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TOP > コラム > 外食業の特定技能1号が一時停止へ|採用計画・留学生就職に与える影響を行政書士が解説

外食業の特定技能1号が一時停止へ|採用計画・留学生就職に与える影響を行政書士が解説

2026.06.02
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外食業の特定技能1号、一時停止で何が変わるのか

外食業で外国人材を採用してきた企業にとって、かなり大きな制度変更です。

出入国在留管理庁は、2026年3月27日、特定技能1号の外食業分野について、2026年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請は不交付とする方針を公表しました。

理由は、外食業分野の特定技能1号在留者数が2026年2月末時点で約4万6千人に達し、2028年度までの受入れ見込数、つまり上限5万人を超える見込みとなったためです。

報道によれば、この停止措置により、外食企業では採用計画の見直し、出店計画の修正、営業時間短縮などの影響が出始めているとされています。
さらに、企業から資格取得の支援を受けていた外国人が、就職できず帰国する可能性も指摘されています。

制度上は「一時停止」ですが、現場感覚としては、外食企業の採用戦略に急ブレーキがかかった状態です。これまで「試験に合格して、書類を整えれば特定技能で採用できる」と考えていた企業ほど、影響は大きいと思います。

今回止まったのは「外食業分野への新規流入」

ここで大切なのは、「外食業で働く特定技能外国人がすべて働けなくなる」という話ではないことです。

入管庁と農林水産省の公表内容を見ると、主に止まるのは、外食業分野へ新たに入ってくる申請です。具体的には、2026年4月13日以降に受理された、海外から外食業の特定技能1号として呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請は不交付とされています。

また、日本国内にいる留学生や他の在留資格の外国人が、これから外食業分野の特定技能1号へ変更する申請についても、2026年4月13日以降に受理されたものは原則として不許可とされています。

一方で、すでに外食業分野で特定技能1号として在留している人の在留期間更新許可申請は、通常どおり審査されます。外食業分野内での転職に伴う申請についても、通常どおり審査される扱いです。

つまり、制度の見方としては、「既存の外食分野の特定技能人材を直ちに排除する」のではなく、「外食分野への新規流入を止める」という整理になります。

企業が困るのは、採用計画が途中で止まること

外食企業にとって厳しいのは、制度変更そのものよりも、すでに採用活動が進んでいたケースです。

たとえば、海外在住の候補者に日本語学習や技能試験の準備をしてもらい、企業側も受入れ体制を整え、登録支援機関や紹介会社と連携していた。そうした段階で、在留資格認定証明書が出ないとなれば、採用計画は大きく崩れます。

日本国内の留学生についても同じです。アルバイト先の飲食店で働きぶりを評価され、卒業後は特定技能1号でそのまま就職する予定だった。

しかし、申請時期が2026年4月13日以降になれば、原則として外食業分野への変更は難しくなります。

このようなケースでは、本人の人生設計にも影響します。企業側からすれば「人手不足で困っている」、本人からすれば「試験にも合格したのに働けない」。

制度上の上限管理としては理解できても、現場ではかなり重い問題です。

例外的に動けるケースもあるが、過信は危険

公表資料では、例外的に審査対象となるケースも示されています。

たとえば、技能実習の「医療・福祉施設給食製造作業」を修了し、外食業分野の特定技能1号へ移行する人、または既に外食業分野に係る特定活動、いわゆる特定技能1号移行準備の許可を受けている人などについては、審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次許可される可能性があります。

ただし、ここで注意したいのは、「例外に当たれば必ず特定技能1号が許可される」とまではいえない点です。公表資料でも、許可時点での在留者数の状況によっては、特定技能1号ではなく、特定活動への変更や同在留資格での在留期間更新を案内する場合があるとされています。

実務上は、受理日、現在の在留資格、在留期限、協議会加入申請の時期、技能実習の職種、本人の状況などを細かく確認する必要があります。

個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

外食企業は「採用」から「定着」へ軸を移す必要がある

今回の措置で、外食企業がまず考えるべきことは、新規採用ルートの確認です。

しかし、それ以上に重要なのは、すでに雇用している外国人材の定着です。新しく採用しにくくなる以上、今いる人材に長く働いてもらうことの重要性が一段と高まります。

特定技能1号には通算5年という在留期間の上限があります。

外食業分野では特定技能2号も制度上は対象となっていますが、2号へ移行するには、より高い技能水準や実務経験、試験対応などが必要になります。単に「5年たったら2号にすればよい」という簡単な話ではありません。

現場では、外国人スタッフが日本語で指示を理解できるか、店舗内で孤立していないか、賃金やシフトが不公平になっていないか、キャリアの見通しを示せているか。こうした小さな積み重ねが、定着率に直結します。

