介護福祉士「不合格でも資格取得」特例の実態|行政書士が解説する外国人雇用の光と影
皆さんおはようございます!
新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所です。
先日、読売新聞の報道で「介護福祉士の国家試験に不合格でも資格取得が可能となる特例措置」が取り上げられ、介護業界や外国人雇用に関わる方々の間で大きな話題となっていますね。
出典:介護福祉士の国家資格「不合格でもOK」特例適用8000人超、外国人が中心…継続に賛否
この制度が開始されてから約7年で、特例適用者は累計8000人を超え、その多くが外国人留学生という事実は、私も現場で支援している立場として、決して無視できない現実だと感じています。
今回は、この特例措置の背景にある事情から、その影響、そして今後の展望まで、行政書士の視点から詳しく解説していきます。
特例措置の概要:国家試験不合格でも介護福祉士になれる仕組みとは?
そもそも介護福祉士資格は、かつては養成施設を卒業すれば国家試験なしで登録が可能でした。
しかし、平成29年(2017年)度の法改正により、原則として国家試験合格が必須となりました。
この法改正の際に、「現場の混乱を避けるための経過措置」として導入されたのが、今回話題になっている特例措置です。
具体的には、以下の条件を満たせば、試験に不合格でも介護福祉士として働くことが可能になります。
- 養成施設を卒業すれば、有効期限付きの資格登録が可能
- 卒業年度の翌年から最長5年間、介護福祉士として就労可能
- この期間中に継続して就労すれば、国家試験に合格しなくても正規の資格保持者となる
この特例は当初2021年度までの予定でしたが、介護現場の深刻な人手不足を背景に延長が繰り返され、現時点では2026年度卒業者までが対象となっています。
なぜ特例措置が始まったのか?外国人留学生への配慮
この特例措置が導入された最大の背景には、外国人留学生の国家試験合格率の低さが挙げられます。
厚生労働省や各養成施設の調査によると、外国人留学生の国家試験合格率は4割以下に留まるケースが多く、一方で、彼らの実務能力には問題がないとされる事例も多々見受けられました。
「現場では非常に頼りになるのに、言葉の壁が原因で資格が取れない」という状況は、彼らにとってはもちろん、人材を求める介護施設にとっても大きな課題でした。
このような状況を救済し、かつ介護現場の人手不足を解消するための一手として、特例措置が導入されたのです。
賛否が分かれる制度:国家資格の信頼性と現場の現実
しかし、この特例措置の継続については、様々な意見が交わされており、賛否が分かれています。
【賛成派の意見】
- 深刻な人手不足の解消
介護現場は慢性的な人手不足に陥っており、一定の訓練を受けた人材を現場に送り出すための合理的措置である。 - 「言葉の壁」への配慮
専門用語が多い国家試験において、「言葉の壁」が原因で実力があるにも関わらず不合格となるのは不合理である。
【反対派の意見】
- 国家資格の信頼性の揺らぎ
「不合格でも資格取得」という仕組みは、介護福祉士という国家資格の信頼性を損なう可能性がある。 - 正当な合格者との不公平感
厳しい試験を突破して資格を取得した者との間に不公平感を生じさせる。
私自身、介護現場の支援者や外国人労働者の在留資格手続きに関わる中で、現場の逼迫した状況と、国家資格としての厳格性を維持したいというジレンマに悩む声を何度も耳にしてきました。
この制度は、まさに介護現場が抱える深刻な課題の縮図とも言えるでしょう。
制度の出口戦略が必要では?行政書士としての提言
特例措置の必要性は理解できるものの、無制限の延長は制度そのものの信頼性を失わせる危険性があります。
介護現場のニーズに応えつつも、国家資格としての「質」を担保するためには、何らかの「出口戦略」が必要だと考えます。
例えば、次のような改善策が求められるのではないでしょうか。
- 有効期間中の段階的な評価制度の導入
5年間の有効期間中に、簡易的な筆記試験や実技試験、あるいは面談などを通じて、継続的な学習やスキルアップを促す制度。 - 試験合格に向けた日本語教育支援の強化
国家試験の合格率向上を目指し、より実践的な日本語教育や専門用語に特化した学習支援の充実。 - 特例制度の終了時期や見直し基準の明示
介護現場の状況や外国人材の受け入れ状況に応じて、特例制度を終了する時期や、見直しの具体的な基準を明確に設定する。
この制度の目的は「介護現場の崩壊を防ぎつつ、一定の質を担保すること」です。
どちらか一方を犠牲にするのではなく、両立を目指した制度設計の見直しが急務だと強く感じています。
行政書士としてできる支援:適切な手続きでリスクを回避
当事務所では、介護施設様からの外国人雇用に関するご相談や、この経過措置対象者の就労資格の確認、そしてビザの更新・変更手続きの支援を数多く行っております。
特例制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことは、外国人材本人にとっても、雇用する介護施設側にとっても、不必要なリスクを回避することにつながります。
「この職員は経過措置対象になるのか?」
「就労を継続すれば資格を維持できるのか?」
「外国人を雇用する際の注意点は?」
など、ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
複雑な在留資格制度や特例措置についても、丁寧にサポートさせていただきます。
まとめ:介護現場と外国人材の未来のために
- 介護福祉士の国家試験に不合格でも資格が取得できる特例措置は、現在も続いており累計8000人以上が対象となっています。
- この制度は外国人材にとっては重要な救済措置でありつつも、国家資格制度の根幹に関わるため、賛否が分かれているのが現状です。
- 今後は「質の担保」と「現場維持」の両立を見据えた制度設計と支援体制の充実が求められます。
介護現場の持続可能な発展と、外国人材の活躍の場を広げるために、私たち行政書士も、この制度の本質と課題を見つめ直す時期に来ていると感じています。
今回のブログ記事を通して、この特例措置についてご理解いただけたでしょうか?
介護現場の課題解決に向けて、何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
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