「技人国で採って、現場に入れて、足りないところを埋める」
派遣の現場では、そんな言い回しが“便利な正義”として流通してきました。
けれど技人国は、便利に使える在留資格ではありません。
あくまで専門的業務に従事するための器です。
その“器”が歪む典型が、派遣先での単純作業への従事です。
資材運搬、ライン作業、清掃、厨房補助。やっている本人も、指示する側も、悪気がないケースが多い。
むしろ「日本人もやってるから」「ちょっと手伝うだけだから」と、日常の延長でズルっとはみ出す。
ここに対して、出入国在留管理庁が手当てを入れます。
報道ベースでは、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」で派遣就労をさせる場合、派遣元・派遣先の双方に「専門的業務に就くこと等を確約する誓約書」を求め、2026年3月9日から運用開始という整理です。
私はこの動き、いわば「書類が一枚増える」話ではないと思っています。
むしろ逆で、これまで“雰囲気”で済ませてきた業務設計を、言葉にして固定する方向に舵を切った、という宣言に近い。
なぜ誓約書なのか:政策側の意図

背景には、国の方針文書に繰り返し現れる問題意識があります。
2026年1月23日決定の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」では、「技術・人文知識・国際業務」等について、資格該当性のない活動を防止する観点から申請書類の見直しを含む運用改善、さらに受入れ機関側の責任の在り方を含めた方策検討が明記されています。
自民党の外国人政策本部の提言でも、技人国の在留者数増加と、派遣の場合に活動実態の把握が十分でない点が問題として挙げられています。
つまり、誓約書は「派遣だから見えにくい」を埋めるための楔です。
派遣元だけに責任を寄せるのでも、派遣先だけに押し付けるのでもなく、両方に同じ方向を向かせる。
何を誓約させるのか:ポイントは“虚偽”の線

誓約書(派遣元用・派遣先用)は、申請内容に虚偽がないこと、就労内容を理解していること等を確約し、虚偽の場合に不利益があり得る趣旨が示されています。
ここで怖いのは、虚偽が「経歴詐称」だけを指さない点です。
実務上の地雷は、業務の中身が“専門”として説明できないのに、申請書上はそれっぽく書いてしまうこと。
申請時点では立派でも、配属後に現場が別の仕事をさせる。
結果として「申請内容と実態が違う」になる。この瞬間に、誓約は重くなる。
実務で何が変わるか:派遣元・派遣先それぞれの宿題

ここからは行政書士として、現場が痛むポイントを先に言っておきます。
派遣元の宿題:職務設計を“勝てる日本語”にする
1つ目は、職務記述書(JD)の精度です。
「データ入力」「軽作業あり」みたいな曖昧ワードは、技人国の派遣だと危険な匂いになります。
専門性の中核業務と、付随業務の線引きを、社内の誰が読んでも同じ絵が浮かぶ粒度まで落とす。
もう1つは、営業トークの修正です。
「資格外の業務も可能」みたいな説明は、今後は致命傷になります。
誓約書は、社内の軽い説明を“公的な約束”に変えてしまうからです。
派遣先の宿題:現場の“ついで業務”を棚卸しする
派遣先で一番多い事故は、「人が足りないから、今日だけ」問題です。
忙しい日は、専門職にも荷物を持たせたくなる。分かります。でも技人国で派遣を受けるなら、現場責任者が“何を指示してはいけないか”を持っていないと守れません。
現場の棚卸しは、次の問いで進みます。
その作業、専門的知識が要りますか。日本人新入社員に最初にやらせる仕事ですか。
誰でもできる置き換えが効きますか。
このあたりの質問に「はい」が並ぶなら、技人国の器からはみ出している可能性が高い。
「不法就労助長」の距離感:知らなかったでは済みにくい

資格外の業務に従事させると、不法就労助長として問題になり得ます。
罰則の一般的な案内として、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)と説明されることが多いです(警視庁や入管庁資料でも同趣旨の案内があります)。
一方で、厳罰化の議論・説明も流通しており、施行時期や適用関係は一次情報での確認が必要です。ここは未確認のまま断定しません。
ただ、誓約書が入ると、少なくとも「分かっていなかった」は言い訳として弱くなる。
書面で“理解している”と約束する以上、です。
私の実感:誓約書は「監査スイッチ」になる

推測ですが、今後は審査段階だけでなく、許可後の実態確認(現地確認や資料追加要請)が増えていきます。
総合的対応策でも、疑義がある案件の実態調査や、派遣先での活動状況調査の強化が示されています。
誓約書は、そのスイッチを押しやすくする道具です。
だから企業側の正解は、誓約書に合わせて“見せられる証跡”を先に作ること。
契約書、業務指示系統、研修記録、職務の成果物。
こういう地味な束が、最後に会社を守ります。
【結論】
技人国の派遣就労は、2026年3月9日開始とされる誓約書運用により、「業務の中身」と「責任の所在」を書面で固定する方向に進む。派遣元・派遣先とも、専門業務の設計と現場運用を先に整えるべき。
【根拠】
・政府の総合的対応策で、技人国等の資格外活動防止に向けた運用改善・調査強化・方策検討が明記されている。
・自民党提言で、技人国の増加と派遣における実態把握不十分が問題化されている。
・報道で、派遣元・派遣先双方の誓約書提出を求める運用(3/9開始)が示されている。
【注意点・例外】
・誓約書の様式や提出場面(COE/変更/更新等)によって実務運用が変わり得るため、最新の入管庁案内と様式で確認が必要。
・「単純労働か否か」の線引きは、職務の中核が専門性を持つか、付随業務がどの程度混ざるかで判断が割れやすい。グレー案件は専門家に確認が必要。
・不法就労助長の罰則については、厳罰化の情報も流通しているため、施行関係を一次情報で確認の上で社内規程に落とすのが安全。
【出典】
・内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策(2026年1月23日)」
・自由民主党「外国人政策本部 提言(2026年1月)」
・産経ニュース配信内容(X投稿による見出し確認)
・警視庁「外国人の適正雇用について」(不法就労助長の罰則案内)
・出入国在留管理庁系資料(不法就労助長の罰則案内)
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