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TOP > コラム > 外国人との「軋轢」はなぜ起きるのか|日本語教育と生活ルールのズレを行政書士が読む

外国人との「軋轢」はなぜ起きるのか|日本語教育と生活ルールのズレを行政書士が読む

2026.02.13
コラム外国人支援外国人雇用
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「外国人との軋轢」という言葉は、強い。
けれど、現場で起きているのは、もっと小さいズレの積み重ねだったりします。

ごみ出しの曜日、駐輪の場所、夜間の騒音、自治会の連絡が届かない。
ひとつひとつは生活の端っこにある話なのに、溜まると地域の空気が変わる。

いま日本の在留外国人数は、短期滞在を除いて395万6,619人(令和7年6月末)と過去最多です。
数字だけを見ると「増えた」の一言で済みそうですが、地域の側から見ると、増え方のスピードのほうが本質かもしれません。

制度も、学校も、自治体の窓口も、近所づきあいの作法も、急加速に合わせて作り替えるのは難しい。

「軋轢」の正体は、ルール以前に“説明不足”

ご提示の報道では、福岡市で日本語学校の増設計画を巡り反対署名が集まった背景として、駐輪やごみ出しなど生活ルールが徹底されない状況が挙げられていました。

ここで見落としたくないのは、「守らない人がいる」だけで話を閉じないことです。

生活ルールは、暗黙知で回っていることが多い。
日本人同士なら、何となく通じてしまうやつです。自治体の案内も日本語だけ、配布物も回覧板も文字だらけ。
そもそも「見ていない」「読めない」「読んだけどピンとこない」。
この段階でズレが始まる。

だから私は、共生は“善意”というより、設計の問題だと思っています。
外国人側のモラルだけを問うても、地域側の不満だけを正当化しても、着地点がない。説明の回路と、相談の回路を作れるか。

ここが分岐点になります。

朝倉市の「外国人向けマンション」騒動が示したもの

福岡県朝倉市では、いわゆる「外国人向けマンション」計画が反対デモなども経て白紙撤回の見通しが示されたと報じられています。

この種の案件は、計画そのものの是非だけでなく、「誰が、どこまで説明するのか」が揉めます。
事業者の説明は、法令上の手続要件を満たせば足りると考えがちです。
一方、住民は“生活がどう変わるか”を知りたい。ここにギャップがある。

さらに厄介なのは、情報が不足すると、SNSで“物語”が先に走ることです。
事実確認より感情の伝播が早い。
結果として、行政も事業者も、後追いで火消しに回る。
これ、全国で起き得る構造です。

国が掲げる「秩序ある共生」と、地域の体感温度

政府側も、在留外国人等の増加に伴い、社会が前提としていなかった制度の見直しや、法・ルール逸脱行為への対応を課題として明記しています。

ただ、ここで注意したいのは、「厳格化」だけが答えにならない点です。
締めるところは締める。
その一方で、締めた結果として生活が不安定化すれば、むしろ摩擦が増える。

このバランスを、自治体は肌で知っています。
全国知事会の問題提起では、外国人を単なる労働力ではなく「地域の住民」として位置づけ、国が責任と財源を持つ枠組みの必要性、日本語教育の重さが語られています。

現場の感覚としても、ここは同意するところが多い。
自治体の窓口や学校は、今日明日の相談を受けながら、同時に地域の空気も背負っているからです。

行政書士の実務感覚でいう「摩擦を減らす3つの土台」

私は入管手続の専門家として、制度の入口(在留資格)だけでなく、入った後の生活が崩れないことが大事だと痛感します。
摩擦は、生活が崩れたときに表へ出やすい。

土台は大きく3つ。

1つ目は、日本語。会話の上手さというより、生活日本語です。
役所の通知、学校の連絡、ゴミ分別、交通ルール。
ここが読めるだけでトラブルが減る。

政府の共生ロードマップでも、日本語教育を含む環境整備を掲げています。

2つ目は、初期オリエンテーションの標準化。
入国後、あるいは転入直後に「地域のルール」をまとめて渡す。
紙だけでなく動画、やさしい日本語、多言語。自治体ごとに頑張っているのが現状で、全国で最低限のテンプレがあると強い。

総務省系の「多文化共生プラン」も、自治体の計画策定支援として整理されています。

3つ目は、相談と通訳の導線。困ったら早めに聞ける場所があるか。

聞けると、未払い・無断欠勤・近隣トラブルが大きくなる前に止まります。逆に、孤立すると小さなつまずきが連鎖する。

「受け入れる」の中身を、もう少し具体にする

共生は、きれいな言葉にすると簡単です。実装は泥臭い。
外国人側にも地域側にも、それぞれ事情がある。
だから私は、「どっちが悪い」で終わらせない記事や議論が増えてほしいと思っています。

最後に一点だけ。地域の不安が表に出るとき、それを排外に結びつけるのは簡単です。

でも、生活の現場はもっと複雑で、たいていは“設計不足”が混ざっている。
国の制度設計、自治体の運用、人材を受け入れる企業や学校の伴走。三者が噛み合うと、軋轢は「管理できる摩擦」に変わっていきます。

記事末尾整理

【結論】

在留外国人の増加に伴う「軋轢」は、生活ルール違反の問題に見えて、実際は説明・日本語・相談導線という“受入れ設計”の不足が大きい。厳格化と支援整備をセットで進めないと摩擦は減らない。

【根拠】

在留外国人数が395万6,619人(令和7年6月末)で過去最多。

政府資料でも、増加を前提に制度の見直しや秩序ある共生の必要性が明記されている。

共生ロードマップで、日本語教育等の環境整備を掲げている。

自治体側からも、国の責任と財源、日本語教育の重要性が提起されている。

朝倉市のマンション計画を巡る反対と白紙撤回見通しが報じられている。

【注意点・例外】

「物損事故の2割が外国人」等の割合は、提示記事内のアンケート由来の可能性があり、全国一律の統計として一般化はできない。専門家に確認が必要。

地域で起きるトラブルには、外国人側の故意・過失だけでなく、事業者の説明不足、自治体の体制不足、情報流通の偏り(SNS)など複合要因がある。

【出典】

出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」

出入国在留管理庁「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」

内閣官房資料「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策(案)」

自治体国際化協会(CLAIR)「全国の多文化共生プラン」

TNCテレビ西日本「“外国人向けマンション”計画が白紙撤回へ…(朝倉市)」

Nippon.com「Japan’s Governors Speak Out on Need for a Better Foreign Resident Policy」

 

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