外国人「育成就労」制度、27・28年度で上限42万人へ

技能実習の後継制度は“量”をどう管理するのか
政府が、技能実習制度に代わる新制度「育成就労」について、2027年度・2028年度の2年間で受け入れ上限を約42万6千人とする素案を示しました。
ニュースとしては数字が先行しますが、実務の現場から見ると、この「42万人」という数字には、いくつか引っかかる点があります。
私はこの数字を見て、正直なところ「ついに上限を置く方向に舵を切ったか」という印象を持ちました。技能実習制度では、実質的に総量規制がなく、結果として制度の歪みが拡大していったからです。
育成就労制度とは何が違うのか

育成就労制度は、表向きには「人材育成」を目的としつつ、実態としては中長期的な就労を前提とした制度です。
技能実習のような「国際貢献」を建前とした制度設計から、より現実的な労働力確保へと軸足が移っています。
制度設計上のポイントは次の通りです。
・転籍(転職)が一定条件で認められる
・特定技能への移行を前提とした育成期間
・監理団体型から、より直接的な管理へ
理念としては改善方向にあります。ただし、制度は理念だけでは回りません。
なぜ「42万人」という数字が出てきたのか

今回示された上限は、直近の技能実習生数や、特定技能の受け入れ見込みなどを踏まえた「現実的な落としどころ」と考えられます。
推測ですが、
・技能実習の在籍者数
・失踪者問題への反省
・国民世論の反発
この3点を同時に意識した結果が、この水準なのでしょう。
ただ、2年間で42万人というのは、決して少ない数字ではありません。
制度設計を誤れば、技能実習時代と同じ問題が、名前を変えて再生産されるリスクもあります。
行政書士として現場で懸念する点

実務目線で見ると、気になるのは次の点です。
まず、受け入れ上限が「全国合計」であること。
業種別・地域別の偏在がどう調整されるのか、現時点では見えていません。
次に、企業側の理解不足です。
育成就労は「安定的に長く使える外国人材制度」ではありません。育成期間を経て、特定技能等へ移行する前提の制度です。この理解がないまま採用が進めば、ミスマッチが起きます。
そして、送り出し・紹介ビジネスの問題。
制度が変わっても、高額手数料構造が温存されれば、結局は人権問題が残ります。
技能実習の反省は生かされるのか

技能実習制度は、制度そのものより「運用」で壊れました。
育成就労も、同じ道をたどる可能性は否定できません。
上限人数を設定したこと自体は、一つの進歩です。
ただし、本当に重要なのは次の点です。
・不適切な受け入れ企業を排除できるか
・転籍制度が実効性を持つか
・日本語教育や生活支援が形骸化しないか
このあたりは、制度開始後に行政がどこまで本気で監督するかにかかっています。
少し個人的な所感

現場で相談を受けていると、「制度が分かりにくい」という声が増えています。
制度が複雑になるほど、誠実な企業ほど慎重になり、グレーな事業者ほど先に動く。この構図は、技能実習時代と同じです。
育成就労は、本来は「外国人の人生設計」と「日本の人手不足」を両立させる制度であるはずです。
42万人という数字が、その理念を支える上限になるのか、それとも単なる数合わせに終わるのか。ここからが本番だと感じています。
結論

育成就労制度に上限人数を設けた点は評価できるが、42万人という数字だけで制度の健全性は判断できない。運用次第で、技能実習の問題を繰り返す可能性も残る。
根拠
・政府有識者会議への素案提示
・技能実習制度の実績と問題点
・特定技能制度との接続設計
注意点・例外
・業種別・地域別の受け入れ枠は今後変更される可能性がある
・詳細な運用指針は未確定
・実務判断は最新の省令・告示の確認が必要
出典
・報道資料(news.jp 記事)
・出入国在留管理庁公表資料
・技能実習制度運用実績
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