日本への留学生が40万人を超えた、というニュースは、見出しとしてはとても華やかです。
実際、出入国在留管理庁の公表では、2025年6月末時点の在留資格「留学」は43万5,203人で、前年同月比でも増えています。
新規入国者数でも、2025年の「留学」は約18万人に達しています。数としては、確かに大きな節目です。
数字の達成は、たしかに大きい

しかもこれは偶然ではありません。政府は2023年の教育未来創造会議の第二次提言で、2033年までに外国人留学生受入れ40万人、日本人学生の海外派遣50万人を目指す方針を打ち出していました。つまり、今回の到達は政策の延長線上にある成果です。
ただ、行政書士としてこの数字を見ると、少し違う景色も見えます。
留学生が増えるということは、在留資格「留学」の更新審査、卒業後の進路、資格外活動、学校側の在籍管理、その全部に負荷がかかるということです。入口が広がれば、出口と中間管理も必ず問われます。
ここを見落とすと、数字だけが先行して現場が追いつかない、ということが起こります。
入口が広がるほど、更新審査は重くなる
特に気になるのは、在留資格更新の場面です。
「留学」は、あくまで学ぶための在留資格です。
アルバイトは本体ではなく、資格外活動許可を受けたうえで例外的に認められているにすぎません。入管庁も、留学生の資格外活動は原則として週28時間以内、長期休業中は1日8時間以内と明示しています。
このため、留学生数が増えていく局面では、更新審査でオーバーワークの確認がこれまで以上に細かくなる可能性が高いと私は見ています。
ここは現時点で「今後必ずこうなる」と断言できる一次資料があるわけではありません。
しかし、以前留学生の政府目標が達成された年の更新では、オーバーワークの指摘がかなり多くありました。注意で済む人もいましたが、更新で不許可になる人も少なからずいました。
こうした経験からの推測ですが、留学生が急増し、政策的にも受入れの質と定着がより重視される以上、更新時に出席率、成績、学費支弁状況、資格外活動の実態が、より立体的に見られる流れはかなり自然です。
実務でも、表面上は在学していても、実態としてはアルバイト中心になっているケースが最も危うい。数字が増えるほど、そこは見逃されにくくなるはずです。
オーバーワークは、ますます見られる論点になる

実際、制度の土台にはすでにその方向性があります。
入管庁の資料では、日本語教育機関について、1か月の出席率が5割を下回る留学生については、資格外活動許可を受けている場合、勤務先情報も含めて報告対象にする仕組みが示されています。つまり、学業不振や不登校と、アルバイト実態の把握は、すでに切り離されていません。
ここは現場で見ていても、かなり重要なポイントです。
留学生本人は「少し働きすぎただけ」と思っていても、入管の側から見れば、それは学業継続性の問題として映ることがあります。出席率が低い、成績が振るわない、学費の支払いが不安定、そこに長時間労働が重なる。こうなると、一つ一つは軽く見えても、全体としてはかなり厳しい印象になります。
学校の在籍管理も、これまで以上に問われる

さらに、就職への接続も簡単ではありません。
JASSOの資料では、政府は留学生40万人計画に加えて、留学生の国内就職率60%も目標に掲げていますが、日本国内就職率にはまだ大きな課題があります。
受入れ数が増えれば、そのまま就職支援や在留資格変更の相談も増えます。
学校が「卒業させれば終わり」、企業が「採用できれば終わり」という発想のままだと、留学から就労資格への接続で無理が出ます。
私はこのテーマで、学校側にも少し緊張感が必要だと思っています。
文部科学省は、外国人留学生の在籍管理の適正を欠く大学について「改善指導対象校」を公表しています。
留学生の数を増やす政策と、在籍管理を厳しく見る政策は、実は同時に動いています。これは矛盾ではなく、当然のセットです。
受入れを拡大するなら、在籍管理も甘くできない。現場感覚ではむしろこちらの方が本体です。
企業も「本人任せ」では済まない

そして企業側も無関係ではありません。
留学生アルバイトを受け入れる飲食店、小売、物流、工場などでは、「本人が働きたいと言ったから」「シフトに入れると言うから」で回してしまうと危険です。
留学生本人に悪気がなくても、週28時間規制を超えれば在留上の問題になり得ますし、複数の勤務先を掛け持ちしている場合は、本人ですら総時間を正確に管理できていないことがあります。
ここは現場で本当に起きます。
採用する側が「うちは週20時間しか入れていないから大丈夫」と思っていても、別の勤務先で働いていれば合算で上限を超えることがあります。
企業としては、雇った瞬間に終わりではなく、在留資格の内容や資格外活動の範囲をきちんと確認し、必要に応じて勤務実態を把握する姿勢が必要です。
40万人時代は、きれい事だけでは進まない

留学生40万人時代は、きれいな言い方をすれば日本の国際化です。
でも、実務の言葉に直すと、「更新審査で説明を求められる案件が増える時代」でもあります。
通帳、給与明細、シフト表、出席率、単位修得状況、学費納付状況。こういう地味な資料の整合性が、これまで以上に大事になる。ニュースではそこまで書かれませんが、申請の現場ではそこが勝負です。
数字が増えること自体は悪いことではありません。むしろ、日本の人口減少や大学経営、企業の人材確保を考えれば、留学生の存在感は今後さらに大きくなるでしょう。
ただし、受入れ拡大は、審査の甘さを意味しません。私はむしろ逆だと思っています。数が増えたときほど、制度は一人ひとりの実態を見に来ます。留学生本人も、学校も、雇う側の企業も、「少しくらい大丈夫だろう」という感覚を手放す時期に入ったのではないでしょうか。
【結論】
留学生40万人突破は政策上の成果ですが、行政書士実務では「留学」在留資格の更新審査や卒業後の在留資格変更が今まで以上に厳密に見られる流れを意識すべきです。特にオーバーワーク、出席率不良、学業実態の乏しさは、更新時のリスクとして重みを増すと考えます。
【根拠】
出入国在留管理庁は、2025年6月末時点の「留学」在留者数を43万5,203人と公表しています。政府は2033年までに留学生40万人受入れを目標としていました。資格外活動は週28時間以内が原則であり、日本語教育機関では出席率不良者について勤務先情報を含めた報告枠組みも示されています。文部科学省も在籍管理の適正を欠く大学への改善指導を行っています。
【注意点・例外】
オーバーワークが疑われる場合でも、個別事情の説明が十分に成り立つことはあります。病気、学校都合、勤務記録の誤認など、事案ごとの検討が必要です。更新の可否は公開情報だけで一律に判断できず、専門家に確認が必要です。
また、「留学生数が増えたから直ちに更新審査が一律に厳しくなる」とまで断定できる一次資料は、私が確認した範囲では見当たりません。この点は推測ですが、制度運用の方向としては十分あり得る、というのが実務的な見立てです。
【出典】
・出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
・出入国在留管理庁「令和7年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について」
・文部科学省「教育未来創造会議」関連資料
・出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
・出入国在留管理庁「日本語教育機関の告示基準解釈指針」
・文部科学省「外国人留学生の在籍管理の適正を欠く大学の『改善指導対象校』指定について」
・JASSO関連資料
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