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TOP > コラム > 外国人留学生40万人超で過去最多|行政書士が見る「受入れ拡大」と在籍管理の課題

外国人留学生40万人超で過去最多|行政書士が見る「受入れ拡大」と在籍管理の課題

2026.06.18
コラム外国人支援留学ビザ
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外国人留学生40万人超。これは「歓迎」だけで読んではいけない数字です

日本学生支援機構、JASSOが公表した2025年度の外国人留学生在籍状況調査で、2025年5月1日現在の外国人留学生数は40万8,069人となりました。

前年度より7万1,361人、21.2%の増加です。

数字だけを見れば、過去最多です。政府が掲げてきた外国人留学生受入れ40万人という目標も、少なくとも高等教育機関と日本語教育機関を含む調査上の数字では、すでに超えたことになります。

ただ、行政書士としてこの数字を見ると、単純に「留学生が増えてよかったですね」とは言い切れません。

留学生が増えるということは、学校の在籍管理、アルバイトの資格外活動、卒業後の就職、在留資格変更、地域での生活支援まで、実務の負荷も同時に増えるということだからです。

この記事のポイント

・外国人留学生数は40万8,069人で過去最多
・増加の中心は日本語教育機関と専修学校
・ネパール、ミャンマー、スリランカなど南西アジア圏からの増加が目立つ
・留学生本人だけでなく、学校と雇用企業の管理責任がより重要になる
・今後は「人数」より「教育の質」と「在籍管理」が問われる

増加の中心は、日本語教育機関と専修学校

今回の調査で特に目を引くのは、大学院や大学だけでなく、日本語教育機関と専修学校の増加が大きい点です。

JASSOの調査では、日本語教育機関の留学生は14万174人、専修学校専門課程の留学生は10万6,829人となっています。

前年からの増加数で見ると、日本語教育機関は3万2,933人増、専修学校専門課程は3万427人増です。

この数字は、現場感覚ともかなり近いものがあります。専門学校や日本語学校を経由して日本で進学・就職を目指すルートは、今も非常に大きい。特に地方では、専門学校が外国人材の入口になっているケースも少なくありません。

一方で、ここには注意も必要です。在留資格「留学」は、あくまで日本で教育を受けるための在留資格です。JASSOの調査上の「留学生」も、入管法別表第一に定める「留学」の在留資格により、大学、短大、高専、専修学校、日本語教育機関などで教育を受ける外国人学生を指すとされています。

つまり、「留学生が増えた」というニュースは、「将来の外国人材が増えた」という意味もありますが、同時に「学業を中心とした在留管理の対象者が増えた」という意味でもあります。

ネパール、ミャンマー、スリランカの増加が示すもの

国・地域別では、中国が13万1,097人で最多、次いでネパールが10万239人、ベトナムが4万3,366人、ミャンマーが2万9,413人、スリランカが1万7,626人となっています。

特にネパール、ミャンマー、スリランカの増加が大きい点は、今後の学校運営や地域の受入れ体制を考えるうえで重要です。

なお、ネパールの増加率については少し注意が必要です。報道では「3割増」と整理されていますが、JASSOの公表値である2025年10万239人、2024年6万4,816人という人数差から通常の前年度比で計算すると、約54.7%増となります。

文部科学省の説明でもネパールは前年度比54.7%増とされています。数字を引用する際は、どの資料のどの欄を使うかを確認した方が安全です。

このような出身国の変化は、学校現場にとっては単なる統計ではありません。宗教、食文化、生活習慣、母国の教育制度、送金事情、家族への経済的責任。こうした背景が、出席状況やアルバイト、進路選択にも影響することがあります。

留学生アルバイトは「人手不足対策」だけで考えない

留学生が増えると、飲食店、小売店、介護周辺業務、清掃、物流などでアルバイト人材として期待する企業も増えます。実際、地域の人手不足を支えている留学生は多いです。

ただし、ここで企業側が誤解してはいけないのは、在留資格「留学」は就労資格ではないという点です。留学生がアルバイトをするには、原則として資格外活動許可が必要で、包括許可の場合は1週28時間以内、教育機関の長期休業期間は1日8時間以内という制限があります。風俗営業等に関わる活動も認められません。

