企業内転勤ビザの審査厳格化 「海外で本当に働いていたか」が問われる時代へ
企業内転勤ビザも、いよいよ実態確認の時代に入った
外国人社員を海外拠点から日本の事業所へ異動させる。
グローバル企業では、ごく自然に行われてきた人事異動です。日本法人を立ち上げたばかりの会社でも、海外本社の社員を日本に呼び、立ち上げメンバーとして働いてもらう場面は珍しくありません。
このとき使われる代表的な在留資格が「企業内転勤」です。
ところが、この企業内転勤について、出入国在留管理庁が審査運用を厳しくする方向に動いています。入管庁の公式ページでも、在留資格「企業内転勤」の提出書類の変更について、令和8年4月1日運用開始として案内されています。
今回のポイントは、とてもシンプルです。
「本当に海外の会社で勤務していたのか」
ここを、会社作成の在職証明書だけではなく、より客観的な資料で確認していくという流れです。
報道によれば、外国での社会保険加入証明、外国事業者の法人登記、納税状況など、海外勤務実態や海外法人の実在性を確認できる資料が求められる方向とされています。
これまでの企業内転勤は、比較的「社内異動」という性質が強く、転勤命令書や在職証明書を中心に説明していくことが多かった印象があります。
もちろん、従来から企業内転勤の要件が緩かったわけではありません。
ただ、実務感覚としては、海外本社や関連会社が実在し、本人が一定期間勤務しており、日本側で従事する業務が「技術・人文知識・国際業務」に該当するような内容であれば、資料構成はある程度読みやすかった。
その空気が、少し変わってきたということです。
企業内転勤で問われるのは「転勤」という名前ではない

企業内転勤という名前だけを見ると、社内の人事異動であれば当然に認められるように感じるかもしれません。
しかし、在留資格の審査では、名称よりも実態が見られます。
海外にある関連会社で本当に勤務していたのか。
その海外会社は実体のある事業者なのか。
日本で行う業務は、在留資格上認められる専門的業務なのか。
給与や労働条件は適正なのか。
単なる現場作業や単純労働に流れていないか。
このあたりが、より細かく確認される流れです。
特に気をつけたいのは、日本側の企業だけで完結しない点です。
企業内転勤では、海外側の会社資料が重要になります。日本法人の登記簿や決算書だけを整えても、送り出し側の海外法人の実態が見えなければ、説明として弱くなります。
行政書士として見ていると、ここが一番つまずきやすいところです。
日本側の担当者は「海外本社に頼めばすぐ出るだろう」と思っている。ところが、国によっては法人登記、納税証明、社会保険関係の証明書の取得に時間がかかる。そもそも日本語訳をどうするのか、どの資料が公的資料にあたるのか、判断に迷うこともあります。
入管申請は、書類を集めるだけの作業ではありません。
資料の意味を読み取り、入管に伝わる形に組み直す作業です。ここを甘く見ると、補正対応で時間を取られます。
背景にあるのは「資格該当性のない業務」への警戒

今回の企業内転勤の厳格化は、単独で起きている話ではありません。
政府は令和8年1月23日に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を取りまとめています。入管庁もこの対応策を公表しており、外国人の受入れと共生を進める一方で、制度の適正化を強める方向が示されています。
最近の在留資格審査を見ると、共通しているのは「名目と実態のズレ」への警戒です。
経営・管理では、資本金や事業実態がより厳しく見られる方向。
技術・人文知識・国際業務では、日本語を使う業務について日本語能力の証明が求められる場面が増えている。
企業内転勤では、海外勤務実態や海外法人の実在性がより重視される。
つまり、入管の関心は「書類上は整っているか」から、「その書類が実態を正しく反映しているか」へ移っているように感じます。
これは、現場にいるとかなり大きな変化です。
以前は、形式的な不足を補えば進む申請もありました。これからは、形式だけ整えても、実態の説明が弱ければ止まる可能性があります。
企業が今すぐ確認すべきこと

