熊本地震で働けなくなった外国人へ|資格外活動許可の特例と企業の対応
工場が被災し、仕事を再開できない。本人は日本で働き続けたいけれど、別の会社で働いてよいのかわからない。
災害時の外国人雇用では、生活の不安と在留資格の問題が重なることがあります。
外国人技能実習機構は2026年10月2日、令和8年熊本地震で被災した外国人への資格外活動許可の特例を周知しました。出入国在留管理庁、厚生労働省、機構の連名通知です。
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今回は、復旧工事に外国人を配置する際の安全管理ではなく、本来の仕事が一時的にできなくなった方の就労を支える取扱いを確認します。
在留資格があっても、別の仕事には確認が必要

在留資格には、認められる活動の範囲があります。その範囲を超える仕事で収入や報酬を得る場合には、原則として資格外活動許可が必要です。
一方、永住者や定住者など、就労活動に制限のない在留資格は、この許可の対象ではありません。
出入国在留管理庁
「今の会社が休業しているので、知り合いの会社で働いてもらう」。生活を支えるための善意から出た提案でも、本人の資格と仕事の内容を確かめずに進めることはできません。
今回の特例は、被災による一時的な活動の中断に対応するものです。
通常の転職や、どの在留資格でも自由に副業ができる制度と同じようには扱えません。
対象は「被災した外国人全員」ではない

対象となるのは、今回の地震で災害救助法が適用された市町村に住居地があり、就労の在留資格を持つ方です。技能実習生も含まれます。
さらに、地震のため3か月を超えない一定期間、本来の活動が困難になっており、その後、元の所属機関で活動を再開する見込みが必要です。
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内閣府の公表資料では、熊本市、八代市など21市町村が適用地域とされています。
勤務先の所在地だけで判断せず、本人の住居地も確認してください。
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行政書士の実務として、まず整理したいのは「何が原因で仕事が止まり、いつ頃戻れる見込みなのか」という点です
。設備の復旧待ちなのか、事業の継続そのものが難しいのか。同じ休業でも、その先の見通しは違います。
「再開予定です」という一言だけでは、関係者の認識がそろわないこともあります。
休業の経緯、復旧の状況、再開予定を会社と本人で共有し、相談時に説明できる形にしておくことをおすすめします。
1日8時間以内、最終期限は2027年1月27日

許可されるのは、1日8時間以内の収入を伴う事業の運営、または報酬を受ける活動です。
許可期限は許可日から3か月ですが、2027年1月27日を超える場合は同日までとなります。
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ここには「許可日からの期間」と「特例の最終期限」という二つの区切りがあります。
遅く申請すれば、その分だけ最終期限も後ろへ延びるわけではありません。
元の会社へ戻る予定日、許可期限、本人の在留期限を、別々の項目として確認しておきたいところです。勤務予定を先に固めてしまうと、許可内容との調整が難しくなります。
復旧が予定どおり終わらないなど、やむを得ない事情がある場合には、再度の資格外活動許可が可能とされています。
ただし、自動的な延長ではありません。見通しが変わった段階で、最寄りの地方出入国在留管理官署へ相談する必要があります。
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技能実習の手続が省略できるのは、条件を満たす場合

特例による資格外活動で技能実習の終期が変更になった場合、次の三つをすべて満たせば、実施困難時届出と技能実習計画の変更手続を不要とする取扱いが示されています。
- 今回の特例による資格外活動を行うこと
- 実習の終期の延長が、当初の終期から3か月以内であること
- 元の実習実施者の下で実習を再開すること
一つでも満たさなければ、通常の必要な手続を行います。
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特に注意したいのは、資格外活動許可の期間と、実習の終期の延長を同じ数字として扱わないことです。監理団体と実習実施者が、当初の計画と再開後の日程を照らし合わせて確認することをおすすめします。
また、元の実習実施者へ戻るという前提が変われば、今回の手続省略をそのまま使えるとは限りません。
復旧状況を定期的に確認し、再開先や日程に変更があれば、機構と入管の双方に相談することが大切です。
仕事を用意することと、本人が安心して働けること

たとえば、被災した工場の再開を待つ間、近隣企業から一時的な仕事の紹介を受けた場面を考えてみてください。
これは説明のための仮の例です。
受入れ先が決まったことで安心しがちですが、本人が仕事内容、勤務時間、賃金、通勤方法、元の会社へ戻る予定を理解しているかも確かめておきたいところです。「しばらくこちらで働いて」と言われても、本人には期間や条件が伝わっていないかもしれません。
受入れ先には許可された活動と期限を共有し、本人には困ったときの連絡先を伝える。書面を渡すだけでなく、本人の言葉で予定を確認できると、行き違いを減らしやすくなります。
災害時には、企業も支援者も目の前の対応に追われます。
それでも、一時的な就労の開始と元の職場への復帰を、一続きの予定として考えることが必要だと私は感じます。仕事の紹介だけで終わらず、その後も連絡が取れる関係を保ちたいものです。
今回確認した通知とリーフレットだけでは、個別の勤務内容に対する詳しい審査基準や必要書類の全容まではわかりません。
被災後の住居地の変更など、事情が複雑な場合もあります。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
Asocia行政書士法務事務所では、在留資格と就労内容の確認、申請に向けた資料整理のご相談を承っています。
勤務を始める前に、現在の在留状況と会社の再開見込みを整理してご相談ください。
4.記事末尾の整理
【結論】
今回の特例は、本来の活動を再開するまでの一時的な就労を支える取扱いです。対象要件と許可内容を確認し、元の職場への復帰まで見通して対応することが大切です。
【根拠】
2026年10月2日付の入管庁・厚生労働省・外国人技能実習機構の連名通知と添付リーフレット、入管庁の資格外活動許可の案内、内閣府の災害救助法適用資料に基づきます。
【注意点・例外】
10月2日は通知・周知の日付であり、特例の開始日と一致するかは確認できません。全国の被災者に一律に適用される制度ではありません。資格外活動許可と技能実習側の手続省略は、それぞれの条件を確認してください。
【出典】
一次情報:
- 外国人技能実習機構「被災した外国人に係る資格外活動許可の取扱い」(掲載ページ内の連名通知・リーフレット)
- 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
- 内閣府「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」
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