実務で怖いのは、本人が「働けます」と言ったから採用した、というケースです。在留カードの表面だけを見て「留学」と確認し、裏面の資格外活動許可を見落とす。掛け持ち先を確認せず、自社だけで週28時間以内ならよいと思い込む。これは非常に危険です。

留学生本人に悪意がなくても、結果として資格外活動違反になることがあります。企業側も、不法就労助長に問われるリスクを軽く見てはいけません。

学校に求められるのは、入口よりも「継続的な把握」

留学生の受入れが増えるほど、学校には在籍管理の精度が求められます。出席率、成績、アルバイト状況、生活費の出所、卒業後の進路。これらは単なる事務作業ではなく、在留資格の更新や変更にも直結します。

文部科学省も、外国人留学生の適切な受入れと在籍管理の徹底を求めており、在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針や、その運用に関するガイドラインを示しています。

現場では、入学時の説明だけでは足りません。28時間ルールを説明しても、数か月後には本人の生活状況が変わっていることがあります。

家賃が上がる、仕送りが止まる、家族に送金する必要が出る。そうなると、本人は「少しだけなら」と働きすぎてしまう。

だからこそ、学校側には定期的なヒアリング、通帳確認、勤務先の把握、長期休業期間の管理が必要になります。これは学生を疑うためではなく、学生を守るための管理です。

「量」から「質」へ。政策の方向性もそこに向かっている

政府のJ-MIRAI、未来を創造する若者の留学促進イニシアティブでは、2033年までに日本人学生の海外派遣50万人、外国人留学生の受入れ40万人、外国人留学生の卒業後国内就職率60%などが目標として示されています。

同時に、量だけでなく質の向上、卒業後の活躍、在籍管理、教育の国際化も重視されています。

今回、外国人留学生が40万人を超えたことは、日本社会にとって大きな節目です。ただ、数字の達成はゴールではありません。むしろ、ここからが本番です。

日本に来た留学生が、学び、生活し、必要に応じて日本で働き、地域社会の一員になっていく。その流れを作れるかどうか。そこに、学校、企業、行政、専門家の役割があります。

行政書士の立場から見ると、留学生の在留資格実務は、申請書を作るだけの仕事ではありません。本人の学業状況、収入、生活実態、進路、企業側の受入れ体制をつないで見る必要があります。

留学生40万人時代。問われているのは、「何人受け入れたか」ではなく、「受け入れた人をどう支えるか」だと思います。

在留資格「留学」の更新、資格外活動、卒業後の就職に伴う在留資格変更、外国人留学生の採用管理は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。学校や企業で判断に迷う場合は、早めに実態を整理しておくことをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】
外国人留学生が40万人を超えたことは、日本の教育機関と地域社会にとって大きな転換点です。ただし、増加を歓迎するだけではなく、在籍管理、資格外活動管理、卒業後の進路支援まで含めた実務体制が求められます。

【根拠】
JASSOの2025年度外国人留学生在籍状況調査では、2025年5月1日現在の外国人留学生数は40万8,069人で過去最多とされています。増加の中心は日本語教育機関と専修学校専門課程です。
2024年度に海外留学を開始した日本人学生は9万1,054人で、2018年度の11万5,146人には届いていません。
政府のJ-MIRAIでは、2033年までに日本人学生の海外派遣50万人、外国人留学生受入れ40万人、卒業後国内就職率60%などが掲げられています。

【注意点・例外】
「外国人留学生」とは、原則として在留資格「留学」により教育機関で教育を受ける外国人学生を指します。就労目的の在留資格ではありません。
留学生のアルバイトには資格外活動許可が必要で、包括許可の場合は原則週28時間以内です。掛け持ち勤務も通算管理が必要です。
ネパールからの留学生増加率については、報道表現と文部科学省資料の前年度比表記に差があるため、引用時は一次資料の数字を確認する必要があります。

【出典】
JASSO「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」
JASSO「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査結果」
文部科学省「日本人学生の海外留学状況及び外国人留学生の在籍状況調査」
教育未来創造会議「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ J-MIRAI」
出入国在留管理庁「留学の在留資格に係る資格外活動許可について」
参考情報:ReseEd「外国人留学生40万人超で過去最多、ネパールからの留学生が3割増」

 

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