留学生の働き方が、少しずつ変わっています。
飲食店やコンビニのアルバイトだけではなく、最近はSNS運用、動画投稿、配信、広告収入のような、時間で切り分けにくい働き方も目立つようになりました。華やかに見える一方で、在留資格との関係では見落としやすい落とし穴があります。
今回は、中国人留学生が新宿や渋谷で動画を作り、月100万円を稼いでいたという記事をきっかけに、留学生のSNS収益化が入管実務でどう見られるのかを整理します。記事の面白さとは別に、実務ではかなり気になる話です。(moj.go.jp)
この記事のポイント
・「留学」はそれ自体で自由に働ける在留資格ではない
・留学生の就労は、原則として資格外活動許可が前提になる
・SNS収益化や動画配信は、普通のアルバイトと同じ扱いにならないことがある
・稼いだ金額そのものより、活動の実態や事業性が見られる
・今回の記事だけで違法とは断定できないが、かなり慎重に考えるべき事例といえる
中国人留学生の「月100万円」は何が問題になるのか

今回話題になった記事では、中国人留学生の女性が、新宿や渋谷などで中国人向けの自撮り動画を作り、「自分でひと月100万円稼いでいます」と語っています。
記事の描写どおりなら、繁華街を歩きながら中国人観光客向けの解説動画を作る、いわばインフルエンサー型の活動です。記事の転載ベースでも、同様の内容が確認できます。(news.livedoor.com)
ここで気になるのは、収入の多さそのものより、在留資格との整合性です。
まず大前提として、「留学」の在留資格は、それ自体では働ける資格ではありません。資格外活動許可を受けた場合に限って、一定の範囲でアルバイト等が認められます。入管庁は、留学生について、包括的な資格外活動許可があれば、原則として週28時間以内、学則で定める長期休業期間中は1日8時間以内まで就労できると案内しています。(moj.go.jp)
普通のアルバイトとSNS収益化は同じではない

問題は、SNS収益化やインフルエンサー活動が、コンビニや飲食店のような「時間で区切れる仕事」と同じかというと、そうではないことです。
入管庁は、「個人事業主等として活動する場合」や「客観的に稼働時間を確認することが困難である活動」に従事する場合には、包括的な資格外活動許可ではなく、個別許可が必要になると示しています。(moj.go.jp)
たしかに、動画の企画、撮影、編集、投稿、案件対応、ライブ配信、広告収入の管理まで含めると、どこからどこまでが「就労時間」なのかを客観的に示しにくい場面が出てきます。ここが、普通のアルバイトと大きく違うところです。
時間で管理できる仕事かどうかが分かれ目になる
雇われて時給をもらう仕事であれば、勤務表やシフト表で管理しやすいです。
一方で、自分で発信して広告収入や案件報酬を得る働き方は、準備時間も含めてどこまでが仕事なのか見えにくい。入管実務では、この「見えにくさ」がかなり重要です。
収入額よりも「事業性」が見られる

さらに踏み込むと、入管庁は、資格外活動として認められる「事業を運営する活動」についても、比較的小規模な事業を前提にしています。
そして、新たに法人を設立する場合、従業員を雇う場合、事業所を設ける場合などは、その形態から「経営・管理」への変更が必要になるとしています。(moj.go.jp)
月100万円という数字だけで、直ちに違法とは言えません。けれど、継続的に収益が上がり、案件化し、運営実態が事業に近づいているのであれば、「留学生の副業」という一言では片づけにくくなります。
実務では、売上額のインパクトよりも、活動の実態のほうが大事です。ここを読み違えると危ないです。
実務で怖いのは「アルバイトみたいなものです」という感覚

実際には、本人が悪気なく「アルバイトみたいなものです」と考えていることがあります。
ただ、雇われて時給をもらうのか、自分で発信して収益化しているのかで、入管の見方はかなり変わります。前者は包括許可の枠で説明しやすい。後者は個別許可や、場合によっては在留資格そのものの再検討が必要になる。ここを曖昧にしたまま進むと、更新や変更のときに説明が苦しくなります。
いまは学校側の管理も重く見られている

