ベトナム人男性4人を不法就労させた疑い 派遣会社社長ら逮捕から見える企業の重い責任
また一つ、見過ごせない事件が出ました。
毎日新聞の報道によれば、静岡県磐田市の人材派遣会社「アイディーエー」の社長ら3人が、不法残留のベトナム国籍の男性4人を金属研磨工場で働かせたとして、入管法違反の疑いで逮捕されたとされています。
しかも、報道では2020年11月以降、不法残留などのベトナム人61人が同じ派遣会社から工場に派遣され、違法に働かされていた可能性があるとも伝えられています。
ここまでくると、単発の確認ミスというより、継続的な違法就労の疑いを持たれても仕方がない構図です。
事件のポイントは「外国人が逃げた」ことだけではない

この種の報道が出ると、「悪いのは失踪した外国人だ」という話で片づけられがちです。
ただ、実務の現場では、そこだけ見ていては足りません。
むしろ問われるのは、雇用する側がどこまで確認していたのか、どこで目をつぶったのか、という点です。
報道によれば、ベトナム人男性らはもともと技能実習生として働いていたものの、「給料が少ない」「日本人に暴力を振るわれる」などの理由で実習先から逃亡し、その後、不法滞在になったとみられています。
さらに、フェイスブックで知り合ったベトナム人ブローカーを介して仕事を紹介されたとされています。
この流れは、実はかなり典型的です。
失踪した元技能実習生が、SNS上のブローカーにつながり、そこから人手不足の現場に流れ込む。制度のほころび、人手不足、管理不全が一本につながると、こういう事件になります。
人手不足は免罪符にはならない

報道では、工場側はハローワークに求人を出しても人が集まらなかったとされています。
この事情自体は、多くの事業者にとって現実だと思います。特に製造業や地方の工場では、募集をかけても応募が少ない。やっと人が見つかったと思ったら、紹介ルートが不透明だった。そういう場面は珍しくありません。
ただ、ここで怖いのは、「人が足りないから、とりあえず入れた」が、そのまま刑事事件につながることです。
人手不足のときほど、採用ルートは汚れやすい。私はそう感じています。急いでいる会社ほど、確認を省略しやすいからです。ですが、その一省略が後で会社全体を揺らします。
派遣会社だけでなく受入企業も責任を問われる

今回の報道で重いのは、派遣会社側だけでなく、受入先の工場長も逮捕され、法人として両社も書類送検された点です。
つまり、「派遣会社が連れてきた人だから大丈夫だと思った」という言い訳は通りにくいということです。
派遣の形を取っていても、実際に現場で働かせる以上、受入企業にも確認責任と管理責任がある。この現実を、この事件はかなりはっきり示しています。
外国人雇用では、紹介会社や派遣会社に任せきりにする会社があります。けれど、最終的に現場で就労させる以上、受入側が何も確認しなくてよい、という話にはなりません。
不法就労助長罪は「知らなかった」で逃げ切れないことがある

ここで企業が改めて押さえておきたいのが、不法就労助長罪です。
外国人を雇用する際には、在留カードや旅券を確認し、その人が適法に働けるのかを見なければなりません。
在留資格は何か、在留期限は切れていないか、資格外活動許可はあるのか。そこを確認せずに就労させれば、単なる採用ミスでは済まない可能性があります。
実務的には、「本人が大丈夫だと言っていた」「紹介会社が問題ないと言っていた」では弱いのです。重要なのは、会社として確認したかどうかです。
ここを曖昧にしている会社は、思っている以上に危うい。紙一枚、カード一枚の確認を軽く見た結果、逮捕や書類送検、社名公表につながることもあるわけです。
技能実習生の失踪問題と違法就労市場はつながっている

今回の事件は、単に一つの工場の問題ではありません。
背景には、技能実習制度の失踪問題があります。
もちろん、失踪した人全員が違法就労に流れるわけではありません。
ただ、失踪者がブローカー経由で不法就労市場に取り込まれる危険があることは、以前から指摘されてきました。
そしてその受け皿になるのが、慢性的な人手不足に悩む現場です。
この構図は、制度と現場のひずみが噛み合ってしまった結果ともいえます。
だから私は、この事件を単なる摘発ニュースとしてではなく、日本の外国人雇用の弱い部分が表に出た事案として見ています。
SNSブローカー経由の採用は特に危ない

