技能実習は制度設計として転職が強く制限されます。対して特定技能は、一定の条件のもとで転職が可能です。ここが、定着設計の難易度を一気に上げています。
転職が悪いわけではありません。本人にとって、よりよい賃金や環境を求めるのは自然な行動です。
問題は、転職が「本人の納得の選択」ではなく、「第三者の手数料目的」で過度に焚き付けられる状態になったときです。
「転職ブローカー」が生まれやすい構造

採用側のコストが、退職の瞬間に“宙に浮く”
特定技能は、採用時に紹介料・手続コスト・在留手続の事務負担がまとまって発生します。入管手続は、書類の整合性とスピードが重要で、現場担当者や支援側の負荷も小さくありません。
それなのに、3か月から半年で辞められる。
企業側には「教育投資が回収できない」「また最初から」という徒労感が残ります。
有料職業紹介の世界は「手数料」が中心にある
人材紹介(有料職業紹介)は、手数料表や返戻金制度(いわゆる返金ルール)など、求職者・求人者への情報提供の仕組みが整備されてきました。
2024年4月の制度改正では、手数料表等の情報提供が、事業所掲示だけでなくウェブ等でも可能になっています。
ここは企業側も「契約書を読めば分かる」領域です。
ただ、実務で怖いのは“契約の外側”にいる人です。
許可を受けた紹介事業者ではなく、SNSやコミュニティで動く非公式な仲介が、本人の意思決定を揺らす。ここが見えにくい。
企業側ができる対策:3つだけ、確実に効くところから

1. 「紹介契約」の見直し:返戻金条項を“交渉”する
返戻金制度は「必ず設定しなければならない」とまでは言い切れないケースが多い一方、離職リスクが高い領域で返戻金のない契約を結ぶのは、企業にとっては保険なしで運転するようなものです。
実務的には、次の2点を最低限確認します。
・早期離職時の返金(返戻金)の有無と条件(期間と率)
・転職勧奨の禁止、再紹介時の取り扱い(再度の手数料発生条件)
紹介会社を“敵”にする必要はありません。ただ、ここを曖昧にすると、後で揉めるのは企業だけです。
2. 賃金の「見せ方」を整える:月給だけで勝負しない
特定技能の転職理由は、賃金が多いのは事実です。しかし現場では、手取り・残業・寮費・控除・送金のしやすさまで含めた「生活の総額」で判断しています。
同じ月給でも、寮費が高い、残業が読めない、評価が不透明。こうなると「隣の工場が良いらしい」に流れます。
給与テーブル、評価、昇給条件を“文章”にして渡す。これだけで離職の火種は減ります。
3. 定着は「日本語」より先に「相談ルート」
日本語教育は当然大事です。事故やクレームを防ぐ意味でも。
ただ、早期離職の引き金は、言語そのものより「孤立」と「誤解」であることが多い。
相談窓口を一本化し、誰に何を言えばいいかを明確にする。
例えば、生活の困りごとは支援担当、職場の不満は直属上司ではなく面談担当、という具合に“逃げ道”を用意しておく。転職勧奨の甘い言葉は、孤立した人に刺さります。
行政書士として気になる点:制度論より「運用の摩擦」

特定技能制度の情報は、出入国在留管理庁が体系的に整理しています。
制度は拡大し、運用改善も続いています。
けれど、現場で起きているのは「制度の正しさ」ではなく、「運用の摩擦」です。
採用コストを負担する側と、転職で条件改善を狙う側。
その間に、手数料だけを最大化したい第三者が入ると、関係が簡単に壊れます。
私は、企業に対して「転職を止める仕組み」を提案したいわけではありません。労働市場である以上、転職は起こります。
ただ、少なくとも“手続コストを払う側が一方的に損をする”設計のまま放置すると、結局、受入れが萎みます。そのしわ寄せは、真面目に働く外国人本人にも返ってしまう。ここが一番つらいところです。
記事末尾まとめ

【結論】
特定技能は転職可能な制度である以上、早期離職は一定程度起こる。問題は、手数料目的の転職勧奨が絡むと企業の採用投資が回収不能になり、現場が疲弊する点。対策は「紹介契約の設計」「処遇の見える化」「相談ルート整備」が中核。
【根拠】
・在留外国人数(2025年6月末)は395万6,619人と公表され、増加基調にある。
・特定技能制度は出入国在留管理庁が制度概要・運用改善を公表している。
・有料職業紹介の手数料表等の情報提供の枠組みは厚労省が周知している。
【注意点・例外】
・「転職ブローカー」の実態は、許可事業者か無許可の仲介かで法的評価が大きく異なる。具体事案は専門家に確認が必要。
・離職防止のための違約金など、労働法上問題になる設計があるため、安易な“縛り”は逆効果になり得る。
・分野変更を伴う転職などは手続が変わるため、個別に入管実務の確認が必要。
【出典】
・出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
・出入国在留管理庁「特定技能制度」
・出入国在留管理庁「特定技能制度における運用改善について」
・厚生労働省「令和6年4月より、手数料表等の情報は自社のホームページなどでの情報提供が認められるようになります」
・厚生労働省リーフレット(改正職業安定法施行規則関係)
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