新潟・湯沢のスキー場で、外国人による無許可の有料レッスンが問題になっているという報道が出ました。
テレビ朝日の報道では、苗場スキー場周辺で、スキー場に許可を得ていないとみられるインストラクターが活動し、湯沢町が就労許可や保険加入、指導資格などを確認する登録制度を設けて対策を進めているとされています。
報道上は、非公認インストラクターの推定人数は約2,000人、登録スクールは約55とされています。
この話、つい「外国人が勝手に稼いでいる」という方向に寄りがちです。
ただ、実務で見ると、論点はもう少し整理しておいた方がいい。
問題の本質は、外国人であること自体ではなく、日本で報酬を受けて活動するための在留資格や許可があるのか、スキー場や地域のルールに乗っているのか、そして利用者保護の仕組みがあるのか、という点にあります。
まず押さえたいのは「有料レッスン」は仕事だということ

スキーやスノーボードのレッスンを有料で行うのであれば、基本的には「報酬を受ける活動」です。出入国在留管理庁は、現に有している在留資格に属しない収入を伴う活動を行う場合には、資格外活動許可が必要になると案内しています。
したがって、適法な就労資格や資格外活動許可がないまま有料レッスンをしていれば、入管法上の問題が生じ得ます。
しかも厄介なのは、現場で現金の受け渡しが見えないことです。
報道でも、受付や決済はSNSを通じて行われ、ゲレンデでは金銭授受が確認しにくいとされていました。
見た目はただの友人同士の滑走に見えても、実際には有料レッスンになっている。
ここが現場確認を難しくしています。
外国人スキーインストラクター自体は、適法に受け入れる余地がある

ここは丁寧に書いておきたいところです。
外国人のスキーインストラクターが日本で活動すること自体が違法、という話ではありません。
出入国在留管理庁の在留資格「特定活動」の対象一覧には、「スキーインストラクター」が明示されています。
つまり国としては、この分野の外国人材の受入れ自体を否定しているのではなく、一定の枠組みの中で適法に受け入れる制度を用意しています。
しかも、この「特定活動」は、ただスキーを教えられれば誰でも自由に営業できる、という仕組みではありません。
出入国在留管理庁の「在留資格『特定活動』(スキーインストラクター)」の案内では、申請に当たり、雇用契約書の写しや労働条件を明示する文書の写しなど、活動内容を具体的に示す資料の提出が求められています。
どこで、誰のもとで、どの期間、どのような条件で活動するのかを前提に審査されるわけです。
実務感覚でいえば、スキーインストラクターの特定活動は、自由営業のための万能資格ではなく、受入れ機関との関係や業務内容を個別に確認したうえで認められる在留資格です。
さらに、この制度はインバウンド需要を踏まえて見直しもされてきました。
法務省の資料では、外国人スキーインストラクターについて、スポーツの指導に係る3年以上の実務経験がない場合でも、「これに準ずる者」は入国・在留が可能となったと整理されています。
背景には、訪日外国人スキー客の増加や、外国語対応できる指導者の確保が求められたことがあると読めます。
国としても、スノーリゾートの国際化に合わせて適法な受入れルートを整えてきた、ということです。
だからこそ、無許可・無登録の活動が目立つと、真面目に制度に乗っている事業者ほど苦しくなります。
在留資格を整え、受入れ先との契約を結び、必要書類をそろえ、保険や資格の確認も受けたうえで営業している事業者と、SNSだけで集客してゲレンデに立つグループとが同じ場所で競争することになれば、不公平感が強まるのは当然です。制度がないのではなく、制度を通らない人が目立ってしまっている。
私は、今回の問題のしんどさはまさにそこにあると思います。
ただし「短期滞在で来て少し教えるだけ」は別の話

ここを混ぜると誤解が生まれます。
特定活動によるスキーインストラクターの受入れと、短期滞在で来日して有料レッスンを行う話は、制度上まったく別です。
前者は、法務大臣が個々の外国人について活動内容を指定する「特定活動」の枠組みに乗った就労です。
他方、在留資格の裏付けなく短期滞在のまま有料レッスンを行えば、入管法上の問題になり得ます。
報道だけで、現場にいた全員が直ちに不法就労だと断定することまではできません。
そこは個別の在留資格、資格外活動許可の有無、雇用か業務委託か、報酬の流れ、受入れ先との契約関係を見ないと判断できない。
ただ、少なくとも「観光で来て少し教えるだけなら大丈夫」という感覚は危うい。
実務では、その甘い認識がいちばん危ないところです。
湯沢町の登録制度は、かなり実務的な対策だと思う