企業内転勤を予定している会社は、まず海外側の資料を早めに確認した方がよいです。
特に、次のような点は事前確認が必要です。
海外法人の登記関係資料を取得できるか。
海外法人の納税状況を示す資料を出せるか。
本人の海外勤務期間を公的資料で補強できるか。
社会保険加入証明や給与支払資料を準備できるか。
日本で従事する業務内容が専門的業務として説明できるか。
転勤後の職務内容が、現場作業中心になっていないか。
ここで重要なのは、「提出できる資料を出す」のではなく、「要件を説明するために必要な資料を組み立てる」ことです。
たとえば、海外の社会保険制度が日本と異なる国もあります。社会保険加入証明という名称の書類が存在しない場合もあるでしょう。その場合に、代替資料として何を出すのか。給与明細、源泉税関係資料、雇用契約書、出勤記録、会社発行証明書、公的登録情報などをどう組み合わせるか。
ここは国ごと、会社ごとに変わります。
専門家に確認が必要な部分です。
「外国人を呼べばよい」から「説明できる受入れ」へ

今回の厳格化について、企業側からすると負担が増えるのは間違いありません。
海外資料の取得、翻訳、整合性確認。どれも手間がかかります。急ぎの人事異動には、かなり影響が出るでしょう。
ただ、私はこの流れ自体は避けられないと思っています。
在留外国人が増え、企業活動も国境を越えるようになりました。その一方で、在留資格の名目だけを使い、実際には認められない業務に従事させるような事例が出れば、制度全体への信頼が揺らぎます。
まじめに外国人社員を受け入れている企業ほど、こうした不適切事例の影響を受けます。
だからこそ、これからの企業には「説明できる受入れ」が求められます。
なぜこの人を日本に転勤させるのか。
海外でどのような経験を積んできたのか。
日本でどのような専門業務を担うのか。
海外法人と日本法人の関係はどうなっているのか。
その人事異動に事業上の合理性があるのか。
この筋道が通っていれば、企業内転勤は今後も十分に活用できる在留資格です。
反対に、「とりあえず日本に呼びたい」「日本で何でもやってもらいたい」という発想では、かなり難しくなるはずです。
行政書士としての実務感覚

企業内転勤の申請では、今後、早めの資料確認がかなり重要になります。
特に中小企業、日本法人設立直後の会社、海外側の管理体制がまだ整っていない会社では、申請直前になって資料不足が判明するケースが増えると思います。
入管審査の厳格化というと、どうしても「外国人を入れにくくする」という話に見えがちです。
しかし、実務の現場では少し違います。
必要なのは、外国人を受け入れないことではありません。受け入れるなら、制度に合った形で、きちんと説明できる状態にしておくことです。
企業内転勤は、本来、国際的な企業活動を支えるための重要な在留資格です。
だからこそ、辞令一枚で動かす時代から、海外勤務実態、法人実態、業務内容をセットで示す時代に変わってきた。
今回の変更は、そのサインとして受け止めるべきだと思います。
在留資格の審査は、少しずつ「実態を見る審査」へ進んでいます。
企業側も、そろそろ入管申請を人事手続の延長として見るのではなく、コンプライアンスと事業計画の一部として考える時期に来ています。
CTA
外国人社員の企業内転勤、日本法人への赴任、海外関連会社からの人材受入れを予定している企業様は、申請直前ではなく、辞令を出す前の段階で資料確認を行うことをおすすめします。
Asocia行政書士法務事務所では、在留資格「企業内転勤」を含む外国人雇用・在留資格申請について、実務に即したサポートを行っています。海外資料の確認、必要書類の整理、申請方針の検討でお困りの場合はご相談ください。
【結論】
企業内転勤ビザは、2026年4月以降、海外勤務実態や海外法人の実在性をより客観的資料で確認する方向に変わっています。今後は、在職証明書や辞令だけでなく、社会保険、法人登記、納税関係など、実態を裏付ける資料準備が重要になります。
【根拠】
出入国在留管理庁は、在留資格「企業内転勤」の提出書類変更について、令和8年4月1日運用開始として案内しています。
また、政府の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」では、外国人受入れの適正化や制度の誤用防止の方向性が示されています。
【注意点・例外】
国によって取得できる公的資料の種類は異なります。社会保険加入証明や納税証明に相当する資料が存在しない場合、代替資料の検討が必要です。
また、企業内転勤に該当するか、技術・人文知識・国際業務など別の在留資格で検討すべきかは、職務内容や海外法人との関係によって変わります。個別案件では専門家に確認が必要です。
【出典】
出入国在留管理庁「在留資格『企業内転勤』」
出入国在留管理庁「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」
共同通信配信記事「外国人転勤、審査を厳格化 入管庁、来日前の実態把握」
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