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TOP > コラム > 外国人の大規模土地取得を国交省が実態調査へ|国土利用計画法の届出と「国籍把握」の現在地

外国人の大規模土地取得を国交省が実態調査へ|国土利用計画法の届出と「国籍把握」の現在地

2026.02.16
コラム外国人支援
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「外国人が土地を買っているらしい」。
この手の相談、ここ1〜2年で空気が変わりました。質問の矢印が、買主本人だけでなく「制度として把握できているのか」に向くようになった感じです。

2026年2月2日付の報道では、国土交通省が、外国人による大規模な土地取得について、過去数年分の届出データを全国的に調べる実態調査に乗り出す方針が示されました。

市街化区域なら2,000㎡以上、都市計画区域外なら1万㎡以上といった“国土利用計画法の届出対象”をベースに把握を進め、2026年3月までの開始を目指す、という話です。 

ここで大事なのは、「外国人の土地取得を一から新制度で規制する」というより、既にある届出制度の上に、国籍情報というレンズを足していく動きだという点です。

まず土台:国土利用計画法の「大規模土地取引の届出」

国土利用計画法(いわゆる国土法)の“事後届出”は、一定面積以上の土地取引について、契約締結から2週間以内に、利用目的や取引価格などを届け出る仕組みです。届出が必要となる面積は、ざっくり次のとおり。 

市街化区域:2,000㎡以上

市街化区域以外の都市計画区域:5,000㎡以上

都市計画区域外:10,000㎡以上

そして、地味に重要なのが「一団の土地」という考え方。小分けで買っても、実質ひとまとまりの計画で届出対象面積に達すれば、最初の契約から届出が必要になります。ここを外すと、“2,000㎡未満なら何でも自由”という誤解が生まれます。 

2025年7月から「国籍等」を届出で把握するようになった

報道の背景には、届出制度そのものが最近アップデートされている事情があります。

国交省の説明では、2025年7月1日施行の省令改正で、権利取得者が個人の場合は「国籍等」、法人の場合は「設立準拠法国」が届出事項として追加されています。 

つまり、2025年7月以降の届出については、制度上は“国籍ベース”で整理しやすくなった。一方で、今回の実態調査が面白いのは、それ以前の取引についても、氏名や住所から外国人とみられる割合を推計する、と言っているところです。 

ここは推測ですが、自治体側に眠っている届出データを、可能な範囲で名寄せ・類推していく作業になるはずで、精度にはどうしても限界が出ます。

2026年4月からは「法人の代表者の国籍等」まで踏み込む

さらに2026年2月2日、国交省は、法人が大規模な土地の権利を取得する場合の届出事項に「代表者の国籍等」などを追加する省令を公布し、2026年4月1日施行予定としています。 

ここ、現場目線だとかなり“踏み込んだ”印象です。形式上は日本法人でも、意思決定を左右しうる属性をもう少し見に行く、という設計だからです。 

「把握できること」と「把握しにくいこと」を分けて考える

この種の話題は、すぐに感情論になりやすい。なので私は、相談者には先に線引きを置くようにしています。

把握しやすいのは、国土法の届出対象となる“大きい取引”です。面積要件が明確で、届出という入口がある。 

逆に、把握しにくいのは次のような領域です。

面積要件未満の取引(小口の積み上げをどう捉えるかは「一団の土地」次第) 

名義や住所情報からの推計が必要な、2025年7月以前の外国人性判断 

法人スキームを介した実質的な支配関係の見えにくさ(だからこそ今回、代表者国籍等の追加に動いたとも言える) 

ここを整理しないまま「買い占め」「規制」という言葉だけが先行すると、制度設計の議論が荒れていきます。

似た構図:マンション調査と「高額物件で活発に買っているとは言い切れない」

国交省は土地とは別に、新築マンション取引を不動産登記情報で分析した調査も公表しています。

そこでは、国外住所者による取得や短期売買の傾向を分析しつつ、都心6区では「2億円以上の高額物件を活発に短期売買している傾向は特に見られない」と整理しています。 

土地の話も、たぶん同じで、まずはデータで凸凹を見に行く局面に入ったのだと思います。

行政書士として気になる“次の実務”

実務で効いてくるのは、結局ここです。

企業や個人が「買いたい土地」が国土法の届出対象になるのか

対象なら、届出書面の整合性(利用目的や計画の筋)をどう作るか

2026年4月以降、法人の届出項目が増えることで、社内の情報整理が追いつくか 

相談の場面では、「何も悪いことはしていないのに、なぜ国籍まで」と言われることもあります。気持ちは分かる。でも制度が“属性把握→政策判断”の方向に動いている以上、ここは感情よりも手続の確実性が勝ちます。後から慌てるのが一番コスト高なので。

【結論】

国交省は、国土利用計画法の大規模土地取引の届出データを使い、外国人取得の実態把握を進める局面に入った。2025年7月以降は国籍等の届出で把握しやすくなり、2026年4月からは法人について代表者国籍等の届出も追加される。

【根拠】

・国土利用計画法の届出制度(面積要件、2週間以内の届出、一団の土地)

・国交省の省令改正(2025年7月の国籍等追加、2026年4月の法人代表者国籍等追加)

・報道(過去数年分の届出データを用いた実態調査の方針)

【注意点・例外】

 

・届出対象は「一定面積以上」に限られ、小口取引やスキーム取引は把握に限界がある

・2025年7月以前の“外国人性”の推計は、氏名・住所などからの類推となり精度には限界が出る

・「一団の土地」に該当すると届出が必要になる場合があるため、面積だけで判断しない 

【出典】

・国土交通省「土地取引規制制度(国土利用計画法)」 

・国土交通省 報道発表(2026年2月2日)法人代表者の国籍等を届出事項に追加 

・共同通信配信記事(news.jp転載)「外国人の大規模土地取得、把握へ」 

・国土交通省 報道発表(2025年11月25日)新築マンション取引の調査結果 

 

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