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TOP > コラム > 留学生が除籍後に働くとどうなる?資格外活動で逮捕された沖縄の事例から考える

留学生が除籍後に働くとどうなる?資格外活動で逮捕された沖縄の事例から考える

2026.05.26
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沖縄で報じられた「資格外活動」事件

琉球新報の報道によれば、沖縄県警は2026年5月21日、在留資格「留学」で在留していたネパール国籍の飲食店従業員を、入管難民法違反、いわゆる資格外活動の疑いで逮捕したと発表しました。

報道では、本人は南部の専門学校を2025年3月31日に除籍となっていたにもかかわらず、2026年4月2日から5月14日まで那覇市内の飲食店で報酬を受ける活動をもっぱら行っていた疑いがあるとされています。なお、逮捕段階であり、有罪が確定したものではありません。

この事件で実務上大事なのは、「週28時間を超えたかどうか」だけではありません。むしろ中心は、留学生としての本来活動を行っていない状態で働いていた可能性がある、という点です。

「留学」の在留資格は、働くための資格ではない

在留資格「留学」は、学校で教育を受ける活動を前提とする在留資格です。アルバイトは、あくまで資格外活動許可を受けた場合に、学業を妨げない範囲で例外的に認められるものです。

出入国在留管理庁は、資格外活動許可の一般原則として、「現に有する在留資格に係る活動を行っていること」を要件の一つに挙げています。

つまり、留学生であれば、学校に在籍し、通学し、学ぶという本来活動が前提です。

ここが現場では誤解されがちです。

「在留カードの在留期限がまだ残っている」
「資格外活動許可の印がある」
「以前から同じ店で働いていた」

こうした事情があっても、学校を退学・除籍になり、実質的に留学生としての活動をしていなければ、資格外活動許可を前提としたアルバイトは非常に危うくなります。

この点は学校を卒業してから、就職までの間も同様となるので誤解が多いところです。

問題は「アルバイト」ではなく「もっぱら働いていた」こと

報道では、逮捕容疑として「在留資格に応じた活動に属しない報酬を受ける活動をもっぱら行った疑い」とされています。

この「もっぱら」という言葉は、入管実務でも重く受け止めるべき表現です。

留学生が週28時間以内でアルバイトをしている場合でも、本来は学業が主で、アルバイトは従です。しかし、学校に行かず、生活の中心が就労になっている場合、外形上は「留学生」でも、実態としては就労目的で在留していると見られかねません。

行政書士として相談を受けていると、「在留期限が残っているから大丈夫ですよね」と聞かれることがあります。

しかし、在留資格は単なる滞在許可ではなく、その資格に応じた活動を行うことを前提にしています。期限が残っていることと、適法に働けることは別問題です。

雇用主側も「知らなかった」では済まない可能性がある

今回の報道では、飲食店側が在留資格などを把握していたかは捜査中とされています。

外国人を雇用する事業主は、在留カードの「就労制限の有無」や、資格外活動許可の有無を確認する必要があります。入管庁も事業主向け資料で、在留カードの確認を促しています。

さらに、警視庁の案内では、外国人が不法就労者であることを知らなかった場合でも、在留カードの確認をしていないなどの過失がある場合には、不法就労助長罪の処罰対象となる旨が示されています。

不法就労助長罪の罰則は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科とされています。

飲食店、小売店、宿泊業、介護、製造業など、留学生アルバイトを受け入れる職場では、「在留カードをコピーして保存しているから大丈夫」と考えているケースがあります。ですが、それだけでは足りません。

採用時だけでなく、在学状況、在留期限、資格外活動許可の有無、シフト時間、複数勤務先の有無を継続的に確認する必要があります。特に退学・除籍・休学の情報は、雇用主に自動で届くわけではありません。本人からの申告だけに頼る運用は、かなり危険です。

学校側にも在籍管理の重みがある

留学生の在留管理では、学校側の在籍確認も重要です。

大学などでは、留学生の在留資格や在留期限を定期的に確認し、除籍者、退学者、所在不明者が出た場合に関係機関へ報告する運用を案内している例もあります。

もちろん、今回の専門学校がどのような管理をしていたのかは、報道だけではわかりません。ここは推測で断定してはいけない部分です。

ただ、制度全体として見れば、留学生の在籍管理は今後さらに厳しく見られる流れにあります。学校が「入学させたら終わり」ではなく、在籍、出席、成績、資格外活動の状況をどこまで把握しているかが、入管実務上も問われやすくなっています。

実務で防ぐために必要な確認

留学生本人は、退学・除籍・休学となった時点で、アルバイトを続けてよいかを必ず確認すべきです。資格外活動許可が在留カードに記載されていても、本来活動を行っていない状態では、そのまま働き続けることは危険です。

雇用主側は、少なくとも採用時と更新時に次の確認を行うべきです。

在留カード原本の確認
在留資格と在留期限の確認
資格外活動許可の有無の確認
学校名、在籍状況、卒業・退学予定の確認
週28時間以内のシフト管理
他社勤務を含めた労働時間の確認

特に飲食店では、「人手が足りないから少し多めに入ってもらう」という判断が起こりがちです。しかし、外国人雇用では、その一回の判断が本人の在留継続だけでなく、店舗側の刑事リスクにもつながります。

まとめ

今回の事件は、単に「留学生がアルバイトをして逮捕された」という話ではありません。

在留資格「留学」は、学ぶことが本体です。アルバイトは、その本体が維持されていることを前提に、例外的に認められるものです。学校を除籍された後に働き続けることは、本人にとっても、雇用主にとっても大きなリスクになります。

外国人雇用の現場では、在留カードの確認だけで安心せず、「その人が今も、その在留資格に応じた活動をしているのか」という視点を持つ必要があります。ここを見落とすと、制度の入口では適法に見えても、途中から違法状態に転じてしまうことがあります。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、在留カードの表示だけでなく、実際の活動内容、在籍状況、勤務実態によって結論が変わります。留学生アルバイトの雇用管理に不安がある場合は、早めに専門家へ確認することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】
留学生のアルバイトは、学校に在籍し学業を行っていることが前提です。除籍後に働き続けた場合、資格外活動違反や不法就労助長の問題につながる可能性があります。

【根拠】
入管法第19条に基づく資格外活動許可制度
出入国在留管理庁の資格外活動許可の一般原則
外国人雇用時の在留カード確認に関する入管庁資料
不法就労助長罪に関する警視庁の案内
琉球新報の2026年5月23日付報道

【注意点・例外】
逮捕段階であり、有罪が確定したものではありません。
学校側や勤務先がどこまで状況を把握していたかは、報道だけではわかりません。
個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】
出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」
出入国在留管理庁「外国人を雇用する事業主の皆様へ」
警視庁「外国人の適正雇用について」
琉球新報「資格外活動の疑いでネパール人逮捕 沖縄県警」2026年5月23日

 

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