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TOP > コラム > 高市政権の外国人政策「厳格化」と留学生急増 受け入れ正常化に必要な視点

高市政権の外国人政策「厳格化」と留学生急増 受け入れ正常化に必要な視点

2026.05.30
コラム不法就労外国人支援外国人雇用留学ビザ資格外活動
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高市政権の「厳格化」と、増え続ける外国人留学生

外国人政策について「厳格化」という言葉を聞く機会が増えました。土地取得、永住・帰化、在留審査、オーバーツーリズム。不安や不公平感に向き合う政策が前面に出ています。

ところが、その一方で、外国人留学生は増え続けています。

出入国在留管理庁の公表によれば、令和7年末の在留外国人数は412万5,395人で過去最高となり、在留資格別では「留学」が464,784人、前年末比62,650人増となっています。

これは「技術・人文知識・国際業務」に次ぐ大きな在留資格の一つです。

政府は、2033年までに外国人留学生の受入れ数40万人を目指す方針を掲げていました。文部科学省の資料でも、2033年までに外国人留学生40万人の実現を目指すことが示されています。

数字だけを見ると、目標は前倒しで達成されたようにも見えます。ただ、行政書士として実務を見ていると、ここで単純に「日本が選ばれている」とだけ言い切るのは、少し危ういと感じます。

問題は「留学生が増えること」そのものではない

まず確認しておきたいのは、留学生が増えること自体が悪いわけではありません。

日本語を学び、日本の専門学校や大学で学び、その後、日本企業で働く。これは日本社会にとっても、本人にとっても意味のあるルートです。地方の学校や企業にとって、外国人留学生は大切な存在になっています。

問題は、留学という在留資格が、本来の目的である「学ぶための制度」から外れて、実質的に「働くための入口」として使われていないか、という点です。

留学の在留資格は、原則として就労を目的とする資格ではありません。資格外活動許可を受ければ、一定の範囲でアルバイトはできますが、入管庁は留学生について、1週28時間以内、長期休業期間は1日8時間以内という枠を示しています。

つまり、留学生の生活設計は、本来「アルバイトをしなくても学費と生活費を支えられること」が前提に近いはずです。

ところが現場では、来日前から借金を背負い、日本で働いて学費を払い、さらに母国に仕送りするという相談や話を耳にすることがあります。

これは、制度の建前と現実がかなり離れている状態です。

経費支弁書類の「不自然さ」は、実務上も見過ごせない

今回の記事では、留学ビザ申請における経費支弁関係書類の不自然さが問題提起されています。報道では、親の収入、預金残高、職業、仕送り額などが似通っているケースがあるとされています。

もちろん、個別の書類が偽造・変造であるかどうかは、実物を確認しなければ断定できません。ここは慎重であるべきです。

ただ、行政書士の実務感覚として、経費支弁者の収入、職業、家族構成、預金残高、資金形成の経緯が自然につながっていない書類は、やはり注意が必要です。

「証明書が本物なら問題ない」とは言い切れません。公的機関や金融機関が発行した形式を備えていても、そこに記載された数字の実態が伴っているかは別問題だからです。

入管実務では、書類の真正性だけでなく、申請内容全体の合理性が見られます。特に留学では、学費、生活費、渡航費をどのように支えるのかが重要です。ここが曖昧なまま入国すれば、結局、本人が過度なアルバイトに頼らざるを得なくなります。

そして、そのしわ寄せは本人だけでなく、学校、雇用先、地域社会にも及びます。

「適正校」制度は必要だが、万能ではない

入管庁の在留資格「留学」のページでは、教育機関について、適正校クラスⅠ、クラスⅡ、適正校でない機関などに応じた提出書類一覧が分けられています。告示日本語教育機関や認定日本語教育機関についても、クラスⅠ・クラスⅡの区分が設けられています。

適正校制度そのものは、制度運用上は必要です。

すべての学校、すべての申請について同じ深さで審査すれば、入管の審査実務は回らなくなります。過去の在籍管理が良好な学校について、一定の手続簡素化を認めることには合理性があります。

ただし、ここで注意すべきなのは、「適正校であること」と「一人ひとりの留学生の経費支弁能力が確実であること」は、同じではないという点です。

学校全体の管理が良好でも、個別の申請者の資金計画に疑義があることはあり得ます。逆に、学校が適正校でないからといって、個々の学生の学習意欲や資金能力が低いとも限りません。

制度を効率化することと、審査の目を弱めることは違います。ここを混同すると、まじめに管理している学校も、まじめに留学しようとしている学生も、かえって不利益を受けます。