今回、報道に出ているフェイスブック経由のブローカーという点も見逃せません。
今はSNSが仕事探しの入口になること自体は珍しくありません。
ただ、在留資格の確認も、雇用契約の透明性も、紹介者の身元も曖昧なまま人が動くと、一気に危険な世界になります。
特に、
「すぐ働ける人がいる」
「細かい手続は不要」
「紹介料だけ払えばよい」
といった話が出てきたら、かなり危ない。
現場では、こうした“都合が良すぎる話”ほど警戒した方がよいです。
楽に人が集まる話ほど、後で高くつきます。
企業が最低限やるべき確認実務

では、企業はどうすればよいのか。
特別な裏技があるわけではありません。むしろ、基本動作の徹底です。
在留カードは必ず実物で確認する
画像やコピーだけでは足りません。実物確認が前提です。コピーはいくらでも加工され得ます。まずは現物を見る。この基本を外してはいけません。
表だけでなく裏面まで確認する
在留カードは表面だけ見て終わりにしないことです。就労制限の有無、資格外活動許可欄など、裏面も確認が必要です。表だけで安心してしまう会社は意外と多い印象があります。
在留期限と業務内容の整合を確認する
期限が切れていないかだけでなく、その在留資格でその仕事ができるのかを見る必要があります。ここが抜けると、在留カード自体は本物でも、従事業務が資格外という問題が起きます。
派遣会社任せにしない
派遣元や紹介会社が確認済みだとしても、受入企業側でも確認記録を残すことが重要です。後で説明できる状態にしておく。これが実務ではかなり大事です。
派遣会社の社員は入管法に関しての専門家ではありません。
専門家に相談することも視野に入れることも検討してください。
紹介経路が不自然でないか確認する
誰の紹介なのか、どこで募集したのか、なぜこの人が今このルートで来たのか。そこに違和感がないかを見ておくべきです。採用の入口が曖昧な案件ほど危険です。
この事件をどう受け止めるべきか

私は、この事件は「違法就労をさせた会社が摘発された」というだけの話ではないと思っています。
技能実習制度のひずみ、失踪問題、SNSブローカー、人手不足、派遣会社のコンプライアンス不全、受入企業の確認不足。
これらが一本につながってしまった。そういう意味で、かなり象徴的です。
そして最後に一番大きなダメージを受けるのは、現場を動かしていた会社だったりします。
逮捕される。書類送検される。社名が出る。取引先が離れる。採用も難しくなる。
たった一つの確認不足が、会社の信用そのものを削っていく。
外国人雇用は、本来きちんと行えば企業にとって大きな力になります。
だからこそ、入口を雑にしてはいけません。急いでいるときほど、確認を丁寧にする。その当たり前を守れるかどうかで、結果は大きく変わります。
【結論】
今回の事件は、派遣会社だけでなく受入企業にも重い責任が及ぶことを示した事案です。人手不足を理由に在留資格確認を甘くすると、不法就労助長として刑事責任、法人責任、信用失墜にまで広がり得ます。
【根拠】
毎日新聞報道では、2024年11月から2026年1月にかけて不法残留のベトナム人男性4人を工場に派遣して働かせた疑いがあり、さらに2020年11月以降、ベトナム人61人が違法に働いていた可能性があるとされています。
また、もともと技能実習生だった男性らが失踪後、SNS上のブローカーを介して紹介されたという流れも報じられています。
これらは、単なる採用ミスではなく、継続的な違法就労スキームの疑いを感じさせる内容です。
【注意点・例外】
本件は報道段階の事案であり、最終的な事実認定や責任の範囲は今後の捜査や裁判で変わる可能性があります。
企業がどこまで確認していれば過失を免れ得るかは個別事情によります。一律にはいえません。専門家に確認が必要です。
推測ですが、今後この種の事件が続けば、派遣・請負を利用する外国人雇用については、受入側の確認実務がさらに厳しく見られる流れになる可能性があります。
【出典】
毎日新聞「ベトナム人男性4人を不法就労させた疑い 人材派遣会社社長ら逮捕」
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