EPA介護福祉士候補者の合格者数が減った。その数字をどう見るか
厚生労働省が2026年3月16日に公表した第38回介護福祉士国家試験の資料を見ると、EPAに基づく外国人介護福祉士候補者の合格者は380人、合格率は31.8%でした。
前年度の498人から24%減で、EPAルートの受験が始まった2011年度以降で最も低い合格率です。国別ではインドネシア185人、ベトナム103人、フィリピン92人でした。
この数字だけを見ると、「外国人介護人材はもう難しいのでは」と感じる人もいると思います。けれど、実務で見ている感覚では、少し違います。
難しくなったというより、外国人介護人材の入り口が分散してきた。
その結果、EPAだけを見ても全体像が見えにくくなっている、そう受け止めたほうが自然です。
いまの介護現場はEPAだけでは語れない

もともと介護分野の外国人受入れは、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つの制度が並立しています。
つまり、介護現場で外国人が増えていたとしても、それがそのままEPA候補者の増加を意味するわけではありません。
受入れルートが増えたことでEPAの数字は相対化される
今回の報道でも、厚労省担当者は合格者減少の一因として、特定技能など別の在留資格で介護現場に入る外国人が増えている可能性に触れています。これはかなり自然な見方です。
EPAは二国間の経済連携協定に基づく公的枠組みで、受入れ調整機関も決まっており、毎年度の受入れ人数管理もあります。いわば、入口が制度的に絞られている仕組みです。
その一方で、特定技能などは実務上の柔軟性が比較的高く、選ばれやすい場面も出てきます。
人数の増減だけでは実態を見誤る
このニュースで大事なのは、「EPAが減ったから外国人介護人材全体も減った」と短絡的に考えないことです。
制度が複線化している以上、どのルートで人が入ってきているのかを分けて見ないと、現場の実情とはずれてしまいます。
本当に重いのは、働きながら国家試験に合格する負担
EPA候補者は、介護現場で働きながら介護福祉士国家試験の合格を目指す制度です。ここに、この制度の難しさがあります。
就労と学習、日本語対応を同時に求められる

厚生労働省の資料でも、外国人介護人材については、専門学習に加えて日本語学習も必要であり、就労と学習の両立が課題だと整理されています。
現場で働きながら試験勉強を続けるのは、日本人でも簡単ではありません。
そこに専門用語の理解、記述の読解、利用者対応の日本語が重なります。
数字の裏には、かなり重い負担があります。
再受験者の苦戦が示す現場支援の差
今回の第38回試験結果を見ると、初受験者の合格率は44.8%、再受験者は21.4%でした。再受験者のほうが大きく苦戦している構図が出ています。
ここは実務的にかなり重要です。
一度不合格になったあと、現場負担を抱えたまま学習を継続する難しさが表れている可能性があります。推測ですが、受入れ施設ごとの日本語支援、試験対策、勤務シフトの組み方によって、結果の差はかなり開くはずです。
合格者380人という数字の裏で、施設側に問われること

私は、このニュースは「外国人介護人材が減った」という話ではなく、「どの制度で、どう育て、どう定着させるか」がよりシビアになったというサインだと感じます。
EPAは公的枠組みとしての安定感があります。
ただ、その制度を活かすには、国家試験合格まで見据えた支援が必要です。
受け入れて終わりでは済みません。
日本語教育、試験対策、生活支援、現場指導。そのどれかが弱いと、制度のよさが現場で生きません。
採れる制度ではなく、育つ制度を選ぶ視点が必要
介護分野では人手不足が続いています。そうであればなおさら、施設側に必要なのは「どの在留資格なら採用しやすいか」だけではありません。
すぐに働ける人材を集めたいのか、国家資格取得まで見据えて中核人材に育てたいのか。この視点が曖昧なまま受入れだけを進めると、採用後にずれが出ます。制度選択の時点で、事業者の考え方がそのまま現れる分野だと思います。
EPA制度は終わったのではなく、本気度が試されている

EPAは古い制度です。ですが、役割を終えたとは思いません。むしろ、介護の専門職として外国人材をどう位置づけるかを考えるとき、いちばん本気度が問われる制度かもしれません。
合格者380人という数字は、たしかに少し寂しいです。ただ、その数字の裏には、働きながら日本語と専門知識に向き合ってきた人たちの積み重ねがあります。
制度の比較だけでなく、その努力を支える現場設計まで見ていきたいところです。
結論

EPA介護福祉士候補者の合格者数減少は、外国人介護人材全体の後退というより、受入れルートの多様化と、就労・日本語学習・試験対策を両立させる難しさが表れたものと見るのが妥当です。
介護事業者には、採用数よりも育成設計の質が問われる局面に入っています。
根拠
厚生労働省公表の第38回介護福祉士国家試験結果では、EPA候補者の合格者は380人、合格率31.8%で、前年度498人から減少しています。介護分野の外国人受入れ制度はEPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4制度が並立しており、EPAだけで全体動向は判断できません。厚労省資料でも、外国人介護人材は就労と学習の両立が課題と整理されています。
注意点・例外
合格者減少の主因が本当に特定技能等への移行だけなのかは、現時点で厚労省が確定的に示しているわけではありません。
受験者数の構成、施設側の学習支援、候補者の日本語力、再受験者割合など、複数要因で見る必要があります。
個別施設の採用戦略や在留資格選択は、業務内容や育成方針によって異なるため、専門家に確認が必要です。
出典
・厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果」
・厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
・厚生労働省「フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
・厚生労働省「インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
・厚生労働省「介護人材確保の現状について」
—————————————————————————————————————————————-
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
対応エリア
全国対応
新潟県全域対応可能(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、新発田市、小千谷市、加茂市、十日町市、見附市、村上市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、阿賀野市、佐渡市、魚沼市、南魚沼市、胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、阿賀町、出雲崎町、湯沢町、刈羽村、関川村、粟島浦村、津南町)ビザ新潟
福島県全域対応可能(福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、田村市、南相馬市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、鏡石町、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、新地町、飯舘村、大玉村、天栄村、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、飯舘村)ビザ福島
山形県全域対応可能(山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、大蔵村、鮭川村、戸沢村)ビザ山形
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。
面談もZoomでの対応可能です。
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
友達追加してお気軽にご相談ください。
