「ビザ免除なら、手間なく日本に入れる」
観光業の側から見ると歓迎したくなる話です。ところが最近、その“手間の少なさ”を、犯罪側が都合よく使っている疑いが濃くなってきました。
読売報道では、短期滞在で入国した外国人が、特殊詐欺の受け子などに関与して摘発されるケースが増えるなか、査証(ビザ)が免除されている国・地域から来日していた例が相次いで確認された、とされています。
いわゆる「ヒットアンドアウェー」。来て、やって、すぐ帰る。
痕跡を残しにくい。捜査する側が嫌がる動き方です。
記事中の具体例は、かなり生々しい。
堺市での「だまされたふり作戦」で確保された台湾籍の人物が、秘匿性の高い通信アプリで中国語指示を受けていた。観光目的で入国して、短期間に複数の犯行に関与し、出国も視野に入っていた。別件でも、マレーシアから短期滞在で来日した人物が、事件後すぐ帰国予定だったとみられる。こうしたピースが揃うと、「偶然の点」ではなく「パターンの線」に見えてきます。
ここで一度、制度の足場を固めます。
短期滞在は、在留資格のひとつで、観光・商用・親族訪問などの短期の滞在を想定し、在留期間は原則90日(国・地域により30日、15日もあり)です。
出入国在留管理庁も「短期滞在」を90日・30日・15日以内として整理しています。
そして外務省は、短期滞在について「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を得る活動は認められない」と明記しています。
つまり、受け子であれ、運び屋であれ、報酬が発生するなら前提からズレる。
「観光で入ったが、現地で悪い仕事に誘われた」という言い訳は実務でもよく耳にしますが、制度的にはアウトに寄っています。ここ、誤解されがちです。
では、なぜ“入れてしまう”のか。
査証免除は、「ビザ申請を省略できる」だけで、水際審査(上陸審査)が消えるわけではありません。
入国時に滞在目的や日程、滞在先の説明を求められますし、個人識別情報(指紋・顔写真)の提供なども制度として組み込まれています。
それでも、短期滞在の“軽さ”は、悪用側にとって魅力です。
長期在留のような勤務先資料も、住居実態の裏取りも、入口では限界がある。しかも指示系統は海外、通信は秘匿アプリ、実行犯は使い捨て。
警察庁がいう「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の典型的な環境が、国境をまたいで成立してしまう。
ここで私が気になるのは、「短期滞在だからこそ、事前情報が薄い」という構造です。
入管庁の政策懇談会資料でも、査証免除国・地域の短期滞在者について、出発前に入国目的や滞在先等の情報を申告させる、といった“事前の仕組み”が論点として示されています。
要するに、飛行機に乗る前から薄くスクリーニングをかける発想です。
旅行者側からすると面倒が一つ増える。でも、犯罪側の“手間の少なさ”を放置すると、結局は社会全体のコストが跳ね上がる。ここはバランスの問題になります。
現場感覚としては、次の2点が肝だと思っています。
一つ目。犯罪側は「制度の穴」を狙うというより、「負荷が軽いところ」を選びます。
査証免除が完全な穴かどうかより、実行犯を入れるコストが低いかどうか。
だから“ヒットアンドアウェー”は、制度が変わると別のルートに移る可能性もある。
二つ目。被害は「国内の高齢者」だけで終わらない。
観光、留学、就労など、正当な訪日や在留に対する視線まで厳しくなる。まじめな人ほど割を食う。この連鎖がいちばん嫌です。
行政書士として言えることは、ここから先は「入管だけ」「警察だけ」の仕事では片付かない、という点です。航空・旅行、金融、通信、プラットフォーム、そして現場での啓発。全部がゆるく繋がって初めて、トクリュウ型の動きに追いつける。
そして、個人の側にも一つだけ。
「荷物運び」「現金を受け取るだけ」「短期で稼げる」――この種の言葉は、境界線の向こう側への誘い文句です。短期滞在で“働く”こと自体が制度上の前提とズレます。
そこを曖昧にした瞬間、帰国して終わりではなく、逮捕・有罪・上陸拒否(再入国困難)という現実が残る。
綺麗事では済みません。
【結論】
査証免除と短期滞在の“手続の軽さ”が、受け子などの短期来日型犯罪に利用される疑いが強まっている。水際の工夫は必要だが、正当な旅行者・在留者への影響も踏まえた設計が要る。
【根拠】
短期滞在は観光等を目的とし、報酬を得る活動は認められない(外務省)。
短期滞在の在留期間は90日・30日・15日等(入管庁)。
トクリュウは匿名性の高い通信手段等で実行犯を流動的に使う(警察庁)。
査証免除国の短期滞在者について出発前申告など事前スクリーニングの論点が示されている(入管庁資料)。
【注意点・例外】
個別事件の事実認定や犯行関与の範囲は、裁判・捜査で変動し得るため断定は避けるべき。
制度対応(事前審査の具体制度、対象国の見直し等)は政策判断であり、専門家に確認が必要。
「短期滞在でできる商用活動」の線引きはケースで揺れるため、実務では事前確認が安全。
【出典】
外務省「短期滞在(査証)」
外務省「査証免除国・地域(短期滞在)」
出入国在留管理庁「在留資格『短期滞在』」
警察庁 白書「匿名・流動型犯罪グループ」
出入国在留管理政策懇談会資料(査証免除国短期滞在者の出発前申告の論点)
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