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新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所です。
「今治造船」実習計画取り消し──2000人超の技能実習生はどうなるのか?
2025年3月、国内最大手の造船会社「今治造船」が、技能実習生に対する安全管理体制の不備を理由に、出入国在留管理庁と厚生労働省から技能実習計画2134件の取り消しおよび今後5年間の実習生受け入れ停止という厳しい処分を受けました。
出典:NHKニュースより
「今治造船」技能実習生計画取り消し 5年の受け入れ停止処分も
これは、2017年に制度運用が強化されて以来、1事業者あたりで最大規模の処分です。
この出来事は、技能実習制度の抱える構造的課題を改めて浮き彫りにしました。今回は、行政書士の立場から、次の3つの視点で解説していきます。
◆ 実習計画の取り消しとは?
技能実習制度では、実習生が受け入れ先企業で実践的な技能を学ぶためには、事前に「技能実習計画」の認定を受ける必要があります。
この計画には、
• 技能習得の内容や方法
• 労働環境の整備
• 賃金や労働時間の明示
などが詳細に盛り込まれており、人材育成という建前のもとで制度が運用されることが前提となっています。
しかし今回、今治造船では、労働安全衛生法に違反し、安全管理体制に重大な問題があったとされています。
このことから、出入国在留管理庁および厚生労働省は、同社の2134件にのぼる実習計画を無効と判断し、取り消す処分を下しました。
これは、技能実習制度の根幹である「計画に沿った適正な技能習得」が困難であると認定されたことを意味します。
◆ 実習生たちはどうなるのか?法的な立場と支援策
実習計画の取り消しにより、2000名以上の技能実習生が今後の在留や生活について大きな影響を受けることになります。
① 他企業への「転籍」
技能実習制度では、一定の条件下で他の受け入れ先企業へ転籍することが可能です。監理団体が新たな受け入れ先を探し、本人の同意のもとで移籍する形になります。
ただし、
• 同業種・同職種での受け入れが原則
• 受け入れ先企業の確保に時間がかかる
• 実習生本人の希望や事情が多様
といった点から、全員がスムーズに転籍できるとは限りません。
② 帰国せざるを得ないケース
転籍が不可能な場合、日本での在留資格を失い、帰国を余儀なくされる可能性があります。中には、借金をして日本に来ている実習生も多く、経済的損失や精神的ダメージは計り知れません。
③ 在留資格変更の道
状況によっては、「特定活動」などの一時的な在留資格への変更が認められるケースもあります。
ただし、これも個別審査によるもので、制度的な保証があるわけではありません。
④ 相談・支援体制
外国人技能実習機構(OTIT)や一部のNPOなどでは、
• 母国語での相談対応
• 生活・労働に関する支援
• 法的手続きのサポート
などが行われていますが、これら全員の技能実習生を支援するには、支援体制には限界があるのが現状です。
◆ 制度の矛盾と今後の方向性
本来、技能実習制度は「開発途上国への技術移転」という国際貢献を目的に創設された制度です。
しかし、実際には安価な労働力として活用されている側面が強く、制度と実態の乖離が長年にわたり指摘されてきました。
特に、
• 受け入れ企業による人権侵害
• 過酷な労働環境や低賃金
• 実習生の失踪や精神疾患
といった事例が相次ぎ、制度の信頼性は揺らいでいます。
こうした中、政府は「育成就労制度」への移行を視野に入れた制度改革を進めています。
これは、技能実習制度を廃止し、より実態に即した形で外国人労働者を受け入れる制度への転換を目指すものです。
制度移行の柱は以下のような点です。
• 労働力確保を正面から目的に据える
• 一定の条件下で転職可能にする
• 日本語教育や生活支援の充実
今回の今治造船の件は、こうした制度改革を加速させる契機になるかもしれません。
◆ 最後に──制度の“隙間”に取り残される人を見過ごさないために
行政書士として日々外国人と接していると、制度の不備や現場の苦しみに触れることが少なくありません。
とりわけ技能実習生は、在留資格の不安定さ、母国との文化的・経済的ギャップ、情報の非対称性といった複雑な問題を抱えています。
制度そのものの見直しが求められる今こそ、一人ひとりの実習生の尊厳と将来に目を向けた支援が必要です。
制度の矛盾を指摘するだけでなく、現行制度の中でも何ができるかを常に考え、実践していくことが、私たち行政書士に求められていると感じています。
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