外国人採用の申込フォーム、何を保存していますか?支援窓口の漏えい懸念から考える情報管理
外国人採用の相談やセミナーの申込みを、ウェブフォームで受け付ける。
企業や支援機関にとって、ごく身近な仕組みになりました。
氏名、連絡先、勤務先、在留資格。入力する側も、受け付ける側も、日々の手続きとして扱いがちです。ただ、その情報がどこに保存され、誰が閲覧できるかまで、確認できているでしょうか。
和歌山県の外国人雇用支援窓口をめぐる報道は、こうした日常の情報管理を考え直すきっかけになります。
和歌山県の支援窓口で何があったのか

読売新聞オンラインの2026年10月17日付報道によれば、和歌山県は16日、「WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスク」の利用者情報が漏えいした可能性を発表しました。
報道では、イベント参加などのフォームに入力された417事業者・1,749人の氏名、企業名、在留資格の分類などが対象とされています。
県の発表本文は今回直接確認できていないため、件数や情報項目は報道に基づく情報です。
サービス提供元のStudioは、クラウド環境への不正アクセスを公表しています。確認されたアクセス期間は9月30日から10月1日、発覚は10月13日。13日から14日にかけて経路を遮断したと説明しています。
ここで分けて考えたいのは、不正アクセスがあったことと、個々の情報が実際に取得されたかどうかです。
Studioは実際の取得を確認できていない一方、取得されたものとみなして対応を進めるとしています。和歌山県の各利用者の情報が取得されたか、その日時はわかりません。
今回の件は、在留資格の許可基準や外国人雇用の要件が変わる話ではありません。
情報を預かる側の管理と対応が問われる出来事です。
在留資格の情報は、本人の生活と結びついている

外国人雇用の実務では、就労できる活動や在留期限を確認する必要があります。
申請準備が進めば、在留カードや旅券、学歴・職歴、家族関係などの資料も扱います。
ただし、今回、そのような資料すべてが漏えい対象になったと確認されたわけではありません。
ここからは、外国人採用・支援全般の情報管理についての話です。
氏名と勤務先、在留資格が組み合わされると、その人の状況に合わせた不審な連絡が作られるおそれがあります。
「在留期限の確認が必要です」「会社から依頼を受けています」と言われたら、戸惑う方もいるでしょう。
これは想定されるリスクであり、本件でそのような被害が確認されたという意味ではありません。
行政書士として気になるのは、手続きへの不安につけ込まれないかという点です。
制度や日本語に不慣れな方にも、普段の確認窓口をわかりやすく伝えておくことが大切だと考えます。
最初のフォームで、どこまで集める必要があるか

例えば、外国人採用セミナーの参加受付に、在留カードの画像まで必要でしょうか。
反対に、具体的な就労可否の相談なら、在留資格や期限の確認が欠かせない場面があります。
同じ「外国人向けフォーム」でも、目的によって必要な情報は違います。
私としては、最初の問い合わせ、採用選考、雇用時の確認、在留申請の準備を分け、それぞれの段階で必要な情報を受け取る運用が現実的だと考えています。
「後で使うかもしれない」という理由だけで入力欄を増やすと、守るべき情報も増えます。
自由記述欄に家族事情や病歴などが書き込まれることも想定し、詳しい相談内容は別の方法で受け付ける工夫も必要です。
法令上の保存義務がある記録まで一律に削除するのではなく、取得目的と業務上の必要性を踏まえて、保存期間を決めておきたいところです。
フォームの外に広がった情報も確認する

受付フォームだけを点検しても、情報の流れ全体は見えません。通知メール、連携した表計算ファイル、担当者が保存した一覧表など、複数の場所に同じ情報が残ることがあります。
まずは、何を、どこに、いつまで保存し、誰が見られるのかを整理する。
担当者の異動や退職に合わせて閲覧権限を見直すことも、地味ですが大切です。
外部サービスや制作会社を使っている場合は、事故の連絡が誰に届くのか、対象データをどう特定するのかも確認しておく必要があります。
契約名義の担当者しか通知を読めない状態では、初動が遅れるかもしれません。
今回の出来事だけをもって、すべてのフォームやクラウドサービスを危険と決めつける必要はありません。利用サービスの公表内容と、自社の使い方を照らし合わせることが出発点です。
「漏えい確定」を待たずに、対応を確認する

個人情報保護委員会は、不正目的の行為による個人データの漏えいなど、一定の場合には、漏えいのおそれの段階でも報告対象となると案内しています。
人数だけで判断できるものではありません。
一方、Studioは10月17日付の案内で、同委員会からの要請を受け、フォーム利用者による個別報告をいったん保留するよう求めています。
同社と利用者の連名で報告できるか協議を予定し、期限の扱いも改めて案内するとしています。
この保留は、本人への通知まで止めるという案内ではありません。通知が必要となる場合があるため、引き続き検討するよう説明されています。対応時には最新の案内を確認してください。
他の事故まで同じ扱いになるわけではなく、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
本人へ説明する際には、何が起きたのか、何が未確認なのか、今してほしいことは何かを、短い文章で伝えたいところです。
必要に応じて、やさしい日本語や本人が理解できる言語を用意することも考えられます。
情報を預かることも、外国人支援の一部

在留資格の確認や申請を正確に進めることと、受け取った情報を適切に管理することは、どちらも欠かせません。
まずは、普段使っている申込フォームを一つ開いてみてください。
その入力項目は今も必要か。保存先と閲覧者を説明できるか。事故の連絡が来たら、誰が動くのか。
外国人雇用や在留資格申請の準備では、必要な確認事項と資料の受渡し方法を、早い段階で整理しておくことをおすすめします。
4.記事末尾の整理
【結論】
外国人採用・支援の情報管理は、収集項目だけでなく、保存先、閲覧権限、委託先、事故時の連絡体制まで確認することが重要です。漏えいの可能性と確定した事実は区別して説明する必要があります。
【根拠】
支援窓口の対象件数等は読売新聞オンラインの報道、サービス側の経緯と対応はStudioの公表、一般的な報告対象の考え方は個人情報保護委員会の案内に基づきます。フォーム設計等の提案は筆者の実務上の見解です。
【注意点・例外】
県の発表本文は直接確認できていません。417事業者と1,749人を単純に合算して、漏えいした人数と表現しないよう注意が必要です。
在留カード・旅券画像等が本件の対象だったと確認されたわけではありません。
本件についてのStudioの報告保留案内を、他の事故や本人通知に一般化することはできません。保存期間や報告・通知の義務は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報
[2]Studio「不正アクセスによる情報流出に関するお詫びとお願い(第一報)」2026年10月16日公表、10月18日更新
https://studio.design/ja/whats-new/unauthorized-access-2026-10
[3]個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/leakAction/
[4]Studio「フォーム機能をご利用のお客様へ:個人情報保護委員会へのご報告についてのご案内(第一報)」2026年10月17日
https://studio.design/ja/whats-new/unauthorized-access-2026-10-form
参考報道
[1]読売新聞オンライン、2026年10月17日8時36分配信(ライブドアニュース掲載)
https://news.livedoor.com/article/detail/32588291/
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
【※ご注意】ご依頼に関する相談料は初回無料ですが、ブログ記事に内容に関するご質問やご依頼に関係ないご相談は有償となります。
友達追加してお気軽にご相談ください。
対応エリア
新潟県全域・福島県全域・山形県全域
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。

