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TOP > コラム > 参政党「外国人政策庁」法案とは何か|入管庁廃止案から考える外国人政策の行方

参政党「外国人政策庁」法案とは何か|入管庁廃止案から考える外国人政策の行方

2026.07.16
コラム外国人支援外国人雇用
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「外国人総合政策庁」法案とは何か

参政党が、外国人に関する政策を一元的に扱う「外国人総合政策庁」を新設する法案を参議院に提出した、という報道がありました。

報道によれば、この法案は、現在の出入国在留管理庁を廃止し、その業務を新たな庁に吸収させる内容とされています。

新しい庁は内閣府の外局として設置され、担当大臣を置き、外国人の労働、社会保障、治安維持などについて、関係省庁を横断して調整する役割を担う構想です。

また、神谷宗幣代表は、外国人受入れ数に上限を設ける「総量規制」についても言及しています。

ここでまず大事なのは、これは現時点では「法案提出」の段階であり、直ちに在留資格申請の審査基準や入管実務が変わるものではない、という点です。

企業の外国人雇用や、外国人本人の在留資格申請において、今日から必要書類が変わるわけではありません。

ただし、行政書士として実務を見ていると、この法案を単なる政治的パフォーマンスとして片付けるのも、少し早いように感じます。

なぜなら、外国人政策を「入国・在留管理」だけでなく、労働、社会保障、地域生活、治安、土地利用、医療保険などを含む総合政策として扱う流れは、すでに政府側にも見られるからです。

現在の出入国在留管理庁の位置付け

現在、出入国在留管理庁は法務省の外局です。出入国審査、在留審査、退去強制手続、難民認定、在留管理など、外国人の出入国・在留に関する行政を担当しています。

行政書士実務で日々接するのも、この出入国在留管理庁です。在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、永住許可申請などは、基本的に地方出入国在留管理局を窓口として進めます。

一方で、外国人に関する問題は、入管庁だけで完結しません。

たとえば、外国人を雇用する企業であれば、厚生労働省が関わる労働法令、雇用保険、社会保険、労働安全衛生の問題があります。留学生であれば、文部科学省や学校行政が関係します。

国民健康保険や住民登録は市区町村の窓口です。民泊、土地取得、医療費未払い、不法就労、ヤード問題などになると、さらに複数の省庁や自治体が関わります。

つまり、外国人政策は、もともと縦割り行政と相性が悪い分野です。

政府側にもある「司令塔化」の流れ

実は、外国人政策を一元的・横断的に扱おうとする流れは、今回の法案だけではありません。

内閣官房には、外国人との秩序ある共生社会の実現に向け、外国人施策を総合的に推進するための事務局組織として「外国人との秩序ある共生社会推進室」が設置されています。

この推進室の公式ページでは、出入国管理制度の適正化、在留管理制度の適正化、外国人の受入れの在り方、外国人が利用する制度の適正化、国土の適切な利用及び管理などが、関連する取組として整理されています。

ここから見えるのは、政府もすでに、外国人政策を「ビザの許可・不許可」だけの問題としては見ていないということです。

現場感覚で言えば、これはかなり大きな変化です。以前は、外国人本人や企業からの相談でも、「在留資格が取れるかどうか」が中心でした。

しかし最近は、税金をきちんと納めているか、社会保険に加入しているか、雇用契約の内容は適正か、家族の生活実態はどうか、地域でトラブルが起きていないか、といった周辺事情が、以前よりも重く見られるようになっています。

「総量規制」という言葉の難しさ

今回の報道で特に注目されやすいのは、「外国人受入れ数の総量規制」という言葉でしょう。

総量規制という言葉は、聞く人によって受け止め方が大きく変わります。外国人受入れに不安を感じている人にとっては、必要な管理策のように聞こえるかもしれません。

一方、人手不足に直面している企業や介護・建設・農業などの現場からすれば、「それでは人材確保ができなくなるのではないか」という不安にもつながります。

実務上は、ここをかなり丁寧に分けて考える必要があります。

日本はすでに、外国人材なしでは成り立ちにくい産業分野を抱えています。特定技能、技術・人文知識・国際業務、介護、技能実習から育成就労への移行など、制度全体が「一定の外国人材の受入れ」を前提に組み立てられています。

その一方で、不法就労、偽装雇用、社会保険未加入、在留資格の目的外利用、生活支援体制の不足といった問題もあります。受入れ人数だけを議論しても、現場の問題は解決しません。

本当に必要なのは、「何人まで受け入れるか」だけでなく、「どの分野で、どのような人材を、どのような責任体制で受け入れるのか」という設計です。

企業が今から意識すべきこと

この法案が成立するかどうかは、現時点ではわかりません。推測ですが、政党提出法案である以上、今後の国会情勢や与野党の力関係によって扱いは大きく変わる可能性があります。