学校経営と人手不足が、留学生制度に依存していないか

留学生問題の難しさは、日本側にも利益があることです。

日本語学校、専門学校、大学の中には、留学生の存在が経営上きわめて大きいところがあります。文部科学省も令和8年4月28日の通知で、学生数確保のために安易に外国人留学生を受け入れることを厳に慎むよう求め、教育体制に見合わない過大な受入れとならないよう注意を促しています。

また、同通知では、学業成績や資格外活動の状況を的確に把握すること、週28時間以内等の資格外活動許可の要件を学生に十分理解させることも求めています。

これは、かなり重要なメッセージです。

学校は、入学させて終わりではありません。出席率、成績、アルバイト状況、退学・除籍・所在不明後の対応まで含めて、留学生を受け入れる責任があります。

企業側も同じです。留学生アルバイトを「人手不足の調整弁」として使うだけでは、制度の持続性を壊してしまいます。本人が複数の勤務先で働いている場合、自社だけで28時間以内に収まっていても、合算で超過している可能性があります。ここを確認しない雇用管理は、今後ますますリスクになります。

必要なのは「排除」ではなく「正常化」

私は、留学生を一律に疑うべきだとは思いません。

母国の経済状況が厳しい中で、日本語を学び、働きながら将来を切り開こうとする若者はたくさんいます。実際、厳しい環境の中でも真面目に学び、進学し、就職している学生もいます。

だからこそ、制度を曖昧にしたまま放置してはいけないのだと思います。

働くために来るのであれば、働くための在留資格で受け入れるべきです。学ぶために来るのであれば、学ぶための資金計画、学習能力、学校の教育体制をきちんと確認するべきです。

「留学生」という名前で受け入れながら、実態としては人手不足を補う労働力として期待する。このねじれを放置すると、本人は借金と過重労働に苦しみ、学校は数合わせに流れ、企業は安い労働力に依存し、社会全体では外国人受入れへの不信感が強まります。

それは、誰にとってもよい結果ではありません。

行政書士として見た、これからの実務上のポイント

今後、留学生の受入れに関わる学校や企業は、次の点をより慎重に見る必要があります。

第一に、経費支弁書類の形式だけでなく、資金形成の流れを確認することです。預金残高、収入、家族構成、職業、送金予定額が自然につながっているかを見ます。

第二に、入学後の資格外活動管理を「本人任せ」にしないことです。週28時間のルールは、本人が知らなかったでは済まされません。学校も企業も、説明・確認・記録を残す必要があります。

第三に、留学から就職、特定技能、技人国などへの接続を、早い段階から現実的に設計することです。卒業直前になって「どの在留資格に変えられますか」と相談されても、選択肢が限られることがあります。

留学生の受入れは、入口だけではなく、在学中、卒業後、就職後まで続く一本の線として考える必要があります。

最後に、制度の「厳格化」という言葉だけでなく、「正常化」という視点が大切です。

厳しくすることが目的ではありません。学ぶ人は安心して学べる。働く人は適正な在留資格で働ける。学校は教育機関として責任を果たす。企業は労働力としてだけでなく、一人の人材として外国人を受け入れる。

そこに戻すことが、留学生制度の正常化ではないでしょうか。

在留資格申請や留学生の受入れ管理は、制度の条文だけでなく、実際の学習状況、経費支弁、アルバイト実態、卒業後の進路によって判断が変わります。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】

外国人留学生の増加そのものが問題なのではなく、留学制度が実質的に就労目的の入口として使われ、経費支弁や在籍管理が形骸化することが問題です。必要なのは単なる厳格化ではなく、学ぶ人を適正に受け入れ、働く人は労働者として受け入れる制度の正常化です。

【根拠】

出入国在留管理庁の令和7年末統計では、在留外国人数は412万5,395人、在留資格「留学」は464,784人で前年から62,650人増加しています。
文部科学省は2033年までに外国人留学生40万人を目指す方針を示していました。
入管庁の在留資格「留学」の提出書類案内では、教育機関の適正校区分に応じた提出書類一覧が設けられています。
文部科学省は令和8年4月28日通知で、安易な留学生受入れを慎むこと、資格外活動状況を把握すること、所在不明者等を報告することを求めています。

【注意点・例外】

不自然な経費支弁書類があるとしても、個別の書類が虚偽であるかは実物確認が必要です。
適正校であることは、個々の申請者の経費支弁能力を当然に保証するものではありません。
留学生本人の学習意欲や能力は国籍だけで判断できません。
資格外活動の超過、学校の在籍管理、企業の雇用管理は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】

出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
出入国在留管理庁「在留資格『留学』」
文部科学省「第5回教育未来創造会議を開催」
文部科学省「外国人留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底等について(通知)」
出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
参考情報:Wedge ONLINE「政府に求めたい留学生受け入れの『正常化』」2026年5月7日配信

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