政府が2026年1月23日に取りまとめた総合的対応策の中で、「生活保護制度の運用の適正化」が明記されました。焦点は、自治体(福祉事務所)が外国人受給者の国籍・在留資格などを、マイナンバー連携等で把握できるようにする、という点です。
さらに「被保護者調査」への項目追加も示され、全国的な実態把握に踏み込む構えが見えます。
この手の話題は、どうしても感情で燃えやすい。だからこそ、制度の骨格と数字を先に置いた方が、議論が乱れません。
そもそも「外国人は生活保護の対象なのか」

生活保護法は「国民」を対象にしています。ここは条文上、揺れません。
一方で、現実には、永住者や定住者など一定の在留資格を持つ外国人に対して、人道上の観点から「行政措置」として、生活保護法の取扱いに準じた保護が行われてきました。根っこにあるのは、昭和29年の通知(いわゆる社発382号)です。
実務の肌感としては、自治体窓口は「法律上の適用」か「通知に基づく準用的運用」かをいちいち口にしません。けれど、ここが曖昧なままだと、「権利として当然にもらえる」「違法だから一切出すな」という極端な言説が両側から出てしまう。制度の設計思想としては、あくまで行政措置であり、対象や運用が“通知と実務”に依存していることが重要です。
今回の「適正化」は、何を変えようとしているのか

総合的対応策の記述を見る限り、今回の主眼は「支給の可否を厳しくする」ことより、まず「把握できない状態」を終わらせることにあります。
政府資料では、現状、生活保護制度の中で「在留資格別の人数等の情報については把握することができない」と明示した上で、2027年6月(令和9年6月)から福祉事務所で、マイナンバーによる情報連携を行い、国籍・在留資格等の情報取得を可能にする方向で調整中、とされています。
ここは、現場の感覚に近い話です。いまでも申請時に在留カード等の提示を求める運用は整理されています。
ただ、提示して終わりだと、全国で横串の統計を取ったり、在留資格の変動をシステム的に追いかけたりは難しい。自治体側の事務負担も重い。そこで「オンライン確認」「標準仕様書の改定」「被保護者調査への項目追加」という流れになります。
つまり今回の適正化は、制度論というより、まず行政のインフラ整備に寄っています。
「外国人が生活保護を食いつぶしている」は事実か

数字を置きます。
厚労省の被保護者調査(令和5年度確定値)では、受給世帯は月平均で1,650,478世帯です。
そのうち、世帯主が外国籍の世帯は4万7317世帯で、全体の2.9%と整理されています(厚労省調べとして報道・解説で引用される定番の数値)。
2.9%という数字の受け止めは人それぞれでしょう。ただ、少なくとも「3分の1が外国人」などの拡散情報は、統計と整合しません。数字が違えば、議論も必ず歪みます。
それでも「見直し」が議題になる理由

では、なぜ「受給対象となる在留資格などの見直し」まで検討と書くのか。
推測ですが、背景は二層あります。
一つは、制度の“補足性”の徹底です。生活保護は最後のセーフティネットであり、資産・能力の活用、他制度の優先など、入口で確認すべき論点が多い。
その確認を、外国人に限って甘くする合理性はありません。逆に言えば、外国人に限って厳しくし過ぎると、憲法25条の理念や人道上の要請との緊張が生まれ、自治体の現場が壊れます。このバランスが難しい。
もう一つは、データが無いことで政策が作れない、という行政の悩みです。対象を見直すにしても、まず「どの在留資格が、どれだけ、どの地域で」受給しているかが見えないと、議論が空回りします。今回の「オンライン確認」は、その前提作りの意味合いが濃いと読んでいます。
行政書士として気になる実務ポイント

相談の現場でよく起きるのは、「在留資格の説明」と「生活の困窮」が、別々の速度で進むことです。
例えば、離婚後の在留資格整理、就労資格の切替、更新の可否が揺れる局面では、生活は待ってくれません。行政措置としての保護が積み上げてきたのは、まさにその“間の時間”を受け止める機能だったと思います。
だから、厚労省幹部が「外国人を切り捨てるようなことはしない」とコメントするのも、実務的には理解できます。政策が現場に落ちるとき、言い方ひとつで窓口対応が硬直するからです。
一方で、制度の信頼は透明性で保たれます。今回の情報連携が、自治体側の確認作業を軽くし、誤解や不信を減らす方向に働くなら、現場にとってもプラスです。問題は、そのデータが「排除のための道具」になってしまう運用設計です。
ここは専門家に確認が必要な論点で、個人情報の扱い、目的外利用の歯止め、誤判定時の救済など、制度設計の詰めが問われます。
【結論】

生活保護の「外国人」論点は、支給の是非より先に、法の建付け(国民対象)と行政措置(一定在留資格に準用的運用)を分けて捉えるべきで、今回の対応策はまず在留資格情報を把握できる行政基盤の整備が中心になる。
【根拠】
・総合的対応策で、2027年6月を目途にマイナンバー連携等で国籍・在留資格情報を取得可能にし、被保護者調査の項目追加も検討すると明記。
・生活保護法は国民対象で、一定の外国人は通知に基づく行政措置として保護を実施。
・令和5年度の受給世帯は約165万世帯、外国籍世帯主は4万7317世帯(2.9%)とされる。
【注意点・例外】
・「行政措置」は制度上の位置づけが法律適用と異なるため、権利性・不服申立ての扱いなど、争点化しやすい。具体事案は専門家に確認が必要。
・オンライン確認の導入は、個人情報保護・誤判定時の救済・運用の硬直化など副作用があり得る。制度設計次第で影響が変わる。
・統計の「世帯主が外国籍」は、世帯内の国籍構成を完全には表さない点に留意。
【出典】
・内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議(第2回)資料(総合的対応策)」
・厚生労働省「生活保護における外国人の取扱いについて」
・厚生労働省「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について(社発382号等)」
・厚生労働省「被保護者調査(令和5年度確定値)報道発表」
・nippon.com「外国籍世帯の生活保護(2023年度)」/毎日新聞ファクトチェック記事
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