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TOP > コラム > 外国人が働きやすい職場とは?日本企業に求められる「違いを強み」にする視点

外国人が働きやすい職場とは?日本企業に求められる「違いを強み」にする視点

2026.05.27
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外国人が働きやすい日本になっているのか

日本で働く外国人は、確実に増えています。

厚生労働省が公表した「外国人雇用状況」の届出状況によれば、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人で、届出が義務化された2007年以降、過去最多となりました。

外国人を雇用する事業所数も371,215所で、こちらも過去最多です。つまり、外国人雇用は一部の大企業や都市部だけの話ではなく、すでに多くの企業にとって日常的な経営課題になっています。

一方で、「外国人が増えた」という数字だけを見て、日本が外国人にとって働きやすい国になったと結論づけるのは、少し早いように思います。

ハフポスト日本版の記事では、日系企業で働く外国人の方々が、日本の職場で感じた難しさや、文化的多様性を活かす職場づくりについて語っています。

特に印象的だったのは、「少し難しいです」「大丈夫です」といった日本語の曖昧な表現、空気を読むこと、行間を読むことが、外国人にとって大きな壁になり得るという点です。

これは、在留資格の問題ではありません。日本語能力試験の点数だけでも測れません。実際の職場で初めて見えてくる、かなり現場的な課題です。

「日本語ができる」と「職場で通じる」は同じではない

行政書士として外国人雇用の相談を受けていると、企業側から「日本語はどれくらいできますか」と聞かれることがよくあります。

もちろん、日本語能力は重要です。接客、営業、通訳、社内調整、顧客対応など、日本語を主に使う業務では、在留資格の審査上も、実際の業務遂行上も、日本語能力は大きな意味を持ちます。

ただし、現場で問題になるのは、単語や文法だけではありません。

たとえば、日本人同士であれば「今回はちょっと難しいですね」と言われた時点で、多くの人は「実質的には断られている」と受け止めます。しかし、日本語を丁寧に学んできた外国人ほど、「難しいけれど、条件を整えれば可能なのか」と受け止めることがあります。

「大丈夫です」も同じです。

「問題ありません」という意味なのか。
「不要です」という意味なのか。
「遠慮します」という意味なのか。

文脈によって意味が変わる言葉は、日本の職場ではとても多い。これは日本人にとっては自然でも、外国人にとっては見えない地雷のようなものです。

企業側がここを「本人の理解力不足」とだけ捉えてしまうと、せっかく採用した人材が力を発揮できません。

外国人雇用管理は、法律上も「採用して終わり」ではない

外国人雇用というと、どうしても在留カードの確認、在留資格の該当性、就労制限、届出義務といった話に意識が向きがちです。もちろん、それらは非常に重要です。

しかし、厚生労働省の外国人雇用管理指針は、単に「不法就労を防ぎましょう」という内容にとどまりません。

同指針では、外国人が日本で安心して就労し、企業や地域社会の一員として活躍するためには、関係法令の遵守、適切な待遇の確保、日本人との相互理解、魅力ある職場環境の整備、職業生活・日常生活・社会生活上の支援が重要であるとされています。

また、募集時には業務内容、契約期間、就業場所、労働時間、休日、賃金、社会保険の適用などを明示し、母国語や平易な日本語など、本人が理解できる方法で示すよう努めることも求められています。

ここは実務上、とても大切です。

外国人雇用のトラブルは、必ずしも悪意から起こるわけではありません。むしろ、「説明したつもり」「わかっていると思っていた」「日本人なら普通わかる」という認識のズレから起こることが少なくありません。

その意味で、外国人雇用管理とは、単なる書類管理ではなく、職場内のコミュニケーション設計でもあります。

「日本人化」を求めすぎる職場は、人材を活かしきれない

今回の記事で考えさせられるのは、外国人が日本企業で働く中で、どこまで日本的な振る舞いを求められるのかという点です。

もちろん、日本で働く以上、日本の商習慣や職場のルールを理解する努力は必要です。時間を守る、報告・連絡・相談をする、顧客への配慮をする。こうした基本的な姿勢は、国籍を問わず大切です。

ただ、それが行き過ぎると、「外国人を採用したのに、日本人と同じように振る舞うことだけを求める」という矛盾が生まれます。

外国人材を採用する意味は、単に人手不足を埋めることだけではありません。

海外顧客への対応、多言語対応、異文化理解、新しい市場感覚、社内の発想の広がり。そうした「違い」こそが、本来は企業にとっての強みになります。

ところが、職場側が違いを受け止める準備をしていないと、外国人本人は「目立たないようにする」「余計なことを言わない」「日本人らしく振る舞う」方向に適応してしまいます。