これまでは採用できたから見過ごされていた問題が、これからは経営課題として表に出てくるはずです。

農水省の「国内人材確保の努力」というメッセージ

報道では、農林水産省が「制度が前提とする国内人材確保の努力が企業で最大限なされているのかは議論の余地がある」として、企業側に努力を求めているとされています。

この点は、特定技能制度の根本に関わります。

特定技能は、単に外国人を安定的に採用するための制度ではありません。

農林水産省の説明でも、特定技能制度は、生産性向上や国内人材確保の取組を行ってもなお人材確保が困難な分野で、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度とされています。

つまり、制度上は「外国人材ありき」ではなく、「国内人材確保や生産性向上を尽くしても不足する部分を補う」という建付けです。

もちろん、外食の現場が本当に厳しいことは、行政書士として相談を受けていても感じます。土日祝日、夜間、立ち仕事、接客、厨房業務。日本人採用が簡単ではないことも事実でしょう。

ただ、制度側から見ると、「人手不足だから上限を超えて当然」とはなりません。

ここに、企業の現場感覚と制度設計のズレがあります。

今後、外食企業が確認すべき5つのこと

外食企業が今すぐ確認すべきことは、まず現在進行中の申請の受理日です。2026年4月13日前に受理された申請か、それ以降かで扱いが大きく変わります。

次に、採用予定者の現在の在留資格と在留期限です。留学生、技能実習修了者、特定活動、既に外食業の特定技能1号で在留している人では、検討できる選択肢が異なります。

さらに、外食業分野内での転職なのか、新たに外食業へ流入するケースなのかを分けて考える必要があります。ここを混同すると、可能性のある申請まで諦めたり、逆に見込みの薄い申請を進めてしまう危険があります。

また、既存の特定技能外国人については、在留期間更新、支援状況、雇用契約、届出義務の確認が必要です。新規採用が難しくなる局面では、既存人材の管理不備による離職や不許可は、企業にとって大きな損失になります。

最後に、特定技能2号への移行可能性も早めに検討すべきです。本人の日本語力、業務経験、店舗での役割、試験対策を、数年単位で設計する必要があります。

「制度が止まった」ではなく、採用戦略の前提が変わった

今回の外食業分野の受入れ停止は、外国人雇用の現場にとってかなり象徴的な出来事です。

これまでの外食業では、特定技能が人手不足対策の大きな柱になっていました。留学生アルバイトから特定技能へ、海外人材を呼び寄せて店舗へ、という流れも珍しくありませんでした。

しかし、受入れ上限が現実に機能したことで、「制度があるから採用できる」という前提は崩れました。

今後は、分野ごとの上限、申請時期、在留者数、政策判断まで見ながら採用計画を立てる必要があります。

これは外食業だけの話ではありません。他分野でも、受入れ見込数が設定されている以上、同じような問題が起きる可能性はあります。

外国人雇用は、求人を出して、面接して、雇用契約を結べば終わりではありません。

在留資格の制度設計と運用の変化を前提に、採用、定着、育成、更新、2号移行まで含めた長期的な管理が必要です。

外食企業にとっては厳しい局面ですが、見方を変えれば、外国人雇用を「場当たり的な採用」から「経営戦略」に引き上げるタイミングでもあります。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、申請の受理日、本人の在留状況、業務内容、企業の受入れ体制によって結論が変わることがあります。

外食業分野で特定技能人材の採用・更新・転職・2号移行を検討している場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】

特定技能1号の外食業分野では、2026年4月13日以降の新規流入が大きく制限されました。既存の外食分野の特定技能外国人の更新や、一定の転職申請は通常どおり審査されますが、新規採用を前提にしていた企業は、採用計画の見直しと既存人材の定着対策が急務です。

【根拠】

出入国在留管理庁は、外食業分野の特定技能1号在留者数が2026年2月末時点で約4万6千人となり、2026年5月頃に受入れ上限5万人を超える見込みであるとして、2026年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請を不交付とする方針を示しています。

農林水産省も同様に、外食業分野の1号特定技能外国人について、2026年4月13日以降の在留資格認定証明書交付申請は不交付、在留資格変更許可申請は原則不許可、在留期間更新許可申請は通常どおり審査する旨を公表しています。

【注意点・例外】

2026年4月13日より前に受理された申請は、受入れ見込数の範囲内で順次審査されますが、変更申請が優先されるため、認定証明書の交付には相当な遅延が見込まれます。

技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」修了者や、既に外食業分野の特定活動「特定技能1号移行準備」の許可を受けている人などは、例外的に審査対象となる場合があります。ただし、許可時点の在留者数によっては、特定技能1号ではなく特定活動への変更や更新を案内される可能性があります。

個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】

出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」令和8年3月27日。

農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて」。

参考情報として、共同通信配信記事「特定技能停止、外食企業苦境に 採用計画変更、就職せず帰国も」2026年5月8日。

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