しかし、企業が今から意識すべき方向性は明確です。

それは、外国人雇用を「在留資格だけの問題」として扱わないことです。

在留資格の該当性があるか。学歴・職歴と業務内容が合っているか。報酬水準は日本人と同等以上か。雇用契約は適正か。社会保険・労働保険に加入しているか。税務上の処理に不自然な点はないか。転職や退職時の届出はできているか。

こうした事項は、今後ますます一体的に見られていくはずです。

特に、外国人雇用を継続的に行う企業では、「採用時だけ専門家に相談する」のではなく、雇用管理、更新申請、退職時対応、家族帯同、永住申請への影響まで含めて、長期的に管理する視点が必要になります。

外国人本人にとっても「在留資格だけ」では足りない

外国人本人にとっても、同じことが言えます。

在留カードを持っていること、更新許可を受けていることはもちろん重要です。しかし、それだけで日本での生活基盤が安定するわけではありません。

税金、年金、健康保険、住所変更、勤務先変更、家族の在留状況、学校への在籍状況など、日常生活の中で発生する手続を軽く見ないことが大切です。

実務では、「悪意はなかった」「よくわからなかった」「会社に任せていた」という説明を聞くことがあります。もちろん、事情として理解できる場面もあります。

ただ、在留審査では、結果として義務を果たしていたかどうかが問われることがあります。

外国人政策が総合政策化していくほど、生活上の小さな未整理が、後の在留審査で問題化する可能性は高まります。

この法案をどう受け止めるべきか

今回の「外国人総合政策庁」法案は、現時点では成立が決まったものではありません。したがって、これをもって「入管庁がなくなる」「申請基準が変わる」と断定することはできません。

ただ、外国人政策が大きな転換期にあることは確かです。

これまでの日本の外国人受入れは、どこかで「必要な分野に、必要な人だけ来てもらう」という発想が強かったように思います。

しかし現実には、外国人本人には生活があり、家族があり、地域との関係があります。企業にとっても、単なる労働力ではなく、長く働いてもらう人材です。

その一方で、制度を悪用する人や、不適正な受入れをする事業者がいることも否定できません。ここを見ないふりはできません。

大切なのは、外国人を一括りにして不安をあおることでも、逆に問題をすべて見えないことにすることでもありません。受け入れるなら、制度として責任を持つ。働いてもらうなら、企業も責任を持つ。日本で生活するなら、外国人本人も社会のルールを理解し、守る。

少し地味ですが、結局はそこに戻ってくるのだと思います。

行政書士実務から見た今後の注意点

行政書士としては、今後の外国人実務では、在留資格の要件確認だけでなく、周辺制度との接続をより丁寧に見る必要があると感じます。

たとえば、特定技能であれば支援体制、雇用契約、協議会加入、分野別要件。技人国であれば学歴・職歴と職務内容の関連性、報酬、実際の業務内容。経営・管理であれば事業の継続性、資金の出所、事務所、社会保険、労働法令遵守。永住であれば納税、年金、健康保険、素行、生活の安定性。

これらは別々のようで、実務上はつながっています。

外国人政策庁という組織が実際にできるかどうかは別として、行政が横断的に情報を見ていく方向は強まっています。企業も外国人本人も、「申請書だけ整える」という発想では追いつきません。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、実際の活動内容、雇用管理、生活状況、納税・社会保険の履行状況によって結論が変わることがあります。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】

参政党の「外国人総合政策庁」法案は、現時点では提出段階であり、直ちに入管実務が変わるものではありません。ただし、外国人政策を入管行政だけでなく、労働、社会保障、治安、地域生活、国土管理を含む総合政策として扱う流れは強まっています。企業や外国人本人は、在留資格だけでなく、雇用管理・納税・社会保険・生活実態まで含めた対応が重要になります。

【根拠】

参政党が「外国人総合政策庁」新設法案を提出したとの時事通信報道

内閣官房「外国人との秩序ある共生社会推進室」の設置

出入国在留管理庁が法務省の外局として出入国・在留管理行政を担当していること

政府の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」

【注意点・例外】

現時点では、法案提出段階であり、成立の有無や具体的な制度改正は未確定です。

「外国人総合政策庁」が設置されると断定することはできません。

総量規制の具体的内容、対象、上限設定方法などは、報道内容だけでは詳細不明です。

個別の在留資格申請では、活動内容、雇用契約、報酬、納税、社会保険、生活実態などにより判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】

一次情報

内閣官房「外国人との秩序ある共生社会推進室」

内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」

出入国在留管理庁公式サイト

法務省設置法

参考情報

時事通信社「参政が『外国人政策庁』法案提出」2026年6月17日配信

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