外国人雇用は「採れたら終わり」ではなく、「残ってもらえるか」が本番です
京都の中小企業で外国人雇用が広がっている、という話自体はもう珍しくありません。けれど、今回の話で大事なのは人数の増加ではなく、その先です。つまり、どうすれば外国人従業員がその会社に残るのか、という点に焦点が当たっているところです。
京都労働局の公表では、京都府内で外国人を雇用する事業所は令和7年10月末時点で6590か所、前年同期比12.9%増でした。外国人労働者数も4万993人で、前年同期比17.8%増となっています。しかも事業所規模では「30人未満」が61.7%を占めており、外国人雇用を支えているのは大企業より、むしろ中小企業だと見てよさそうです。
この数字を見ると、外国人雇用はもはや一部の企業の話ではありません。
人手不足への一時しのぎではなく、地域経済の土台そのものになりつつある。そこまで来ています。
定着の決め手は、結局かなり地味です

報道で紹介された京都府内の製造業の事例では、多言語の自動翻訳システム、外国人専用寮、資格試験の受験支援、日本語学習の後押しといった取り組みが紹介されていました。
ここには、いわゆる派手さはありません。ですが、現場ではこういう地味な整備ほど効きます。
実務でも、外国人本人が会社を評価するときに見ているのは、単純に「給料がいくらか」だけではありません。もちろん賃金は大事です。
ただ、それと同じくらい、あるいは人によってはそれ以上に見ているのが、次のような点です。
「言葉が通じるか」
「相談できる人がいるか」
「資格取得や在留継続につながる支援があるか」
「生活の基盤が安定するか」
「自分がこの会社で先に進める感じがするか」
この最後の感覚は、意外と大きいです。外国人従業員にとって、今の職場が単なる“働く場所”なのか、それとも“日本で生活を積み上げる場所”なのか。この違いは、離職率にそのまま出やすい。
福利厚生はコストではなく、離職防止策として考えた方がいい

地方の中小企業では、都市部の企業と賃金競争を正面からやるのは苦しい場面があります。報道の中でも、その現実はかなり率直に語られていました。
これはたぶん、多くの事業者が同じ感覚だと思います。
だからこそ、福利厚生や生活支援を「余裕がある会社がやること」と考えると、少しずれてしまいます。むしろ、定着率を上げるための実務上の投資です。
たとえば、住居支援ひとつ取っても、外国人本人にとっては生活の不安を減らす意味があります。
企業にとっては、遅刻や欠勤、急な退職、生活トラブル由来の勤務不安定を減らす効果がある。日本語支援も同じです。会話の問題だけではなく、労災防止、業務理解、上司との信頼関係づくりに直結します。
ここを「優しさ」で終わらせず、「雇用管理」として捉えられるかどうか。そこが案外、分かれ目です。
国家資格の受験支援は、定着と在留の両方に意味がある

今回の事例で特に印象的だったのは、国家資格の受験支援に力を入れている点です。
これは非常に実務的です。
なぜなら、外国人本人にとって資格は、単なるスキル証明ではありません。
在留資格の継続、キャリアアップ、職場内での信頼獲得にまでつながることがあるからです。特定技能や今後の育成就労制度との接続を見ても、育成と定着を切り離して考えるのは難しい。
育成就労制度は、技能実習制度に代わる制度として2027年までに施行される予定で、現行制度よりも本人の意向に応じた転籍の仕組みが広がる設計です。
出入国在留管理庁も制度概要やQ&Aを公表しており、「受け入れたら基本的に動かない」時代ではなくなる方向が明確になっています。
つまり企業側は、制度で縛る発想から、残りたいと思ってもらう発想に切り替えないといけない。ここはかなり大きな変化です。
育成就労制度で本当に問われるのは、求人力より職場の中身です

技能実習制度のもとでは、転職制限が強かったため、企業側にとってはある種の“制度的な囲い込み”がありました。もちろんそれ自体に多くの問題があったから見直されるわけですが、企業実務の感覚で言えば、今後はごまかしが利きにくくなるとも言えます。
採用時の説明が曖昧
日本語支援がない
生活面の相談先がない
キャリアの見通しがない
上司の指導が感覚的で、外国人本人に伝わらない
こうした職場は、今まで以上に選ばれにくくなるはずです。
逆にいえば、都市部ではなくても、丁寧に育成し、生活を支え、将来の見通しを示せる会社は十分に戦えます。
私はこの点はかなり重要だと思っています。地方企業が勝てないのではなく、「何で勝負するか」を言語化できていないだけの会社が多い。
行政の支援が必要という声は、かなりもっともです

ただし、企業努力だけで乗り切れるかというと、そこは簡単ではありません。
住居整備、日本語教育、資格支援、翻訳ツール導入、担当者育成。
どれもコストも手間もかかる。特に従業員30人未満の事業所が6割超という京都の実態を見ると、自力だけで回すには限界があります。
その意味で、地方の中小企業に対する行政支援は、単なる“優遇策”ではなく、地域の雇用インフラを守る政策として位置づけるべきだと思います。
外国人雇用の支援というより、地域産業の持続可能性の支援です。ここを取り違えると、制度は作っても現場で回りません。
行政書士として感じること

在留資格の相談を受けていると、企業が気にするのは「この人を雇えるか」「更新できるか」という入口の話になりがちです。
もちろんそこは大事です。けれど、実際にはその後の定着支援の方がずっと難しい。
書類の整合性は作れても、現場の納得感までは書類では作れません。
制度の理解は説明できても、上司と本人の関係性までは許可申請では整いません。
そこに手を入れないまま、採用だけ増やしても、結局は回らなくなる。最近はそういう局面に入ってきたように感じます。
外国人雇用の問題は、在留資格だけの問題ではありません。労務、教育、生活、職場文化、その全部が絡みます。だから本当は、採用の時点から「この会社で3年後、5年後にどう働けるのか」を見せる必要がある。
そこまで考えている会社は、やはり強いです。
【結論】
外国人材の確保が難しくなるこれからは、採用数より定着率が重要です。特に育成就労制度への移行を見据えると、福利厚生、日本語支援、資格取得支援、生活基盤の整備といった就労環境の改善が、地方中小企業の競争力そのものになります。
【根拠】
京都労働局の公表では、京都府内の外国人雇用事業所は6590か所、外国人労働者数は4万993人で、いずれも前年より増加しています。また、事業所の61.7%は30人未満であり、中小企業が外国人雇用の中心です。さらに、出入国在留管理庁は育成就労制度の概要とQ&Aを公表しており、転籍を含む新制度への移行が制度上予定されています。
【注意点・例外】
賃金が不要という意味ではありません。定着には賃金水準も依然として重要です。ただ、地方企業が都市部と賃金だけで競うのは難しく、総合的な就労環境で差をつける発想が必要です。
また、育成就労制度の細部運用は今後の省令・運用要領の確認が必要です。実務対応は最新資料を見ながら進めるべきで、個別ケースでは専門家に確認が必要です。
【出典】
京都労働局「京都労働局における『外国人雇用状況』の届出状況(令和7年10月末時点)」
出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」「育成就労制度Q&A」
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