それは一見、職場に馴染んでいるように見えます。しかし、企業から見ると、せっかくの多様性を自ら消してしまっている状態ともいえます。

在留資格の厳格化と職場環境は別問題ではない

外国人材の働きやすさを考えるとき、在留資格制度の動きも無視できません。

出入国在留管理庁は、高度専門職について、学歴、職歴、年収などの項目ごとにポイントを付け、一定点数以上に達した人に許可する制度として説明しています。

高度専門職は、日本の学術研究や経済の発展に寄与することが見込まれる高度外国人材の受入れを促進する制度です。

ただ、制度があることと、外国人本人が日本を働く場所として選ぶことは別です。

在留資格の審査が厳格化される。手続きの負担が増える。手数料の引き上げが議論される。こうした状況が続くと、外国人材の側から見れば、「日本で長く働き続けられるのか」という不安につながります。

ここで企業ができることは、制度そのものを変えることではありません。

しかし、少なくとも自社に来てくれた外国人材に対して、在留資格の更新時期を把握し、業務内容と在留資格の整合性を確認し、雇用条件を明確にし、必要な書類を適切に準備することはできます。

外国人本人に「ビザは自分で何とかして」と丸投げする企業と、会社として必要な協力をする企業では、定着率にも信頼関係にも差が出ます。

企業が今日から見直したい3つのこと

外国人が働きやすい職場づくりは、壮大な理念から始めなくてもよいと思います。まずは、日々の小さなズレを減らすことです。

1 曖昧な表現を減らす

「できれば」「なるべく」「いい感じに」「大丈夫そうなら」といった表現は、日本人同士でも認識がズレます。外国人社員に対しては、期限、担当者、判断基準、禁止事項をできるだけ明確に伝えることが重要です。

2 評価基準を見える化する

外国人社員が不安を感じやすいのは、「何をすれば評価されるのか」が見えない職場です。勤続年数や空気を読む力だけで評価されると、本人は努力の方向性を見失います。

成果、協調性、日本語能力、顧客対応、改善提案など、何をどの程度評価するのかを言語化することが大切です。

3 在留資格と業務内容を定期的に確認する

外国人雇用では、採用時だけでなく、配属変更、昇進、転勤、職務内容の変更時にも注意が必要です。

たとえば、技術・人文知識・国際業務で採用した人を、実態として単純作業中心の業務に就かせれば、在留資格上の問題が生じる可能性があります。特定技能であれば、分野、業務区分、支援体制、届出義務も確認が必要です。

個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

「外国人に選ばれる会社」になるという発想

これからの外国人雇用では、企業が外国人を選ぶだけではなく、外国人から企業が選ばれる時代になります。

給与が高いかどうかだけではありません。
在留資格の手続きに理解があるか。
職場で孤立しないか。
生活面の相談ができるか。
曖昧な指示で責任だけ負わされないか。
違いを否定されず、強みとして見てもらえるか。

こうした点が、外国人材にとっての「働きやすさ」になります。

行政書士として現場を見ていると、在留資格の許可・不許可は、もちろん重要です。しかし、その先にある「働き続けられる環境」まで整っていなければ、外国人雇用は長続きしません。

外国人雇用は、単なる人手不足対策ではなく、企業の組織力が問われるテーマになっています。

「違いを強みにできる会社」は、外国人だけでなく、日本人にとっても働きやすい会社です。そこに気づけるかどうかが、これからの企業の分かれ道になるのではないでしょうか。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、実際の活動内容、職場での役割、雇用管理の状況によって結論が変わることがあります。外国人材の採用・定着・在留資格管理に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】

外国人労働者は過去最多となり、日本企業にとって外国人雇用は特別なものではなくなっています。しかし、本当に働きやすい職場にするためには、在留資格の適正管理だけでなく、日本語の曖昧さ、評価基準、職場文化、生活支援まで含めた環境整備が必要です。

【根拠】

厚生労働省の「外国人雇用状況」によれば、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所で、いずれも過去最多です。

厚生労働省の外国人雇用管理指針では、外国人が安心して就労し、能力を発揮できる環境整備、関係法令の遵守、適切な待遇、相互理解、生活支援などが重要とされています。

出入国在留管理庁は、高度専門職について、日本の学術研究や経済の発展に寄与する高度外国人材の受入れを促進する制度として説明しています。

【注意点・例外】

外国人雇用では、在留資格の種類によって従事できる業務が異なります。採用時に問題がなくても、配置転換、昇進、業務内容の変更によって在留資格との整合性が崩れる場合があります。

日本語能力が高い外国人であっても、日本的な曖昧表現や職場内の暗黙知を当然に理解しているとは限りません。

外国人本人の努力だけに委ねるのではなく、企業側も明確な説明、評価基準の見える化、相談体制の整備を進める必要があります。

個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】

一次情報
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」
出入国在留管理庁「在留資格『高度専門職』(高度人材ポイント制)」

参考情報
ハフポスト日本版「日本は外国人が働きやすくなっている?職場で困った経験は?→外国人の正直な意見は…。企業は『違いを強み』にできるか」

 

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