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TOP > コラム > 入管庁がSNS分析へ。不法就労・在留資格偽造への摘発強化で企業が注意すべきこと

入管庁がSNS分析へ。不法就労・在留資格偽造への摘発強化で企業が注意すべきこと

2026.05.18
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入管庁がSNS分析へ。不法就労対策は新しい段階に入るのか

読売新聞の報道によれば、出入国在留管理庁は、不法残留者や不法就労に関する情報を把握するため、SNS上の情報収集・分析を強化する方針とされています。

対象として想定されているのは、不法就労をしている外国人本人だけではありません。違法な就労先をあっせんする人物、雇用する事業者、在留資格の偽造に関する情報なども含まれるとされています。

行政書士としてこの報道を読むと、単に「不法残留者を取り締まる」という話にとどまらないと感じます。

むしろ、外国人雇用の周辺にあるグレーな募集、SNS上の仲介、書類偽造、名義貸し、資格外活動違反といった問題に、入管庁がより積極的に踏み込もうとしている流れと見るべきです。

出入国在留管理庁の公表資料では、令和8年1月1日現在の不法残留者数は6万8,488人で、前年の7万4,863人から6,375人、率にして8.5%減少しています。数字だけ見ると減少傾向です。

ただし、令和7年の入管法違反事件では、摘発された外国人が1,837人で、前年より459人増加したとされています。つまり、不法残留者数は減っていても、摘発の現場では不法就労や周辺事案への対応が強まっているという見方ができます。

SNSは「仕事探しの場」であると同時に「違法就労の入口」にもなる

外国人の方にとって、SNSは生活情報を得る大切な手段です。母国語で仕事を探せる、同じ国の人から紹介を受けられる、急ぎで働き口を見つけられる。これは現実としてあります。

しかし、その便利さの裏側に、違法な求人や危ない仲介が紛れ込みます。

たとえば、在留資格に合わない仕事の紹介、資格外活動許可の範囲を超える長時間労働、偽造在留カードの売買、名義だけの雇用契約、実態のない会社を使った申請などです。

こうした情報がSNS上でやり取りされる場合、従来の窓口相談や警察からの情報提供だけでは把握しきれません。

今回の報道で示されたAIや民間分析ツールの導入方針は、こうした「見えにくい違法就労ネットワーク」を把握するためのものと考えられます。

推測ですが、今後は、特定の投稿、求人文言、仲介アカウント、繰り返し登場する事業者名などが分析対象になる可能性があります。

企業側のリスクは「不法残留者を雇った場合」だけではない

外国人雇用で企業が誤解しやすいのは、「在留カードを見たから大丈夫」「本人が働けると言ったから問題ない」という感覚です。

しかし、実務上はそれだけでは足りません。

確認すべきなのは、在留資格の種類、在留期間、就労制限の有無、資格外活動許可の有無、実際に任せる業務内容との整合性です。

特に、技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習、留学、家族滞在などでは、働ける範囲が大きく異なります。

仮に外国人本人が「働けます」と言っていたとしても、会社が確認を怠れば、不法就労助長に問われる可能性があります。

これは、悪質なケースだけの話ではありません。採用担当者が制度をよく理解しないまま、現場の人手不足を優先して採用してしまう場合にも起こり得ます。

今回のようにSNS上の求人や仲介情報まで調査対象が広がると、企業名や店舗名が違法就労の文脈で出てくるリスクもあります。会社としては、採用経路そのものを管理する必要が出てきます。

不法就労対策と外国人差別は分けて考える必要がある

ここで注意したいのは、不法就労対策を強化することと、外国人全体を疑いの目で見ることはまったく別だという点です。

日本で暮らし、働く外国人の多くは、在留資格のルールを守り、税金や社会保険を負担しながら生活しています。

一部の違法事案だけを見て、外国人全体を危険視するような空気が広がることは、共生社会にとって大きなマイナスです。

一方で、不法就労を放置すれば、劣悪な労働環境、賃金未払い、社会保険未加入、地域トラブル、悪質ブローカーの温存につながります。結果として、まじめに働く外国人や適正に雇用している企業が損をする構造になります。

だからこそ、必要なのは「排除」ではなく「適正化」です。

行政書士の現場感覚として、今後重要になること

在留資格の実務を扱っていると、違法就労の入口は、意外と日常的なところにあります。

「友人に紹介された仕事だから大丈夫だと思った」
「SNSで見つけた求人に応募した」
「会社からこの仕事で問題ないと言われた」
「在留カードの見方がわからなかった」

こうした小さな認識のズレが、後から大きな問題になります。

企業側は、外国人を採用する前に、在留資格と業務内容を必ず確認すること。

外国人本人も、自分の在留資格で何ができて、何ができないのかを理解すること。学校や支援者も、SNS上の甘い求人や「絶対にビザが取れる」といった言葉に注意を促すことが必要です。

入管庁の公表資料でも、令和7年に退去強制手続等を執った外国人のうち、不法就労事実が認められた者は1万3,435人で、全体の72.9%とされています。

不法残留や在留違反の問題は、かなりの割合で「働くこと」と結びついているのが現実です。

これからの外国人雇用は「採用できるか」より「適正に管理できるか」

人手不足のなかで、外国人材の採用は今後も重要です。ただし、採用できればよいという時代ではありません。

採用経路は適正か。
任せる業務は在留資格に合っているか。
雇用条件は日本人と同等に説明されているか。
SNSや紹介者任せになっていないか。
在留期限や資格変更の管理はできているか。

こうした基本的な確認を怠ると、企業側も大きなリスクを負います。

今回の報道は、入管庁がSNSという新しい情報空間にも目を向け始めたことを示しています。外国人雇用の現場にとっては、コンプライアンスの水準が一段上がるサインと受け止めるべきでしょう。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、実際の業務内容、雇用管理、採用経路によって結論が変わります。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】

入管庁によるSNS分析方針は、不法残留者本人だけでなく、違法就労を生む求人・仲介・雇用側への対応強化を示すものです。企業は、外国人採用において在留カード確認だけでなく、在留資格と業務内容、採用経路の適正性まで確認する必要があります。

【根拠】

出入国在留管理庁の公表では、令和8年1月1日現在の不法残留者数は6万8,488人で、前年から6,375人減少しています。令和7年の入管法違反事件では、摘発された外国人は1,837人で前年より459人増加し、退去強制手続等を執った外国人のうち不法就労事実が認められた者は1万3,435人とされています。

【注意点・例外】

SNS分析の具体的な運用範囲、対象となる投稿内容、AI分析の方法、開始時期の詳細は、現時点では報道ベースであり、公式発表として確認できる範囲には限界があります。個別の外国人雇用や在留資格該当性は、在留資格、職務内容、雇用条件、過去の在留状況によって判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】

出入国在留管理庁「本邦における不法残留者数について(令和8年1月1日現在)」
出入国在留管理庁「令和7年における入管法違反事件について」
出入国在留管理庁「令和7年の出入国在留管理業務の状況」
参考情報:読売新聞 2026年5月17日配信記事

 

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