茨城県鉾田市で、不法滞在者の摘発が高い水準で続いているという報道がありました。
昨年11月には、隣り合う一軒家9カ所で外国人21人が一斉に摘発されたという記述もあります。
数字としては、茨城県内の不法滞在摘発数がコロナ禍前の水準に戻りつつある、鉾田署管内が県内でも高水準、在留資格別では「短期滞在」と「技能実習」が大きな割合を占める、といった点が示されていました。
こういう記事を読むと、どうしても「摘発される側」の話に目が行きます。
けれど実務で怖いのは、現場の空気が荒れていくことです。
真面目に働いている技能実習生や、受入企業、地域の大家さんまで、巻き込まれて神経がすり減っていく。
今日は行政書士として、鉾田で起きている構図を材料にしつつ、「なぜそこに集まりやすいのか」「まじめな実習生に何が起きうるのか」「雇用側が踏むべき線引き」を、少し体温のある言葉で整理します。
鉾田で起きているのは「摘発」だけではなく「住まいの構造問題」

記事の中で印象的なのは、不法滞在者の住居が、一戸建てやアパート、別荘など、築30〜40年で日本人の借り手が少ない物件に偏る、という描写でした。
これ、地方の賃貸現場では珍しくありません。
空室が続けば家賃は下げたくなるし、多少条件が合わなくても「入ってくれるなら…」となりがち。
そこへ「紹介で来た」「友達の友達」というネットワークが乗る。
さらに又貸しで“商売”になる。
記事でも、そのような趣旨の指摘が出ています。
こうなると、個々の大家さんの善意や生活のための判断が、結果として地域のリスクを増幅してしまう。
ここでポイントは、不法滞在の問題が「雇用」だけではなく、住まい・移動・コミュニティの線でつながっていることです。
だから警察の検挙だけで終わらない。
行政も「ルール遵守」を掲げて、部局横断の体制を作り始めています。
「短期滞在のオーバーステイ」と「技能実習の失踪」が混ざり合う怖さ

記事では、県内摘発者の在留資格として「短期滞在」が多く、次いで「技能実習」が多い、という流れが示されていました。
短期滞在の期限切れ(オーバーステイ)は分かりやすい。
一方、技能実習の方は「失踪→在留資格の前提が崩れる→不法就労に流れる」という経路になりやすい。
出入国在留管理庁も、技能実習生の失踪者数の推移を公表しています。
直近の資料では、令和6年の失踪者数は6,510人、前年より減少、という整理です。
数字が減ったから安心、という話ではありません。地域に「日雇いで同水準の給料」「SNS紹介」「真面目に働く人もいる」という受け皿があると、失踪の“出口”が残り続けるからです。
そして一番つらいのは、真面目に在留資格に沿って暮らしている技能実習生が、その環境に引っ張られること。記事でも、農業の雇用主が「うちの子たちが付き合ったら困る」と話していました。
この感覚は、現場の実感としてよく分かります。
生活圏が重なると、誘いは“悪意のある勧誘”より先に“雑談”として来る。
雇用主が踏み越えると一線でアウトになる「不法就労助長」

ここで、企業側が絶対に外してはいけない基本線があります。
外国人を不法就労させたり、あっせんしたりすると、入管法上の「不法就労助長罪」の問題になります。厚生労働省の注意喚起でも、入管法73条の2により「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)」という趣旨で明示されています。
しかも現場では「知らなかった」が通らない局面が出ます。
だからこそ、雇用の入口で確認を徹底するしかありません。
確認の実務は、シンプルに言うと次の3点です。
在留カード(または旅券等)で在留資格、在留期間、就労制限、資格外活動許可の有無を確認し、コピーを保管する。
更新期限も管理する。
疑義があれば監理団体や関係機関に早めに相談する。
この「当たり前」が崩れた瞬間に、企業は防御力を失います。
「取り締まり強化」だけで地域は良くならない。だから“啓発”が要る

鉾田署長のコメントとして「検挙と啓発の両輪」という趣旨が出ていました。
私はここに、行政のリアリティがあると思っています。
検挙は即効性がある。けれど、住まいの空室、ブローカーの口利き、SNSの紹介、日雇い市場、こういう“土壌”が残っていると、形を変えて続く。
だから啓発が必要になる。
茨城県が「外国人等へのルール遵守対策プロジェクトチーム」を設置して、法令違反対策や生活・交通マナーも含めて整理しようとしているのは、まさにその方向です。
実務家としての提案:真面目な実習生を守るための“やり方”

制度論だけなら簡単です。でも現場は、もっと湿度がある。
受入企業ができることは、立派なスローガンではなく、細かい日常の設計です。
出入国在留管理庁も「失踪防止対策」として、コミュニケーション機会を増やすこと等を例示しています。
私は、これを「面談回数を増やしましょう」で終わらせたくありません。
例えば、帰宅後の時間にふっと誘われる。休日に“先輩”に連れて行かれる。
家賃が安い物件に同郷が集まっている。
この“自然な導線”を断つには、会社の側が、相談先を会社の外にも作ってあげることが効きます。
監理団体、登録支援機関(特定技能へ移る局面もある)、地域の多文化共生窓口、日本語教室。
仕事以外の居場所があると、雑な誘いに引きずられにくい。
一方で、雇用主が地域の不法就労市場に巻き込まれないためには、採用の入口と、紹介の入口を締めるしかない。
「友達を紹介したい」と言われたとき、そこで曖昧にすると一気に危うくなる。
線引きは、冷たいくらいでちょうどいい。
結論

鉾田の問題は「摘発の多さ」だけでなく、空室物件、紹介ネットワーク、日雇い市場が結びつく“構造”にある。真面目な技能実習生を守るには、検挙だけでなく、地域と企業側の啓発と日常設計が要る。
根拠
・鉾田で摘発が高水準、住居傾向、在留資格別傾向、雇用主の懸念、検挙と啓発の必要性など(報道内容)
・茨城県が部局横断の「ルール遵守対策プロジェクトチーム」を設置し、法令違反対策等を検討する枠組みを公表
・技能実習生の失踪者数推移(入管庁公表資料)
・不法就労助長罪(入管法73条の2)に関する公的注意喚起と法令根拠
・失踪防止に向けた入管庁の考え方(コミュニケーション等)
注意点・例外
・記事の個別事案(摘発の詳細、当事者属性、ブローカー実態など)は報道ベースであり、捜査情報や統計の全体像とは限らない
・「どこまでが不法就労助長に当たるか」は事実関係で結論が変わるため、個別案件は専門家に確認が必要
・技能実習生の「失踪」には労務トラブル等の要因もあり、一律に本人責任として片付けると再発防止を誤る
出典
・茨城新聞クロスアイ配信記事(転載ページ)
・茨城県「外国人等へのルール遵守対策プロジェクトチーム」
・出入国在留管理庁「技能実習生の失踪者数の推移」(PDF)
・出入国在留管理庁「技能実習生の失踪防止対策」
・厚生労働省「不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします」
・e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
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