湯沢DMOの登録制度では、スキー・スノーボードスクールについて、外国籍の方はレッスンが行える就労許可があること、賠償責任保険1億円以上、参加者の保険加入を義務付けていること、レッスン資格を保有していることなどが確認要件として示されています。
かなり現場寄りで、利用者保護と適法性確認を両方意識した内容です。
私はこういうローカルルールは大事だと思っています。
国の制度だけでは、現場のスピードに追いつかないことがあるからです。
入国審査の段階で、その人がどこのスキー場で、どの契約形態で、どのように活動するのかまで、地域の実態に即して見切るのは難しい。
だから結果として、自治体やDMO、スキー場が二次的な確認を担うことになる。
報道で湯沢町側が、地域で改めて仕事の可否を確認する必要が生じており、マンパワーがかかりすぎると話していたのは、まさにその現場感覚だと思います。
この問題は「安全」と「入管」の両方で見るべき

報道では、資格や保険の有無が確認できない指導者によるレッスンの危険性や、外国人スキー客の保険未加入による高額医療費未払いのケースにも触れられていました。
ここは単なる入管法違反の話ではありません。
事故が起きたときに誰が責任を負うのか、利用者は補償を受けられるのか、地域の医療機関やスキー場の管理にどんな負担がかかるのか。
観光地のルール違反は、最後に地域全体のコストとして返ってきます。
しかも、公認スクール側には外国語対応できるインストラクターもいると報道されています。
つまり、「外国語で教えられる人がいないから非公認が必要」という単純な話でもない。
正規ルートがあるのにそこを通らないのであれば、コストや審査、保険、資格確認、契約上の責任を回避したい、という見方も出てきます。そこは厳しく見てよい部分だと思います。
行政書士として感じること

このニュースを見ていて感じるのは、日本の観光地はもう善意や慣行だけでは回らない段階に入っている、ということです。
雪が良い、外国人客が集まる、SNSで集客できる。
そうなると、人もサービスも一気に流れ込んでくる。昔のように、現場の空気でなんとなく整理するのは難しいです。
一方で、外国人事業者や外国人インストラクターを一律に排除する方向も違う。
適法に働ける在留資格を整え、保険に入り、資格を示し、登録を受けて営業するのであれば、地域にとってはむしろプラスです。
問題なのは、ルールを守る人が損をして、守らない人が目立ってしまう構造です。
ここを放置すると、最後は真面目な事業者が疲弊し、地域ブランドも傷みます。
苗場の件は、たまたまスキー場で表面化しただけで、本質はもっと広いと思います。
観光と外国人就労が交わる場所では、同じような問題はこれからも起きるはずです。
推測ですが、今後はスノーリゾートや観光地型サービス業を中心に、在留資格の適合性や現場での登録・本人確認を重視する流れがさらに強まるのではないでしょうか。
【結論】
苗場の無許可レッスン問題は、「外国人だから問題」なのではなく、有料レッスンという就労行為について、在留資格・資格外活動・保険・指導資格・スキー場登録といった基本ルールを踏んでいるかが問われている問題です。外国人スキーインストラクターは「特定活動」として適法な受入れルートが制度上用意されています。だからこそ、無許可・無登録の活動は、真面目に制度に乗っている事業者との不公平を生み、安全面にも影響します。
【根拠】
出入国在留管理庁は、在留資格「特定活動」の対象として「スキーインストラクター」を明示しています。さらに、個別の案内では、雇用契約書や労働条件明示書類などの提出を求めています。湯沢DMOは、レッスン可能な就労許可、保険、利用者保険、指導資格などを確認要件とする登録制度を公表しています。テレビ朝日の報道では、苗場周辺で非公認インストラクターが多数活動し、町が登録制度による対策を進めていると伝えています。
【注意点・例外】
報道だけで、個々のインストラクター全員が直ちに不法就労だと断定することはできません。実際には、在留資格の種類、資格外活動許可の有無、契約形態、報酬の受領方法、受入れ機関との関係を個別に確認する必要があります。判断が分かれる事案では、専門家に確認が必要です。
【出典】
出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』」
出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』(スキーインストラクター)」
法務省資料「出入国管理行政に係る主要な施策等」「我が国の出入国在留管理制度の概要」
湯沢DMO ユニバーサルサポーター各種ガイド登録制度
テレビ朝日「スキー場で外国人が無許可でレッスン 苗場に多数出没『関係ないわ』」2026年3月4日
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