特定技能1号は43万人超 分野別充足率から考える外国人採用
外国人材の採用を検討するとき、「この分野はまだ受入れ枠に余裕がありますか」と気になる企業もあると思います。
人手不足が続くなか、採用の見通しを早く立てたい。そのお気持ちはよくわかります。
出入国在留管理庁の「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について」では、2026年7月末時点の在留者数が432,016人とされています。
受入れ見込数805,700人に対する充足率は53.6%。ただし、全体の数字だけでは、個々の分野の状況は見えてきません。
特に目を引くのは、外食業の98.6%という充足率です。この数字を採用計画にどう生かすか。今回は、公表資料の読み方と実務上の注意点を整理します。

出入国在留管理庁からの資料
まず確認したいのは、数字の「時点」

今回の資料は、2026年7月末の速報値です。
記事を読む時点の在留者数を、そのまま示しているわけではありません。
受入れ見込数については、2026年1月23日の閣議決定に基づく、2029年3月までの人数と記載されています。「今年だけで受け入れる予定の人数」と理解すると、採用の見通しを誤るおそれがあります。
また、対象は特定技能1号です。特定技能2号や技能実習、技術・人文知識・国際業務などを含めた、外国人労働者全体の人数ではありません。
速報値は今後修正される可能性もあります。数字を引用するときには、「2026年7月末時点・速報値」まで一緒に伝えたいところです。
全体は53.6%でも、分野によって状況が違う
主な分野を抜き出すと、次のようになります。
| 分野 | 受入れ見込数 | 在留者数 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 外食業 | 50,000人 | 49,290人 | 98.6% |
| 飲食料品製造業 | 133,500人 | 101,922人 | 76.3% |
| 建設 | 76,000人 | 52,366人 | 68.9% |
| 介護 | 126,900人 | 81,436人 | 64.2% |
| 自動車整備 | 9,400人 | 5,332人 | 56.7% |
| 工業製品製造業 | 199,500人 | 63,032人 | 31.6% |
| 全分野合計 | 805,700人 | 432,016人 | 53.6% |
全体の充足率に余裕があるように見えても、採用予定の分野も同じ状況とは限りません。
例えば、飲食店の採用と食品工場の採用は、名前が似ていても別の分野です。食品工場側の数字を見て、飲食店でも受入れが進められると判断することはできません。実際に担当する業務がどの分野に当たるかを、先に整理する必要があります。
外食業の「差710人」は、申請できる人数ではない

外食業は、受入れ見込数50,000人に対し、在留者数49,290人。単純に引くと710人です。
しかし、「まだ710人分の申請ができる」「先に出せばその枠に入れる」とは読めません。
この差は、7月末時点の二つの数値を引いた結果であり、今後の申請に割り当てられた人数ではないからです。
入管庁は2026年3月27日の案内で、在留者数が受入れ見込数を超えることが見込まれる場合に、在留資格認定証明書の交付を一時停止する仕組みを説明しています。
人数が上限に到達した後だけを見て判断する制度ではありません。
出入国在留管理庁
4月13日には、外食業分野の在留資格認定証明書の交付停止措置が公表されています。
今回の速報値が掲載されたことをもって、停止措置が解除されたと判断することもできません。
出入国在留管理庁
2026年10月7日時点の再開の有無や、個々の申請区分の最新の取扱いは、今回確認できた資料だけではわかりません。
海外からの呼び寄せ、国内での資格変更、既に外食業で働く人の転職などについて、申請時点の公式案内を別途確認する必要があります。
年間約8.9万人増は、新規入国者数ではない

資料では、全分野の年間増加数が89,093人とされています。
内訳を見ると、介護24,402人、飲食料品製造業15,567人、外食業12,107人、工業製品製造業10,768人、建設7,937人などです。
ここで注意したいのは、「年間増加数」の定義です。資料の注記では、2025年7月末と2026年7月末の在留者数の差とされています。海外から新たに入国した人だけを数えたものではありません。
国内で別の在留資格から移る人もいれば、特定技能1号から離れる人もいます。
そうした動きを経た後の人数の差なので、「一年間に約8.9万人を新規採用した」と言い換えるのは正確ではありません。
この一年の増加数から、将来の上限到達日を断定することも避けたいところです。
一定のペースで増え続けるという前提が、実際に続くかはわかりません。
充足率が低くても、すぐに採用できるとは限らない

資料には、自動車運送業3.2%、鉄道2.5%など、充足率が低い分野もあります。
リネンサプライは在留者数3人、物流倉庫と資源循環の在留者数欄は「-」と記載されています。
「-」を独自にゼロ人と置き換えることは避けてください。
この資料には、その記号の意味を詳しく説明する注記がありません。
また、充足率は、試験の日程、候補者の確保、受入企業の準備状況まで示す数字ではありません。「人数に余裕がありそうだから、来月から働いてもらえる」という見通しには、別の確認が必要です。
行政書士としては、数字に加えて、担当業務、本人の資格・経験、会社側の要件、入社希望日を一緒に整理したいと考えます。採用を決めてから手続上の障害がわかると、企業にも本人にも負担が生じます。
採用予定日から、確認する順番を考える

例えば、数か月後の入社を予定している場合。候補者が海外にいるのか、国内にいるのかによって、準備する手続や日程は変わります。
まず予定する仕事と分野を確認し、本人の条件と企業側の受入れ準備を整理する。
そのうえで、受入れ見込数や最新の申請運用を確認する。この順番が、採用計画を具体的にするうえで役立つと思います。
今回の資料は、分野ごとの状況を把握するための大切な材料です。
ただ、許可の見通しを一枚の表だけで決めることはできません。
申請の可否は個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
Asocia行政書士法務事務所では、特定技能外国人の採用に向けた業務内容の整理や、在留資格申請に必要な準備についてご相談を承っております。
4.記事末尾の整理
【結論】
2026年7月末の特定技能1号は432,016人。全体の充足率は53.6%ですが、外食業は98.6%です。分野別の数字と、申請時点の運用を合わせて確認する必要があります。
【根拠】
入管庁の7月末速報資料と、外食業分野の受入れ上限の運用・交付停止措置の公式案内に基づきます。採用予定日から準備を整理する方法は、筆者の実務上の提案です。
【注意点・例外】
7月末の速報値であり、10月時点の人数ではありません。年間増加数は前年同月との在留者数の差です。外食業の停止措置の最新状況や、個別の申請への適用は別途確認が必要です。旧版資料との差分と、このPDF自体の公表日は未確認です。
【出典】
一次情報(確認日:2026年10月7日)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年7月末時点・速報値)」。添付資料の本文・表・注記を直接確認。
- 出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」2026年3月27日
- 出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」2026年4月13日
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