外国人と生活保護をめぐる誤情報に注意!数字と判例から事実を読み解く
皆さんおはようございます!
新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所です。
2025年春以降、SNSを中心に「生活保護を受けている世帯の3分の1が外国人」「外国人への生活保護は憲法違反だ」といった投稿が急増しています。
中には数百万回以上閲覧された投稿もあるようです。
しかし、これらの主張には事実と異なる部分が多く、数字や法律の正確な理解に基づいた冷静な議論が必要です。
今回は、厚生労働省の統計、1954年の厚生省通達、2014年の最高裁判決といった信頼できる情報源をもとに、外国人と生活保護をめぐる誤情報の真偽を検証します。
1.外国人の生活保護受給は「3分の1」ではない
まず確認したいのは、「生活保護受給者の3分の1が外国人」という投稿です。
✅ 実際の統計(2023年度)
-
厚生労働省によると、
生活保護受給世帯数:1,650,478世帯
うち外国籍の世帯主の世帯:47,317世帯
(出典:厚生労働省、e-Stat 被保護者調査)
この数字を計算すると、外国籍世帯主の割合はわずか 約2.87%(=47,317 ÷ 1,650,478)。
つまり、30分の1程度にすぎず、「3分の1」という主張は事実無根です。
2.外国人への生活保護は「憲法違反」ではない
「外国人に生活保護を出すのは憲法違反だ」という主張も多く見られます。しかし、これは誤解を含む断定的な見方です。
✅ 1954年 厚生省通知(社発第382号)
生活保護法は確かに「国民」を対象としていますが、昭和29年(1954年)の厚生省通達により、
「在留資格のある外国人が生活に困窮した場合には、生活保護に準じた行政措置をとる」
という運用が示されています。
(出典:厚生労働省「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」通知本文)
この通達に基づき、外国人に対しても自治体の裁量で生活保護が実施されているのが現状です。
3.2014年 最高裁判決の内容とは?
よく引用されるのが、2014年(平成26年)7月18日 最高裁判決です。この判決では、以下のように述べられています。
-
外国人は生活保護法上の「被保護者」には該当しない(=法律上の受給権はない)
-
しかし、外国人に対する保護を否定するものではない
つまり、「法律上の権利はないが、自治体が行政措置として実施することは妨げられない」という判断です。
したがって、「生活保護法は外国人を対象としていない=憲法違反」ではなく、むしろ制度上のグレーゾーンを埋める行政措置として支給されているのです。
(出典:ファクトチェックセンター)
4.厚生労働省の公式見解
2025年7月に報道されたNHKの取材に対し、厚労省は次のように述べています。
「判決は生活保護法の対象が日本国民であるとする一方で、外国人も行政保護の対象になり得るとしたものであり、対応を否定するものではない。支給はあくまで行政措置で、憲法に違反する取り扱いを行っているわけではない」
(出典:NHKニュース(2025年7月3日))
5.なぜ誤情報が広がるのか?
今回、SNSで拡散された投稿の中には、720万回以上閲覧されたものもありました。
人々の不安や不満が誇張された情報に向かいやすい背景は理解できますが、事実に基づかない情報が差別や偏見を助長する危険性もあることを私たちは認識すべきです。
まとめ【数字と法の両面から、正しい理解を】
内容 | 事実 |
---|---|
外国人の生活保護世帯の割合 | 約2.9%(厚労省統計) |
支給の根拠 | 1954年厚生省通知(行政措置) |
判決内容 | 外国人に法律上の受給権なし/行政措置は可能 |
憲法違反か? | 憲法違反との判断は出ていない |
最後に・・・行政書士としての立場から
生活保護制度は、日本社会にとって最後のセーフティネットです。
外国人であれ、日本人であれ、本当に困窮している人に必要な支援が届くことは、制度の公正性と人道的観点の両立でもあります。
誤解や偏見に基づいた議論ではなく、事実と法的根拠に基づいた冷静な議論が求められます。
良く「日本で生活ができないのであれば母国に帰ればいい!」といった発言も見受けられます。
考えてみてください。
内戦や何らかの国の事情で、もう母国には居場所がない
日本で生まれ育った子供は母国に何ら縁もゆかりもないなど
それぞれ外国人にも事情があります。
そうした事情の外国人がいることもいることを知っておいて欲しいと思います。
私は、行政書士として、今後も正確な情報の発信を続けてまいります。
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:http://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
対応エリア
新潟県全域対応可能(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、新発田市、小千谷市、加茂市、十日町市、見附市、村上市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、阿賀野市、佐渡市、魚沼市、南魚沼市、胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、阿賀町、出雲崎町、湯沢町、刈羽村、関川村、粟島浦村、津南町)ビザ新潟
福島県全域対応可能(福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、田村市、南相馬市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村、鏡石町、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、新地町、飯舘村、大玉村、天栄村、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、飯舘村)ビザ福島
山形県全域対応可能(山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、大蔵村、鮭川村、戸沢村)ビザ山形
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。
面談もZoomでの対応可能です。
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
友達追加してお気軽にご相談ください。