最近は、留学生本人だけの問題では済まない場面も増えています。
入管庁は、留学生の受入れ適正化の中で、資格外活動の状況把握や、複数の稼働先を含めた確認、問題がある場合の指導や報告の必要性を示しています。学校側の在籍管理や生活指導の在り方も、以前より厳しく見られやすい流れです。(moj.go.jp)
留学生ビジネスが広がれば、管理も細かくなる。そこは自然な流れかもしれませんが、現場としてはかなり神経を使うところです。
今回の記事だけでは違法とは断定できない

一方で、今回の記事だけで、その留学生の活動を違法と断定することはできません。
資格外活動許可を得ていたのか。包括許可だったのか個別許可だったのか。広告収入なのか、業務委託報酬なのか。週28時間の範囲で客観的に管理できていたのか。法人化や雇用を伴っていたのか。そこまでは記事から読み取れません。(news.livedoor.com)
わからないものは、わからない。
ここを曖昧な推測で埋めないことも、実務では大事です。
留学生のSNS収益化は「設計」を間違えると危ない

ただ、少なくとも言えるのは、留学生の働き方がSNSや発信ビジネスに広がっているのに、「アルバイトみたいなものだから大丈夫だろう」という感覚のままでいるのは危ない、ということです。
飲食店のシフト表は出せても、ライブ配信の準備時間や動画編集の時間は、後からきれいに説明できないことがあります。見えない働き方ほど、在留資格とのズレも見えにくい。
SNSで稼ぐこと自体が問題なのではありません。問題になるのは、その活動が今の在留資格の枠に収まっているのかを確認しないまま走ってしまうことです。ここは本当に大事です。
行政書士として感じること

こういう記事は、つい「すごい」「時代が変わった」で終わりがちです。けれど、実務で見ると、派手な収入額より、許可の種類、活動の性質、時間管理の可能性、学校側の把握状況のほうがずっと重いです。
制度は、案外こういう地味なところで厳しさを見せます。
留学生本人も、学校も、関係する事業者も、最初の整理を雑にしないこと。遠回りに見えても、それが結局いちばん安全です。
CTA
留学生のアルバイト、SNS収益化、資格外活動許可、在留資格変更で不安がある方は、早い段階で確認しておくことをおすすめします。
Asocia行政書士法務事務所では、留学生の在留資格更新、資格外活動に関する整理、就職に伴う在留資格変更、学校・受入れ側の実務相談にも対応しています。
「この働き方は週28時間の範囲で大丈夫なのか」
「SNS収益や業務委託は資格外活動許可で足りるのか」
「更新のときに説明資料は必要か」
このあたりは、後から問題になると対応が重くなります。気になる段階で整理しておくと、かなり違います。
【結論】
中国人留学生がSNSや動画配信で高額収入を得ること自体が直ちに違法とは言えません。ただし、「留学」は本来就労資格ではなく、資格外活動許可が前提です。しかも、インフルエンサー活動や個人事業型の収益化は、包括許可では整理しにくく、個別許可や、場合によっては別の在留資格の検討が必要になる可能性があります。(moj.go.jp)
【根拠】
入管庁は、留学生の資格外活動について、原則として週28時間以内、長期休業中は1日8時間以内としています。加えて、個人事業主として活動する場合や、客観的に稼働時間を確認することが困難である活動については、個別許可が必要と明示しています。また、「事業を運営する活動」でも、法人設立、従業員雇用、事業所設置などの形態に至る場合は、「経営・管理」への変更が必要とされています。(moj.go.jp )
【注意点・例外】
今回の記事だけでは、その留学生が適法に許可を得ていたのか、活動実態がどの範囲だったのかは確認できません。推測ですが、もし雇用契約に基づかず、自ら継続的に収益化し、稼働時間の客観的管理が難しい形で活動していたなら、包括的な資格外活動許可だけでは足りない可能性があります。専門的判断が分かれる場面では、個別事情を前提に専門家に確認が必要です。(news.livedoor.com)
【出典】
・出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
・出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
・出入国在留管理庁「新しく入学した留学生の皆様へのお知らせ」
・出入国在留管理庁「留学生の受入れ等に関する各種ガイドライン」
・現代ビジネス関連記事の転載記事
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