登録支援機関が逮捕された、という見出しは強いです。
特定技能の現場で、支援機関は「受入れのインフラ」になりつつある。
そこが揺れると、制度そのものへの信頼が一段落ちます。
2026年1月22日付の産経報道では、雇用先を偽って「特定技能1号」を不正取得した疑いで、登録支援機関の関係者らが入管難民法違反(虚偽申請)容疑で逮捕された、とされています。
雇用書類の悪用、銀行からの雇用確認が発覚の端緒、という筋立てです。
ここに、改正行政書士法19条の視点を重ねると、見え方が変わります。
論点が「虚偽か否か」だけではなく、「誰が、どんな名目で、書類を作っていたのか」まで広がるからです。
改正行政書士法19条が突きつける“もう一つの軸”

行政書士法の改正(令和7年法律第65号、2026年1月1日施行)では、19条1項の業務制限に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加えられました。
日本行政書士会連合会の会長談話が踏み込んでいて、ポイントは次の感覚です。
「会費」「手数料」「コンサル料」「商品代金」など、名目を変えても、実質的に対価を受け取って業として官公署提出書類を作れば19条違反が明確になる。
さらに両罰規定の射程も整備され、個人だけでなく法人側にも罰金が及び得る。
つまり、今回のように「虚偽申請」そのものが問題になる局面に加えて、仮に内容が真実であっても、無資格の者が対価を得て“申請書類づくり”を業として回していれば、別軸で詰む可能性が高い。
私はここが、実務上いちばん怖いところだと思っています。現場は忙しいので、「書類は慣れている人が作った方が早い」という誘惑が常にある。早さは正義になりやすい。その先に、境界線の踏み越えが起きます。
登録支援機関は「在留申請の代理人」ではない

特定技能の登録支援機関は、支援業務(生活オリエンテーション、相談対応など)を担う仕組みです。一方、在留手続の提出や取次ぎは、入管庁の「申請等取次制度」という別の枠組みで整理されています。
入管庁の案内では、弁護士・行政書士が取次ぎを行う場合は所定の届出が必要であり、受入れ機関や登録支援機関などの職員がオンライン申請等を代行する場合にも、申請等取次者として承認されている必要がある旨が示されています。
ここを曖昧にしたまま、「支援委託契約に入っているから、申請書も作って出しますよ」とサービス設計してしまうと、改正19条が刺さりやすい構図になります。
名目の逃げ道が塞がれた、という意味で。
今回の事件を「虚偽申請」と「無資格業務」に分解してみる

今回の報道(あくまで報道ベース)を素材にすると、企業側の防衛線は二段構えになります。
1段目:虚偽申請(内容の真実性)
雇用先、就労場所、業務内容、雇用条件。ここが事実とズレると、入管法上の虚偽申請問題に直結します。
2段目:無資格業務(誰が書類を作っているか)
内容が真実でも、対価を得て“業として”官公署提出書類を作る主体が適法か、という別問題が残ります。改正19条は、支払名目を変えた実質対価を強く意識しています。
この二つを混ぜて語ると、対策がぼやけます。
実務では、別々にチェック項目を置いた方が事故が減ります。
企業が巻き込まれないための、現実的な打ち手

派手な対策はいりません。効くのは、委託契約と運用の整合です。
-
支援委託契約の業務範囲を言葉で切る
「支援」と「申請書類の作成・提出」を同じ箱に入れない。
入管手続を誰が担うのか、取次者の資格や承認の有無を含め、契約書上で線を引く。 -
申請書の“作成責任者”を社内で固定する
受入れ機関の担当者名で管理し、必要に応じて申請取次行政書士等に外注する。
現場が回らないときほど、責任の所在が薄くなります。 -
雇用実態の証跡を、第三者照会に耐える形で残す
今回の端緒は「銀行からの雇用確認」だったとされています。
給与台帳、シフト、指揮命令系統、就労場所の記録。後追いで作れないものを、日々淡々と残す。
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“違和感”を通報ルートに乗せる
外国人本人が高額な手数料を払っている、紹介会社が書類を握っている、就労場所が申請と違う。こういう話は、往々にして雑談の形で出てきます。握りつぶさず、確認できるルートに乗せる。
記事末尾整理

【結論】
特定技能の不正案件は「虚偽申請(内容)」だけでなく「無資格業務(誰が対価を得て書類を作るか)」でもリスクが立つ。改正行政書士法19条は、名目を変えた対価を許さない方向に踏み込んだため、登録支援機関を含む委託スキームは設計から見直した方が安全。
【根拠】
・改正19条の趣旨(名目を問わない対価、両罰規定の射程)についての日本行政書士会連合会の説明。
・改正法の法令情報(令和7年法律第65号)と公布日。
・申請等取次制度に関する入管庁の案内(取次の届出・承認、オンライン申請の要件)。
・逮捕報道の概要(雇用先偽装、発覚経緯)。
【注意点・例外】
・本記事の事件部分は報道ベースで、事実認定は今後の捜査・裁判で変動し得る。
・行政書士法19条には適用関係が問題となる例外領域もあり得るが、個別スキームの適法性判断は契約形態・業務実態で結論が割れるため、専門家に確認が必要。
【出典】
・日本行政書士会連合会「【会長談話】行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」
・国立国会図書館 日本法令索引「行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)」
・内閣法制局「令和7年に公布された法律」
・出入国在留管理庁「申請等取次制度」等の案内ページ
・産経ニュース(当該記事の公式投稿を含む)
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