「妊娠したら帰国させられる」
この言葉が、単なる噂で終わってくれたらいいのですが、現場では“相談できない空気”を作るのに十分な破壊力があります。
RKBの報道でも、技能実習生や留学生の「孤立出産」が後を絶たない状況が描かれていました。
背景には、不安と情報不足、そして受け入れ側の構造的な弱点がある。私はそう感じます。
在留外国人は約395万人と過去最多を更新し、地域の職場や学校で外国人が「当たり前にいる」時代になりました。
当たり前になった一方で、妊娠・出産というライフイベントを“例外”として扱う空気は、まだ残っています。
「妊娠=退職」は、制度上もアウト

まず、ここは線を引いておきたいところです。
厚労省等の通知では、妊娠・出産等を理由に技能実習を本人の意に反して一方的に打ち切ると、技能実習計画の認定取消しの対象になり得る、と明確に書かれています。
監理団体が見て見ぬふりをしても、許可取消しの対象になり得る。軽い話ではありません。
リーフレット側でも、もっとストレートです。
妊娠・出産を理由とした解雇や不利益取扱いは法律で禁止、さらに「送出機関が、妊娠等を理由として帰国することを約束することは許されません」とまで明記されています。
ここが重要で、「本人が不安になるポイント」を制度側は理解している、ということでもあります。
“相談できない”は、本人の性格ではなく環境の問題

報道では、妊娠を打ち明けられずに追い込まれ、死産した子を遺棄して刑事事件になる痛ましいケースも紹介されていました。
本人が「怖くて誰にも相談できなかった」と語る構図は、典型的です。
私の感覚でも、ここは本人の資質の問題にしてはいけない。
相談の導線が細い。日本語で制度説明を受けても「分かりました」と言ってしまう。
受け入れ側も忙しくて踏み込めない。
結果として、妊娠が“見えない化”する。
RKBの記事で紹介されていた連絡会でも、「困りごとを個人の問題にしがちだが、受入れ側の日本側にも問題があるのでは」という指摘が出ていました。
この視点は、かなり本質を突いていると思います。
受入れ側が「今日から」やるべきこと

私は、対策は大きく3つだと整理しています。
1つ目は、最初から「妊娠は起きうる前提」で言葉を置くこと。
上智大の田中教授のコメントにある通り、「蓋をする」ほど当事者は黙ります。
「相談していい」という掲示を、社内にも寮にも、支援機関にも、見える形で出す。
2つ目は、制度説明を“紙で渡して終わり”にしないこと。
通知でも、入国後講習などの機会に、妊娠・出産で解雇等はないこと、支援制度、相談窓口を分かりやすく説明するよう求めています。
「分かった?」ではなく、「どこに連絡する?」「誰に言う?」まで具体化する。
ここで初めて“使える情報”になります。
3つ目は、本人の意思確認を丁寧にやること。
妊娠が分かったら、継続意思、日本で出産するか、帰国するか。本人の希望を踏まえて必要な対応を、監理団体・実習実施者が話し合って行うべきだと整理されています。
そして、実務的にはここが肝です。
「妊娠したら帰国」の恐怖は、送出機関側の“ルール”や“契約っぽい約束”から来ることがある。けれど、それ自体が許されない、と国が言っている。
受入れ側が、それを本人の母語も交えて説明し、必要なら監理団体・機構・行政窓口につなぐ。ここで初めて恐怖が薄まります。
「育成就労」になっても、同じ壁が残る

技能実習制度は見直しが進み、新制度(育成就労)の創設も決まっています。
厚労省資料でも、技能実習を抜本的に見直し、人材の育成・確保を目的とする制度を作る流れが示されています。
ただ、制度名が変わっても、「妊娠をタブー視する空気」が残れば、同じ問題は形を変えて出ます。
だから私は、制度改正より先に、現場の言葉と導線を変えたいと思っています。
妊娠は“トラブル”ではなく、生活の一部です。日本人が普通にやっていることを、同じようにできるように支える。その発想に切り替えるだけで、救えるケースは確実に増えます。
記事末尾まとめ

【結論】
「妊娠したら帰国」は放置すると孤立出産を生む。妊娠・出産を理由とする解雇・不利益取扱い・帰国強要は許されず、受入れ側が“相談できる導線”を設計することが再発防止の核心になる。
【根拠】
妊娠・出産を理由に技能実習を本人の意に反して打ち切ることは、認定取消し等の対象になり得ること、また不利益取扱いの禁止や送出機関による帰国約束の不許可が明記されている。
【注意点・例外】
・個別事案では、就労継続の可否、休業・受診対応、在留手続、家族関係、福祉・医療への接続など論点が広い。専門家に確認が必要。
・報道事案の刑事手続や評価は、事実関係に左右されるため一般化しない。
【出典】
・RKB毎日放送(TBS NEWS DIG)「『妊娠したら帰国させられる』…技能実習生の『孤立出産』」
・厚生労働省資料「妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いの禁止の徹底について(通知・リーフレット)」
・厚生労働省資料「育成就労制度の概要」
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