技人国インド人を野菜加工で就労させ社長逮捕 ― 企業が必ず押さえるべき「在留資格チェック」の基本
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新潟市西区のビザ専門行政書士、Asocia行政書士法務事務所です。
技人国で「野菜加工」は絶対にさせてはいけない

2025年11月13日、埼玉県の野菜加工会社の社長と人事部長が、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の外国人を資格外の単純作業に従事させた疑いで逮捕されたとの報道がありました。
同社では、インド国籍の男性3名を夜間の野菜加工作業に従事させていたとされ、人事部長は「悪いと分かっていた」と供述しています。
本件は、外国人雇用を行う企業にとって「明日は我が身」とも言える典型的な事案です。
今回の事件のポイント:どこが違法だったのか

① 技人国は“専門職”であり、単純作業は不可
「技術・人文知識・国際業務」は、
・専門知識を要する業務
・知的活動を中心とする職務
に限定されています。
したがって、以下のような業務は原則不適格です。
-
食品加工・製造ライン
-
倉庫仕分け
-
清掃
-
工場ライン作業 など
今回の野菜加工作業は、明らかに技人国の業務範囲外です。
② 受入企業には「在留資格と職務内容の適法性確認義務」がある
企業側は「知らなかった」では済まされません。
不法就労助長罪(入管法第73条の2)の要件は、
“故意”がなくても「注意義務を怠った」と判断されれば成立します。
つまり、
-
在留カードの確認だけでは不十分
-
職務内容が在留資格に適合しているかチェックが必要
ということです。
③ 虚偽の就職先での在留資格取得(海外ブローカー問題)
報道では、外国人本人はインドでブローカーに60万〜80万ルピー(108万〜140万円)を支払い、虚偽の就業先(都内のIT企業)で技人国を取得して来日したとされています。
企業側が「本人の背景を十分に確認せず採用した」場合、
知らずに不法就労助長に加担してしまう危険があります。
企業が最低限やるべき「在留資格チェック」5つ

今回の事件は、下記の確認をしていれば防げた可能性が高い事案です。
① 在留カードの真正性・在留期限の確認
-
在留カード番号
-
在留期限
-
就労資格区分
-
ICチップ照合(不正カード対策)
② 在留資格と“実際の業務内容”の適合確認
必ず職務内容=在留資格の要件に合致するか確認します。
技人国であれば、
-
専門知識・大学等で学んだ内容との関連性
-
単純作業の割合(一定割合を超えると違法)
をチェックする必要があります。
③ 本国での経歴・学歴、前職の整合性確認
採用時に
-
履歴書
-
卒業証明書
-
職務経歴書
-
前職企業の在籍証明
などを確認し、虚偽申告を防ぎます。
④ 職務内容の変更時の「資格該当性の再チェック」
外国人労働者を別部署へ異動させる際には、在留資格の該当性が変わらないか必ず行政書士等へ相談してください。
今回の事件も、「採用後に実際の業務が変質していた」可能性があります。
⑤ 就労資格証明書(就労資格証明)取得の活用
業務内容に不安がある場合、入管庁の「就労資格証明書」を取得すれば、“この業務は適法です”というお墨付きが得られます。
トラブルを未然に防ぐ最強の手段です。
不法就労助長が認定されると企業に何が起きるか

(1)罰則:5年以下の懲役または500万円以下の罰金
法人に対しても両罰規定が適用されます。
(2)企業名が報道され、採用ブランドに大きなダメージ
今回も企業名が大きく報じられました。
-
既存取引先からの信用低下
-
求職者が応募を避ける
-
行政からの監査強化
など、長期的なダメージが非常に大きくなります。
(3)行政処分や外国人従業員の大量離職リスク
-
受入停止措置
-
会社全体の在留資格審査が厳格化
-
在籍する外国人の在留に影響
といった連鎖的な影響が現れます。
外国人採用で最も多い“3つの誤解”

行政書士として企業からよく聞く誤解は以下です
① 「在留カードに『就労制限なし』と書いてあるから何でもOK」
→ 実際の業務内容が資格要件に合致していなければ違法。
② 「本人が希望している仕事なら問題ない」
→ 外国人の希望に合わせるのではなく、制度に従う必要があります。
③ 「技人国なら工場ラインも手伝ってもらえる」
→ 単純作業はアウト。
ある要件を満たせば、一定期日間は作業に従事させることができる可能性がありますが、長期間はできません。
まとめ:外国人雇用は“確認の仕組み作り”が必要な時代

今回の事件は、
-
ブローカーによる虚偽申請
-
企業側の確認不足
-
在留資格と業務内容の不一致
という、不法就労の典型パターンです。
前々から当事務所に相談に来られる方の中には、関東の職業紹介事業の人から、「高度人材」として外国人を現場作業できるから雇いませんか?
というような謳い文句で営業されたとの声が多く寄せられています。
あろうことかコンビニでレジ打ちや品出しでも「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労させているなんてケースもあるそうです。
政府が外国人留学生を受け入れを増加させた結果、専門学校などを卒業しても日本で就職先が見つからず、そうした有料職業紹介事業を通じて就職先を見つけているようです。
今年の10月16日から「経営・管理」の在留資格が不法在留の温床になっているということで要件が厳しきなりました。
次は「技術・人文知識・国際業務」に焦点が当てられると考えます。
外国人雇用が当たり前になっている今、企業には正しい知識を身につけて
「仕組みとしての確認体制」の構築が求められています。
外国人雇用に不安がある企業様へ

当事務所では、
-
在留資格チェック体制の構築
-
外国人雇用の監査
-
技人国の採用・職務内容審査
-
不法就労防止ガイドライン作成
-
就労資格証明書の取得代行
など、実務に即した支援を行っています。
お気軽にご相談ください。
【出典】
-
入管法第73条の2(不法就労助長)
-
法務省入管庁「在留資格該当性の判断基準」
-
報道記事(Yahoo!ニュース/毎日新聞 2025年11月13日)※著作権保護のため本文引用なし
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